【FX初心者向け解説】適正な損切り幅(pips)の決め方

FXブログ

FXでは損切り幅を適正にしないと資金管理は出来ない。

前回の記事『FXトレードで重要となる資金管理とは?資金管理のやり方・手法は?』で、FXトレードをし続けて利益を積み重ね、少しずつ資産を増やしていくためには、資金管理を適切に行うことが絶対に必要であることをお話しました。

そして、適正な資金管理を行うためには、トレード1回あたりの最大損失額を一定以下に抑えることが必要で、その最大の損失額のことを

許容損失額

というのでした。

FXトレードでは、毎回のトレードにおいて損切り決済注文(ロスカット注文:LC注文)をしておくのが大前提ですが、

この損切り注文の値幅次第で、1回あたりの損切りで発生する損失額が決まってきます。

今回は、毎回のトレードで発生する可能性のある損失額を、必ず許容損失額以下に抑えるための損切りラインの設定、

具体的には、

「損切り幅は何pipsにすればいいのか?」

という点についてお話したいと思います。


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許容損失額は総資金額の1%~2%が適正範囲

どのFXトレードの本を見ても、1回あたりのトレードで総資金額の10%の損失を出してもOK!!と言っている本は有りません。

10%もリスクを取ってしまうと、連敗が重なった場合に資金をすべて失ってしまうからです。

一般的には、

許容損失額は総資金額の1%~2%以内

と言われています。

つまり、↓のような式が成り立ちます。

損切り適正pips

この式を基点として、適正な損切り幅のpipsについて考えてみます。

適正な損切り幅(pips)の決め方

結論から言うと、適正な損切り幅(pips)

  • レバレッジの大きさ
  • その時点のレート

で決まります。

具体的には、最大許容損失額を総資金の1%とする場合、損切り幅は「その時点のレート ÷ レバレッジ」で計算される数値以下にする必要があります。

例えば、1ドル120円のときに、フルレバレッジの25倍でトレードする場合には、

損切り幅 ≦ 120 ÷ 25 = 4.8 pips

となり、損切り幅は4.8pips以下にしないと、1回あたりのトレードで発生する損失額を総資金額の1%以下にすることはできません。

つまり、

損切り幅適正pips

ということです。

この結論だけ覚えるのでもいいのですが、上の式がどのように導かれるかをご説明したいと思います。

 

