(cache) フジテレビ：世界中でもっともスケオタから嫌われている放送局 - Mikekoの徒然ブログ

四大陸選手権の男子・女子シングルについて簡単に書こうと思っていたが、フジテレビのおかげでそんな気持ちは見事に吹っ飛んだ。以前2014年の全日本選手権について「フィギュアスケートに関わっているからと言って…」という記事を書いた時かなりの反響をいただいたが、今季の全日本はBSでシングルのFSの演技を全選手放送してくれたので、少しはファンや選手の気持ちがフジテレビに届いているのかなと思っていた。

甘かった。

YouTubeにアップロードされた四大陸選手権のシングルの演技の動画が片っ端からブロックされている。これはどうやらフジテレビがISUから権利を独占的に購入したのが理由らしい。フジテレビの四大陸選手権のオフィシャルサイトからは全選手の演技をノーカットで見られるようになっている。

しかし、ここで大きな問題が二つ発生した。

①フジテレビによる放送の動画だけでなく、フジテレビには著作権がないはずのEurosport、NBCなど他の放送局による動画までまとめてブロックされている。

②フジテレビのウェブサイトの動画は日本以外の国ではジオブロックされて見られないらしい。

つまり①と②を合わせると、今年の四大陸選手権のシングルの演技は日本国内からしか見られないということだ。自国のテレビ放送を見逃した人や、放送がなかった国・地域に住んでいる人は、どうあがいても見ることはできない。ちなみにペアとアイスダンスはフジテレビが独占契約をしていないので動画はブロックされていない。

①はどうやらフジテレビが意図的にブロックしているわけではなく、YouTubeの「Content ID」という機能で自動的にブロックされてしまったらしい。フジテレビが著作権を主張する動画をもとにデータベースの中の動画を検索した結果、他局による同じ試合の動画も自動的にブロックされてしまったらしいのだ。

YouTubeにブロック解除を要求できるのは動画著作権の所有者のみなのだが、ここでややこしいのはこの場合動画をアップロードしたユーザーには著作権はないということだ。著作権を持っているのは各放送局なのである。

私は一瞬日本スケート連盟とフジテレビが結託して日本以外の国におけるシングルの更なる衰退を企てたのかと勘ぐってしまった。実際そんなことはないのだろうが、フジテレビが世界中のスケオタを敵に回したことだけは確かだ。

もともとフジテレビに対して国内外からの不満は多かった。全日本選手権の放送権を独占しながら全選手全演技放送しないし、地方ブロックや東西日本選手権に入っている撮影業者まで締め出されてしまうので、放送されない演技は記録にすら残らない。ライブストリーミングも提供されず、毎年全日本が近づく頃になると海外のファンや選手達の「Where is a livestream of Japanese Nationals?（全日本のライストどこ？）」と幽霊を探す声がTwitterで飛び交い始める。更に全日本もISUチャンピオンシップもほとんどが録画放送で、放送前に世間に最終競技結果が分かってしまう。今回の四大陸にしてもなぜSPだけでなくFSも生放送しないのかと各方面から批判が出ていた。

フジテレビにもフィギュアスケートを真剣に愛している人達がいるのはよくわかる。フジの実況アナウンサーはどの地上波・BS放送局よりも熱心に勉強して放送に臨んでいると思うし、今回導入された独自のより詳細なTESカウンターからも視聴者により多くの情報を伝えようという熱意が伝わってくる。しかしフィギュアスケートをより多くの人々により深く理解して欲しいと願う制作現場と、自己中心的で視野の狭い時代遅れの上層部の間に、深く大きな溝が横たわっているようだ。

フジテレビがISUにいくら払ったのか知らないが、果たしてこれがISUの望んだことなのだろうか？日本以外のスケート連盟はどう思っているのだろうか。選手やコーチだってYouTubeを見るだろうから、この異変に気がついていないはずはない。フィギュアスケートのブログを書いている人たちは動画で演技を紹介できなくて困っている。

今多くの人が心配しているのは世界選手権の演技まで同様にすべてブロックされてしまうのではないかということだ。今後もISUがフジテレビにチャンピオンシップの動画配信の独占権を与えてYouTubeですべてのシングルの動画がブロックされる事態が続けば、ISUは短期的には儲かるだろうが、中長期的には確実に日本以外の国におけるフィギュアスケート全体の衰退に確実に拍車をかけるだろう。フジテレビはフィギュアスケートを日本でしか持て囃されないガラパゴススポーツにするつもりなのか？これは欲張ってパイを独り占めしようとして結果的にパイ全体を小さくしてしまうというJASRACがやっているのと同じ類の愚行だ。

ちなみにフジの公式サイトの動画だが、選手別にカットされていないので一本が3～4時間と非常に長く、探している選手の演技にたどり着くまで一苦労である。面倒くさくてとても見る気になれない。野菜や肉を丸ごとぶち込んで煮込んだシチューを鍋ごとテーブルの上にどんっと乗せられたような気分だ。見る側の都合をまるで考えていない、これがいわゆるプロの仕事なのか。

ファンがYouTubeにアップロードする演技は通常選手ごとにカットされタイトルに試合名・選手名・プログラムの種類（SP/SD/FS/FD）が記載されている。材料を食べやすい大きさにカットして煮込み皿に盛られて出てくるシチューのようなものだ。皮肉にも素人の方が見る側のことを考えてずっと細やかな仕事をしている。

しかし、残念ながらジテレビが国内外のファンからの批判に聞く耳を持つかは甚だ疑問である。「番組へのメッセージ」を覗いてみたが、出てくるのは肯定的なものばかりだ。おそらく批判的なものはあえて掲載しなかったのだろう。自分達にとって都合の悪いことには目を閉じ、耳を塞ぐ。この局が視聴率の低迷から抜け出せない理由がよくわかった気がした。

（おしまい。）