「箸使いを見れば、育ちがわかる」とまで言われるのが、テーブルマナーです。
無形文化遺産にも登録されている和食には食べ方の作法があるので、知らないと恥をかいてしまう場面もあるかもしれません。
これから紹介する日本料理の正しいマナーを覚えて、自信を持って食事ができるようになりましょう。
和食の基本作法
お茶碗やお椀を手に持たずに食べることは、日本の食事においてはマナー違反、作法違反とされます。
また、和食の席では料理上の空間を妨げないのが礼儀です。箸を器の上に放置してはいけません。
そして、自分の膳の上を手で覆うような行為もNGです。右にある物を取る時は右手で、左にある物は左手で。この反対の動きは「袖越し」と言ってマナー違反となります。
和食の食べ方の基本
和食の盛り合わせ料理は、左側から右側にかけてだんだんと味が濃くなるように盛りつけられています。
左側から食べやすいように盛り付けてあるので、盛り合わせ料理が出されたときは左側から食べるようにしましょう。
特定のものだけを集中して食べないというのも、和食を食べるときの大切なマナーです。ご飯と汁物は一口ずつ交互に食べるようにしましょう。
1.汁物
汁物をいただくときは、まず左手をお椀に添えて、右手でふたを時計回りに回して開けます。蓋を斜めに傾けて、裏側の水滴を椀に落とします。
飲み方のポイントは、箸を椀の中に入れて見えないようにすることです。箸先は相手に向けない、手の甲より上に上げないのが基本です。
汁は具を箸先で押さえながら飲むようにしましょう。
2.ご飯
ご飯をよそう時は山盛りにせず、器のおよそ7~8分目を目安としましょう。
ご飯のお代わりをする時は、ご飯を全て食べ終えてからではなく、一口ほどお茶碗に残しておくようにします。
ご飯に香の物など、おかずを乗せて受け皿変わりにしないようにしましょう
3.お刺身
出典:pixabay.com
お刺身は、味が淡白なものから順に食べましょう。例えば、白身魚→貝類→赤身魚と食べるのが基本のマナーです。
わさびを醤油にといてしまうと、わさびも刺身もどちらも本来の味が活きてきません。ですから、わさびは刺身にのせて、醤油を少しだけお刺身につけて食べましょう。
刺身から醤油が垂れないように、小皿を持って食べてると良いでしょう。
4.焼き魚
出典:pakutaso.com
焼き魚の食べ方の基本は、左側から少しづつ頂くことです。皮は残しても失礼にあたりません。
食べ終わって残った骨や皮などは、お皿の端に、ひとまとめにして寄せておきます。
尾頭付きの魚で注意したいのは、半身を食べるために裏返さないことです。半身を食べ終えたら、中骨をお箸でつまみあげ、頭と尾をつけたまま骨を剥がして皿の向こう側に置くようにします。
5.酢の物
酢の物はとても小さな小鉢に上品に盛られることがほとんどですので、小鉢を持っていただくと良いでしょう。
量はとても少ないですが、一口で食べてしまうより、2~3口で食べきるように量を調節するとスマートに頂けます。
酢味噌や梅肉などが具材の上にかけてある場合は、器の中で混ぜるようなことはせずに、かけてもらったままの状態、もしくは、一口分づつに適量をつけながら食べるようにしましょう。
6.煮物
出典:pakutaso.com
煮物は手前からはしを付けるのが基本です。ひと口サイズに切って食べるほうが所作としては美しくなります。
海老芋のように大きなものは、左側からはしで切り、だしをからめて食べましょう。
残っただしは碗を持って、箸を添えながら、直接、器に口を付けて飲んでも構いません。
7.串物
焼き鳥、つくね、味噌田楽などの串物料理は、先に串を外してしまいましょう。
左手で串を持ち、右手に持った箸で料理を外します。熱いうちが外しやすいので、料理が出されたらすぐに外すと良いでしょう。
外しにくい場合は、串をくるくると回して外します。
8.天ぷら
出典:pakutaso.com
天ぷらは淡白な味のものが手前に、味の濃いものが後ろに盛り付けられています。ですから、盛り付けを崩さないように、手前の淡白な味の天ぷらから順に食べるのがマナーです。
天ぷらに天つゆをつけるときは、器に口を近づけずに、天つゆの器を持って一口ずつ天ぷらをつけます。箸で切れる天ぷらはお皿の上で食べる大きさに切り分けると良いでしょう
イカの天ぷらのように噛み切りにくいものは、一度口をつけたらお皿に戻してはいけません。天つゆの器を持って最後まで食べるようにしましょう。
9.土瓶蒸し
土瓶蒸しは、まず猪口にだしを注いで味わいます。すだちは猪口に絞るのが粋です。
具は土瓶から直接口に運んではいけません。いったん猪口に移して食べます。だしと具は交互に味わうようにしましょう。
海老の殻などは土瓶の中に残して、食べ終えたらふたを閉めます。
10.寿司
寿司は普通手で食べるものですが、箸がついてきた場合は箸で食べます。その場合は、シャリがポロポロ落ちないように食べると綺麗です。
普通はネタに醤油をつけますが、これはお好みで構いません。ただ、シャリに醤油をつけると、ほどけやすくなってしまうため、シャリが落ちやすい原因になるかもしれません。
大振りのお寿司の場合は、ネタとシャリを分けて食べます。シャリを半分に分けて、ネタでくるんで食べると良いでしょう。
11.茶碗蒸し
出典:pakutaso.com
茶碗蒸しを食べるときは、水滴がたれないように注意しながら、ゆっくりとふたを開けます。ふたは膳の右側に置いておきましょう。
箸やスプーンでかきまぜて食べてもマナー違反にはなりません。ただし、スプーンは食器にがちゃがちゃと当てない様に気をつけてください。
食後は、スプーンは器の向こう側に置いておきます。
12.ふぐ刺し
出典:amazon.co.jp
ふぐ刺しは、中央から1枚ずつ取ります。お皿の外側から盛り付けた造りを崩さないようにするためです。
鴨頭ネギや薬味をふぐ刺しに載せて巻いて食べると、味の変化が楽しめ見映えもよくなります。
何枚もまとめて食べるのはいけません。ふぐは薄造りでこそ味わいがあるとされています。
以上、知っておきたい和食の基本テーブルマナー。料理別の正しい食べ方…でした。