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「共謀罪」法案は5月23日午後4時、自民、公明、日本維新の会の賛成多数で衆議院本会議を通過。参議院に送られた。
犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」法案が5月23日午後にも、衆議院本会議を通過する見込みだ。この法案をめぐる日本政府の対応を、国連特別報告者が批判している。
「特別報告者」は、国連人権理事会に任命される独立した立場の専門家だ。国やテーマごとに監視し、理事会に報告する。
国連のプライバシー権に関する特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏(マルタ大教授)は、共謀罪法案についての書簡を5月18日付で安倍晋三首相に送付していた。
書簡では、同法案がプライバシーや表現の自由を制限するおそれがある、と指摘。対象となる277の犯罪にはテロや組織犯罪とは無関係なものがあり、法律が恣意的に適用される危険性への懸念を訴えている。
書簡は、国連人権高等弁務官事務所のホームページで公開された。
日本政府は、この書簡に強い拒否反応を示した。菅義偉官房長官は5月22日、「一方的に発出された。不適切なもので、外務省を通じて強く抗議を行っている」と述べ、こうも語った。
「特別報告者という立場ですけれども、個人の資格で人権状況の調査報告を行う立場であり、国連の立場を反映するものではない」
一方、日本政府から「強い抗議」を受け取ったケナタッチ氏は、ロイター通信の取材にこう答えている。
「日本政府のこのような振る舞いと、深刻な欠陥のある法律を性急に成立させようとしていることは、断じて正当化できません」
東京新聞も同様に5月23日朝刊に、ケナタッチ氏へのメールインタビューを掲載。日本政府の対応について、「中身のないただの怒り」などとするコメントを報じている。
それによると、日本政府の「抗議」は在ジュネーブ日本政府代表部の職員から約1ページの文書として渡された。そこには、「プライバシーや他の欠陥など、私が多々挙げた懸念に一つも言及がなかった」という。
そのうえでケナタッチ氏は、「日本政府はいったん立ち止まって熟考すべき」と呼びかけている。
Kota Hatachiに連絡する メールアドレス:Kota.Hatachi@buzzfeed.com.
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