Facebookを使った集客には、ものすごく重要な指標が1つあります。

それは『オーガニックリーチ数』です。

オーガニックリーチ数とは、Facebookに投稿したコンテンツが広告を使わずに見られた数のことです。
ちなみに、投稿したコンテンツが広告を使って見られた数有料リーチ数と呼びます。

なぜ、オーガニックリーチ数が重要かというと、Facebookはオーガニックリーチ数を下げていくことを公式に宣言しているからです。
Facebook側の見解はこちらをご覧ください。

しかし、なぜFacebookはこのようなことをするのでしょうか。
そしてそれはECの集客や販売にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

この記事では、それら疑問に答えていきます。
数値は、弊社が運営しているベビー服EC『べびちゅ』の実際のデータを使います。

Facebookを使って集客するなら絶対に知っておくべき知識ですので、必ず読むようにして下さいね。

オーガニックリーチ数が下がると何が起きるの?

具体例で説明します。

例えばあなたのECが一生懸命Facebookページのいいねを獲得してファン数を増やし、1万人のファンを持つFacebookページになったとします。
しかしそのFacebookページにあなたが投稿したコンテンツは、決してファン全員には見てもらえません。
理由は、あなたのコンテンツがファンの一部のタイムラインにだけ表示されるようにFacebookがオーガニックリーチ数を制限しているからです。

つまり、オーガニックリーチ数が下がるとECへの集客も減少するということです。
これはECにとっては死活問題ですよね。

なぜFacebookはオーガニックリーチ数を下げるのか?

オーガニックリーチ数を下げるという決定に対しては、

「頑張って獲得したファンなのに、この仕打ちはひどい」

という声が世界中で起きました。

Facebookに広告費を払ってFacebookページのいいねを獲得していったECがほとんどでしょうから、世界中で不満が噴出したのは当然と言えば当然です。

冒頭で紹介したFacebook側の見解では、オーガニックリーチ数を下げる理由として主に次の2点を挙げています。

  • 投稿されるコンテンツが爆発的に増えている
  • だからユーザ毎にマッチング精度の高いコンテンツを表示したい

しかし、おそらく広告を販売したいという思惑もあるのだろうと思われます。
Facebookの収益源は広告手数料ですので、

「広告を使えば、たくさんリーチできますよ」

という形で有料リーチ数を伸ばす流れを作る方が儲かりますからね。

実際のオーガニックリーチ数はどれぐらいなのか?

それではここで、弊社が運営しているベビー服EC『べびちゅ』のFacebookページを見て、オーガニックリーチ数がどの程度の数値になっているのか見てみましょう。


(クリックすると拡大します。)

べびちゅではFacebook広告はこのところずっと使っていませんので、このグラフは全てオーガニックリーチ数を表しています。

5月13日以降で急激にオーガニックリーチ数が増えていますが、これは後ほど説明するとして、2月23日から5月12日あたりまでの数値をご覧ください。

平均すると4万リーチぐらいに見えますよね。
べびちゅのFacebookページはファン数が10万6千人程度で、1日平均3.42回投稿しています。
従って、1投稿あたりのオーガニックリーチ率は、

4万リーチ ÷ 3.42回 ÷ 10万6千人 = 11.0%

になります。

驚きますよね。
10万6千人のファンがいるFacebookページでも、1回の投稿あたり11%、つまり1万1千660人程度にしかコンテンツを見て頂けないようになっているのですから。

ぜひあなたのFacebookページのファン数に11%を掛け算してみて下さい。
FacebookページからECサイトへの集客はさらにその数パーセントしかありませんので、オーガニックリーチ数の制限が集客に与えるインパクトの大きさがわかるのではないでしょうか。

ではどうすればオーガニックリーチ数が伸びるのか?

