ベーシックインカム(BI)とは、
政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を無条件で定期的に支給するという構想
最近話題になっている(?)BIですが、私は結構この制度に期待しています。
欧州では既に本格的な導入に向けての議論がなされています。
スイスでは、2016年6月にベーシックインカムの是非を問う国民投票が行われました。
結果は残念ながら否決でした。
フィンランドでは、今年からBIの試験導入が実施されています。
その他、オランダ、カナダといった国も試験導入を実施する予定です。
BIの導入で一番問題になるのは財源だと思います。
私は財政の専門家ではないので、ここではざっくりとしたことしか言えませんが、どうすればBIを効率よく導入できるか考えてみたいと思います。
そのためには、「安楽死制度」と「消費税一本化」をセットで導入することを、私は推奨します。
ベーシックインカム(BI)
BIの基本的な考え方は、全国民に一定の金額を無条件で給付するというものです。
これだけ見ると、BIは弱者救済のような制度に見えるかもしれません。
しかし、BIの財源確保のためには、当然ですが年金、生活保護、雇用保険等の既存の社会保障を廃止する必要があります。
BI導入の真の意義は、社会保障をBIに一本化することによる行政のコスト削減や、給付額をあらかじめ決めておくことによって社会保障費の膨張を防ぐことにあるのではないでしょうか。
つまり、少子高齢化で社会保障費が膨らむ中、国の負担を減らせることが重要なんです。
もちろんBIは国民にもメリットがあると思いますよ。特に若者は。
今の高齢者にとっては基本的にはデメリットですかね…
BIの財源については、既に専門家さんたちが議論しています。
上記の記事によると…
- 平成21年度の社会保障費の総額は約99兆8500億円
- ここから医療分の約30兆8400億円を差し引くと約69兆円
- これを人口を1億2500万人として単純に割り算すると、月4万6000円ほどのBI
仮に医療分も含めて全てBIに回したとすると、月6万6000円ほどになります。
医療保障も完全に廃止するのはさすがにやり過ぎかもしれませんが、多少の削減は必要だと思います。
いずれにせよ、月5~6万円程度のBIなら現状でも理論的には可能ということです。
しかし月6万円だと、これだけで生活するのは厳しいですよね。
個人的には最低でも月8万円は欲しいところです。
社会保障をBIで一本化することでコスト削減はできるので、その分をさらに上乗せすることもできると思いますが、どれくらいのコスト削減になるのかはよく分からないですね…
やはりBIだけで生活できるくらいの給付額にしようと思ったら、更なる効率化とコスト削減が必要になるんじゃないでしょうか。(後述する安楽死制度と消費税一本化とか)
ちなみにBIを導入すると、
- 就労意欲が下がって、働かない人が増える
- 最低限の保障があるので、リスクをとってチャレンジする人が増える
という2つの相反する意見が見られます。
私は上記の両方の人が出てくると思います。
好きでもない仕事をやっている人は辞めればいいと思いますね。
嫌々やったところで大して生産性も高くないでしょう。
ニートがしたけりゃすればいいと思います。
それよりも、リスクをとってチャレンジする人が増えることのほうが、国にとってはメリットになるんじゃないでしょうか。
安楽死制度
消極的安楽死は、回復の見込みがない患者に対して治療を行わないことで死に至らしめる行為であり、積極的安楽死は、故意に薬物等を投与し、死に至らしめる行為です。
ここで言っている安楽死制度は、もちろん積極的安楽死のほうです。
日本では消極的安楽死は合法ですが、積極的安楽死は殺人罪に問われます。
積極的安楽死を法的に認めているのは、スイスやオランダ、アメリカの一部の州などです。
なぜBIと同時に安楽死制度があったほうが良いのか端的に言えば、「BIを受け取る高齢者の数が減ってくれたほうがいいから」です。
どんどん少子高齢化になっていく中、生産性の期待できない高齢者にお金を払い続ける余裕はあるのでしょうか。
もちろん元気な高齢者にも死ねと言っているわけではありません。
しかし、病気になりまともに働けない人や、介護を必要とする人は、生きているだけで医療費や介護費が掛かります。
それに生きていることで社会に何かメリットがあるかと言えば、まあないですね。
高齢化がさらに進めば、これらの社会保障費は際限なく膨れ上がっていきます。
こういった人たちには、安楽死の選択肢を示したほうがいいのではないでしょうか。
私は高齢者への医療保障はなくてもいいんじゃないかと思います。
高額な医療や介護を受けたければ、自分の資産を使って受ければよいです。
それができない人は、安楽死制度を利用しましょう。
国が責任をもって弔ってくれます。
そもそも、治る見込みのない重い病気にかかったり、介護が必要になったりした状態でも長生きしたいと思いますか?
