約60人のPTAの役員全員が、すべて立候補で決まる学校がある。神戸市垂水区の市立本多聞(ほんたもん)中学校。敬遠されがちな役職なのに、なぜそんなに人気なのか。

 PTAの役員決めといえば、くじ引きや投票で面倒くさい役の押しつけ合い――そんな学校が多いのではないだろうか。

 ところが本多聞中では、本部役員に加え、クラス委員を含めた役員全員が、自ら名乗りを上げた人ばかりだ。

 いったい、なぜ――。

 カギは、3年前のPTA改革にあった。

 当時校長だった福本靖さん=現・桃山台中校長=は、学校改革には保護者の協力が不可欠だと思っていた。教員の多忙化が進み、いじめや不登校などの問題に学校だけの力で対応するのは限界だと考えていたからだ。

 しかし柱となるべきPTA活動は、本多聞中でも「形式的で嫌なもの」とみられていた。共働きが増え、家庭の姿は昔と違うのに、PTA組織は専業主婦を前提とした旧来のまま。クラス委員もくじ引きで選んでいた。

 そのころ、当時のPTA会長だった今関明子さん(48)も改革の必要性を痛感していた。広報誌の作成をはじめ、保護者が望んでもいない仕事が多すぎると思っていたのだ。

 二人の考えが一致し、改革が始まった。

 まず「広報」「愛護」「研修」…

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