もう一度、先ほどのグラフをご覧ください。


(クリックすると拡大します。)

5月13日以降にオーガニックリーチ数が急増していますのがわかりますよね。
この部分をアップにしたグラフを下記に掲載します。


(クリックすると拡大します。)

5月13日、14日、20日、21日は、オーガニックリーチ数が20万前後まで伸びていることがわかると思います。
実はこの4日間は、動画を投稿しました。

4万前後だったオーガニックリーチ数が20万前後まで伸びたのですから、動画を投稿することでオーガニックリーチ数が5倍になったということです。

では、このオーガニックリーチ数の伸びがEC(べびちゅ)への集客にどれぐらい貢献したかも見てみましょう。

下記の表は、FacebookページからEC(べびちゅ)への期間集客数と1日の集客数を一覧にしたものです。
2017年2月23日~2017年5月12日を基準期間とし、動画を投稿した2017年5月13日~14日及び2017年5月20日~21日を比較期間として計測を行いました。

  期間集客数 1日の集客数 増加率
基準期間
2017/2/23~5/12
50,252 636
比較期間A
2017/5/13~5/13
2,169 1,084 1.70倍
比較期間B
2017/5/20~5/21
4,360 2,180 3.42倍

期間集客数を1日当たりに直した集客数で比較すると、動画を使った場合の方が1.7倍~3.42倍の範囲でECへの集客増加に貢献したことがわかりますね。

しかし、いつも説明しているようにECの集客は販売に結びつかなければ無意味です。
そこで販売面での比較もしてみましょう。

Facebookに動画コンテンツを投稿すると受注件数は増えるのか?

下記の表は、FacebookページからEC(べびちゅ)への1日の集客数と受注率と1日の受注数を一覧にしたものです。
2017年2月23日~2017年5月12日を基準期間とし、動画を投稿した2017年5月13日~14日及び2017年5月20日~21日を比較期間として計測を行いました。

  1日の集客数 受注率 1日の受注数
基準期間
2017/2/23~5/12
636 1.05% 6.67件
比較期間A
2017/5/13~5/13
1,084 0.51% 5.52件
比較期間B
2017/5/20~5/21
2,180 0.39% 8.50件

Facebookページで動画を投稿したことでEC(べびちゅ)の受注率が0.51%、0.39%にまで落ちたことがわかります。

オーガニックリーチ数が5倍に伸びたことで、受注率という意味では集客の質が落ちてしまったということですね。

でも、受注率が落ちたという結果だけを見てFacebookページに動画を使うのは間違いだという結論は出さないでください。

1日の集客数と受注率を掛け算すると、1日の受注数がわかります。
それを見てみますと、Facebookから動画コンテンツを使って集客した場合、1日当たり5.52~8.50件の範囲で受注できていることがわかります。

動画を使わなかった基準期間が1日あたり6.67件ですから、Facebookページで動画投稿を上手に使えば、FacebookからEC(べびちゅ)に集客した際の受注件数を増やすことができるということがわかりますよね。

まとめ

いかがでしたか?

Facebookは今、テキストや写真だけのコンテンツよりも動画コンテンツの方を優先的にリーチさせています。
これはおそらく、テキストや写真の投稿に対して動画投稿は本数が少ないので、そちらの方を価値の高いコンテンツだとFacebookが判定しているのが原因ではないかと思います。
でも動画を作成するのってなかなか骨の折れる作業ですよね。
だからFacebookページに動画コンテンツを投稿しているECはまだそれほど多くありません

べびちゅでは、それをチャンスと捉えました。
そして2年前ぐらいから動画コンテンツをコツコツ作成して投稿しています。

でも実は、最初の頃はかなり闇雲に作成していました。
そして動画作成で社内業務が回らなくなるところまで行ってしまいました。
昨年ぐらいからどういう動画の時によく注文がくるのかといったデータを取り始め、かなり効率化が進みましたが、これからFacebookページで動画コンテンツを使った集客をするECの皆さんには同じような苦労をしてほしくありません。

この記事はそんな気持ちを込めて書きました。
何か1つでも役に立てて頂ければ幸いです。