北朝鮮「中距離弾道ミサイル実験成功」開発加速鮮明に

北朝鮮「中距離弾道ミサイル実験成功」開発加速鮮明に
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北朝鮮は、SLBM=潜水艦発射弾道ミサイルを地上配備型に改良した、中距離弾道ミサイル「北極星2型」の発射実験に21日、再び成功したと発表しました。立ち会ったキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長は、実戦配備を承認して量産を指示したということで、核・ミサイル開発を一層加速させる姿勢を鮮明にしています。
北朝鮮は21日夕方、西部・ピョンアン(平安)南道のプクチャン(北倉)付近から弾道ミサイル1発を発射し、韓国軍によりますと、ミサイルは高度560キロまで上昇したあと発射地点から500キロ余り離れた日本海に落下しました。

これについて北朝鮮は22日朝、国営メディアを通じてキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の立ち会いのもと、SLBM=潜水艦発射弾道ミサイルを地上配備型に改良した、中距離弾道ミサイル「北極星2型」の発射実験に再び成功したと発表しました。

22日付けの朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、1面から3面にかけて発射の際の写真を掲載し、移動式の発射台に搭載されたミサイルが、ガスなどの圧力によって射出されたあと空中で点火する、「コールド・ランチ」と呼ばれる技術を使って発射され、固体燃料を使用したときに見られる白みがかった煙を噴き出して上昇していく様子が捉えられています。

また、ミサイルに搭載されたカメラで宇宙空間から地球を撮影したとする写真も公表されました。

「北極星2型」の発射はことし2月に続いて2度目で、キム委員長は、「100点満点で完璧だ」と述べ、実戦配備を承認して量産を指示したということです。

さらに発表では、今月14日に発射した新型の中距離弾道ミサイル「火星12型」について、「アメリカ太平洋軍の司令部があるハワイと、アラスカを射程圏内に収めている」と主張したうえで、キム委員長が「われわれの核武力の多様化や高度化をさらに進めなければならない」と述べたとしており、核・ミサイル開発を一層加速させる姿勢を鮮明にしています。

韓国軍「意味あるデータ確保した」

北朝鮮が中距離弾道ミサイル「北極星2型」の発射実験に成功したと発表したことについて、韓国軍の合同参謀本部のノ・ジェチョン(魯在天)広報室長は22日の記者会見で、「北はきのうの発射実験を通じて、ミサイル技術の信頼性を向上させるために意味のあるデータを確保した」と述べ、一定の成果があったという見方を示しました。

一方で、ノ室長は「弾頭を安定して大気圏に再突入させたかどうかは、追加の検証が必要だ」として、引き続き慎重に分析を進める姿勢を強調しました。
北朝鮮が中距離弾道ミサイル「北極星2型」の発射実験に成功したと発表したことについて、韓国統一省のイ・ドケン報道官は、記者会見で、「挑発に対しては強力に対応していく」と述べました。

その一方で、報道官は、「南北関係の断絶は朝鮮半島の安定にとって望ましくない。民間交流などは国際社会の制裁の枠組みを損なわない範囲内で柔軟に検討していく」と述べ、具体例として、来月、韓国で開かれるテコンドーの大会に北朝鮮から参加の申請があれば受け入れる方針を示唆しました。

韓国メディアは、こうした報道官の発言について、北朝鮮の核実験などに対抗して南北間の民間交流も大幅に縮小させたパク・クネ前政権と異なり、北朝鮮との対話を重視するムン・ジェイン大統領の考えが強く反映されているという見方を伝えています。

官房長官 2月と同一の可能性

菅官房長官は午前の記者会見で、「きのう北朝鮮が発射したミサイルの種類は、ことし2月12日に発射されたのと同一の新型弾道ミサイルだった可能性が考えられるが詳細は分析中だ」と述べました。

そのうえで菅官房長官は、「核・ミサイル開発を阻止するためには、北朝鮮の外貨収入を減少させるともに、関連の貨物や技術の移転を防止することも重要だ。わが国としては関連安保理決議の実効性を確保するとともに、わが国独自の措置の実施をこれからも徹底していきたい。また、わが国の独自制裁をさらに深掘りし、厳しくしていくことは大事だ」と述べました。

また菅官房長官は、「日米韓から国連安全保障理事会の緊急会合の要請を行った。わが国としては、明白な違反である今回の発射について国連安保理として強いメッセージを発出するよう、アメリカや韓国と緊密に連携し協力をしていくとともに、影響力のある中国、ロシアに対してもそこは広げていきたい」と述べました。