まず、損失額は以下の式で表せます。

適正損切り幅pips

例えば、1枚(1万通貨)で10pips負けた場合、損失額は、

損失額 = 1(枚) × 10,000(ドル) × 10(pips)/100 = 1,000円

となります。

次に、レバレッジは、レバレッジを使わない場合に指定の枚数を取引するのに必要な円と総資金額の比率ですから、↓のように表せます。

損切り幅適正pips

例えば、2枚(2万ドル)をレバレッジを使わないで買う時(空港の両替と同じ)に必要な円は、レートが1ドル120円の場合、

2 × 10,000ドル × 120 = 2,400,000円

となります。レバレッジを使わない両替のような場合、2万ドルを買うには240万円必要なわけです。

そして、両替ではなくFXの場合、2万ドル分の取引をするのに240万円も必要ありません。20万円とかでもOKですよね。

総資金額が20万円の場合、本来必要となる240万円との比率は、240÷20=12倍 となります。

これがレバレッジとなります。

つまり、レバレッジとは、総資金額と取引する枚数、その時点のレートによって決まるもので、こちらから指定するものではないということですね。

レバレッジについては、上記の式が成り立つことがご納得頂けたと思います。

次に、上記の式を少し見方を変えてみると、次のような等式が成り立ちます。

損切り幅適正pips

この等式を、最初の損失額の等式↓

適正損切り幅pips

に代入して整理すると以下の通りになります。

損切り幅適正pips

ここまで来たら、許容損失額を総資金額の1%以下にするための不等式である

損切り適正pips

に上記の式を代入してみます。

損切り幅適正pips

pipsを左辺におき、この式を整理してみると、以下のとおりになります。

損切り幅適正pips

このようにして、適正な損切り幅(pips)の条件が求まるわけです。

では、この不等式が本当に正しいのか?具体例を出して検証してみます。

【例1】レート:1ドル=100円 資金20万円で1枚(1万通貨)を取引する場合

  • レバレッジ=1枚 × 10,000ドル × 100円 / 200,000円 = 5倍
  • 適正損切り幅pips = レート/レバレッジ = 100 / 5 = 20pips
  • 損切り(LC)になった場合の損失額 = 1枚 × 10,000ドル × 20pips/100 = 2,000円
  • 許容損失額=200,000円 × 1%=2,000円

損切りにかかった場合の損失額は、許容損失額と一致しました。

【例2】レート:1ドル = 120円 資金10万円で2枚(1万通貨)を取引する場合

  • レバレッジ = 2枚 × 10,000ドル × 120円 /100,000円 = 24倍
  • 適正損切り幅pips = レート/レバレッジ = 120/24 = 5pips
  • 損切り(LC)になった場合の損失額 = 2枚 × 10,000ドル × 5pips/100 = 1,000円
  • 許容損失額 = 100,000円 × 1% =1,000円

損切りになってしまった場合の損失額は、許容損失額と一致しました。

損切り幅適正pips

という不等式が正しいことがお分かり頂けたと思います。

ちなみに、以上の式は、許容損失額を総資金額の1%とした場合です。2%まで許容する場合には、

損切り幅適正pips

のように損切り幅は2倍にできます。3%だったら3倍です。

以上のように、許容損失額を資金の何%とするかを決めれば、適正な損切り幅pipsはその時点のレートとレバレッジによって決まることがお分かり頂けたと思います。

ご自分のトレードの損切り幅が、大きすぎないか?小さすぎないか?是非チェックしてみてください。


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フルレバレッジの場合の損切り幅pips

大きいレバレッジの長所と短所は、

■少ない元手で利益を得ることが出来る という利点

■ 損失額が総資金額に占める割合が高くなる という欠点

があるということでした。

大きいレバレッジの短所である「損失額が総資金額に占める割合が大きくなる」という点については、

許容損失額を総資金額の1%以下にすれば、問題なくクリアできます。

それでは、フルレバレッジである25倍の場合の損切り幅はどのようになるか?をシミュレーションしてみます。

【例1】1ドル=80円の場合

損切り幅pips=レート/レバレッジ=80/25=3.2pips

結構小さいですね。

【例2】1ドル=100円の場合

損切り幅pips=レート/レバレッジ=100/25=4.0pips

【例3】1ドル=120円の場合

損切り幅pips=レート/レバレッジ=120/25=4.8pips

【例4】1ドル=150円の場合

損切り幅pips=レート/レバレッジ=150/25=6.0pips

・・・

のようになります。

レートが大きくなる(円安になる)につれて、適正な損切り幅pipsも大きくなっています。

これは、レートが大きくなると1枚のトレードに必要となる証拠金の額が大きくなり、総資金額の1%の額(=許容損失額)も大きくなるからです。

 

このように考えると、フルレバレッジ(25倍)に近いレバレッジでトレードをしている場合、

1時間足チャートを使って、損切り幅を30pipsでトレードする

などということは、自殺行為であることが分かります。

5分足でもボラティリティが大きければ、損切り幅pipsは15pipsなどにする必要がありますから、かなり危険と言えます。

 

現状のレート水準において、フルレバレッジでFXトレードを行う場合、適正な損切り幅pips

5pips以内

といえるのではないでしょうか。

そう考えると、フルレバレッジでは、損切り幅の大きい長期的なスイングトレードなどは不可能であることが分かります。

逆に、5pipsのLC幅で実行可能なトレード手法は限られてきます。

それが、1分足チャートでのスキャルピングです。私も実際、この手法でFXトレードを行っています。

 

この1分足チャートでのスキャルピングについては、次回お話します。

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