BI制度のもとでは、生きている限り最低限の生活費は出しますが、延命のための治療や介護は自己負担としたほうが良いでしょう。
あと安楽死には年齢制限も設けたほうがいいかもしれませんね。
例えば「特別な理由がない限り65歳以上」とか。
健康な若者にどんどん死なれては困りますしね。
まあBIが導入されたらそんなことにはならない気がしますが…
なんかネガティブな内容になりましたが、じゃあ普段から健康に気を使って、元気な老人になればいいんですよ!
消費税一本化
今の日本の税制は複雑すぎです。
そのせいで税務署職員の負担が大きくなり、人件費もかかります。
税制が複雑なのは、いろんなところから税金を取ろうとするためだとは思いますが、そのせいで効率が悪くなっては本末転倒です。
税金には「直接税」と「間接税」がありますが、税制を複雑にしているのは、所得税や法人税などの直接税でしょう。
それに所得税や法人税は、経費の計上や控除の仕組みが複雑で、所得を低く見せるインセンティブが働いたり、脱税行為が発生したりします。
ということで、こんな面倒くさい直接税は全廃して、間接税である消費税に税制を一本化してはどうでしょう。(酒税やたばこ税のような個別消費税もありです)
これが実現すれば税務署の仕事なんてほとんどなくなるんじゃないでしょうか。
間接税は脱税しにくいので、税務調査なんてものもなくなると思います。
かなりの人件費削減になります。
まあどれくらい削減できるかは分からないですけどね。
BIの財源をすべて消費税で賄おうとした場合、税率は35.8%にする必要があるようです。(Wikipediaより)
すごい税率ですが、それでも所得税や法人税がないほうが経済が活性化するんじゃないかなあ。
ただ、消費税のような一律の税率を課す税金の場合、低所得者のほうが税負担が大きくなる「逆進性」が問題になります。
これについては、日本でも一応検討されている「軽減税率」の導入である程度緩和されるかもしれませんが、やるなら極力シンプルなものにしてほしいです。
国はすぐに制度を複雑にして、無駄な仕事を増やそうとしますからね。
もしくは、所得に応じた何らかの対策をとることも考えられますが、そうするとまた今みたいに所得を低く見せるインセンティブが働き、労働を制限するような人が出てきます。
むしろ逆進性は残しておいて、所得が増えるほど得だと思わせるほうが、働く意欲が湧いていいんじゃないでしょうか。
立ちはだかる障壁
ここまで述べてきたことは、たぶん合理的だとは思うんですけど、合理的だからと言ってすぐに導入できるわけではないです。
人間は合理的ではないですからね。
導入にあたっては、反対する層が絶対にいます。
利権に関わっているような人たちですね。
どういう人たちが反対するのかを挙げてみると…
・BIに反対の人たち
これは現在年金等の手厚い保障を受けている高齢者たちでしょう。
BIが導入されれば、高齢者が受け取る金額は確実に減ります。
実現するには国民の過半数が賛成する必要があります。
高齢化社会が進むなら、当然高齢者の賛成が必要になってきます。
したがって、BIはいきなりではなく、今の高齢者には影響がないように徐々に導入していく方法を考えないといけません。
・安楽死制度に反対の人たち
これはよく分かりませんが、どっかの人権団体が「人の尊厳がー」とか言って反対しそうですね。
尊厳を軽視しているのはどっちだよって話です。
・消費税一本化に反対の人たち
これは税務関係の利権に関わる人たちでしょう。
個人的な憶測ですが、これは相当根深そうな気がしますね…
おわりに
いろいろ書きましたが、結局BI導入は理論的には実現できそうだけど、いろんなしがらみのせいで難しそうだなあという感想です。
私が生きているうちに実現されるのでしょうか…