アメリカで抗生物質が効かない「スーパーバグ」が広がっている

アメリカで抗生物質が効かない「スーパーバグ」が広がっている
image: CDC

人類を滅ぼしうる悪夢の細菌。

過去9カ月でアメリカでのスーパーバグ感染例は7件から122件に急増しました。このスーパーバグ、「カンジダ・オーリス」が広がり始めているとアメリカ疾病管理センターが報告しています。

「スーパーバグ」って一体何かと言うと、抗生物質も効かなくて殺すのが難しいめちゃめちゃ強い細菌のこと。近年、スーパーバグは大きな問題になってきています。細菌の進化で抗生物質に耐性のある強い細菌が生まれ、殺す手立てがなくなってきている状況です。この最強のスーパーバグを殺すための新薬を開発しない限り、戦えないのです。

今回広がりを見せているカンジダ・オーリスは、いろんな薬剤に対して耐性を持っていて深刻な病状を引き起こし、死亡率も高い細菌だと言われています。特に病院で入院している患者さんの間の死亡率は大変高くなっています。カンジダ・オーリスが発見されたのは2009年のこと。十数カ国で発見が報告されて来ています。疾病管理センターによると、最初に注意令が出された去年の6月には7つの州の病院で合わせて77例が報告されていました。その後、その患者たちと接触があった人たちを検診したところ122例にすぐに大きく膨れあがりました。

カンジダ・オーリスは、すでに病気であったりしない限り感染しない、日和見感染症だと言われています。なので、健康な人は感染せず、病院にいる免疫力の弱っている患者さんでの広がりが大きいのです。現在アメリカで発症しているものは抗真菌薬で治療されてきていますが、医療関係者は抗真菌薬にも耐性があるものもあると懸念しているとのこと。病院などでは耐性が強く、患者間で簡単に広がることから、疾病管理センターはこのスーパーバグを「深刻な国際保健への脅威」だと位置付けています。

スーパーバグに感染してしまって抗生物質が効かないというのは、恐ろしいことです。とにかくスーパーバグに勝てる抗生物質、もしくは広がらないように阻止する薬品を開発して行かなくてはいけないようです。

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Kristen V. Brown - Gizmodo US[原文
(岩田リョウコ)