英コンサート会場 19人死亡約50人負傷 テロとして捜査

英コンサート会場 19人死亡約50人負傷 テロとして捜査
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イギリス中部のマンチェスターのコンサート会場の周辺で22日夜、爆発が起きたと通報があり、警察はこれまでに19人が死亡、およそ50人がけがをしていて、テロ事件として捜査していると発表しました。
イギリス中部のマンチェスターで22日午後10時半ごろ(日本時間23日午前6時半ごろ)、市内にあるコンサート会場付近で爆発が起きたと警察に通報がありました。警察は爆発が起きた詳しい状況を明らかにしていませんが、これまでに19人が死亡、およそ50人がけがをしていて、テロ事件として捜査していると発表しました。

イギリスの公共放送BBCは、警察の話として、爆発がコンサート会場の入り口のロビー付近で起きたと伝えていますが、コンサート会場側は「昨夜のコンサートが終わり人々が帰ろうとしているときに事件が起きた。事件が起きたのは会場の外の公共の場だった」という声明を発表しています。

会場の中で撮影されたと見られる映像では、大勢の観客が悲鳴をあげながら逃げようとする姿が映っています。
警察は市民に対し周辺に近づかないよう呼びかけていて、現場に近いマンチェスター・ビクトリア駅への立ち入りも制限されているといるということです。

会場ではアメリカの歌手アリアナ・グランデさんのコンサートが行われていて、地元メディアによりますと、グランデさんはけがはないということです。

また、外務省邦人テロ対策室によりますと、午前10時半現在、日本人が被害にあったという情報は入っておらず、引き続き確認を進めているということです。

目撃者「大きな爆発音 銃声のような音も」

地元メディアによりますと、目撃者の話として、「大きな爆発音とともに、銃声のような音が聞こえた」とか、「大きな爆発があり、自分の席でも振動を感じ、現場は混乱していた。会場にいた人たちは、走ったり、叫んだりしながら現場から離れようと必死だった」などと伝えています。

また、別の目撃者は「大きな爆発音を聞いて、会場にいた人たちはどうしたら外に出られるのかを尋ねていた。多くの人が救急車で手当てを受けているのを見た」と話しているということです。

現場はマンチェスター中心部

現場は、マンチェスターの中心部にある「マンチェスター・アリーナ」で、マンチェスター・ビクトリア駅に隣接し、観光客に人気のマンチェスター大聖堂から数百メートルの距離にあります。
アリーナのホームページによりますと、収容人数は2万1000人、ヨーロッパ最大の屋内競技場で、1995年に運営を始めて以来、U2やローリング・ストーンズといった著名なアーティストがコンサートを開いてきたほか、バスケットボールや水泳の国際大会などスポーツの会場としても親しまれてきました。
22日は午後7時半すぎから10時半ごろまでの予定で、アリアナ・グランデさんのコンサートが開かれていました。

イギリス 過去にもテロ相次ぐ

イギリスではことし3月、ロンドン中心部の議会議事堂の近くで、イスラム過激派の影響を受けたと見られる男が車で歩行者を次々とはねたあと、ナイフで警察官に襲いかかり、5人が犠牲になる事件が起きたほか、先月(4月)にも議会議事堂前から首相官邸につながる大通りで、刃物を隠し持っていた男がテロを企てた疑いで警察に拘束されました。

イギリスでは、過去には大規模なテロ事件も起きていて、2005年7月にはロンドンで朝の通勤時間帯に地下鉄の車両やバスが相次いで爆破され、52人が死亡、およそ700人が重軽傷を負う同時多発テロ事件が起きました。

さらに2007年6月には、ロンドンの繁華街で爆発物が仕掛けられた車2台が見つかったのに続き、イギリス北部、スコットランドのグラスゴーで、空港の建物に車が突っ込んで炎上しました。

ヨーロッパではここ数年、大都市でのテロが再び多発する傾向を見せているため、イギリス国内でも警察をはじめ治安当局がテロへの警戒を強化していました。

官房長官「断固として非難」

菅官房長官は閣議のあとの記者会見で、「多数の死傷者が発生していることに強い衝撃を覚えている。仮にテロだとすれば、このような卑劣なテロ行為は断じて許すことはできず、断固として非難する。日本はイギリスの皆さんに対し強い連帯を表明したい」と述べました。

そのうえで、菅官房長官は「事件直後、現地在外公館に現地対策本部を立ち上げ、情報収集を進めるとともに、日本人の安否確認に全力を挙げて取り組んでいるが、現時点までに日本人が巻き込まれたとの情報には接していない」と述べました。

一方、菅官房長官は、国内でのテロ対策について「東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、安全確保は開催国の最大の責務であり、国際社会と連携し、危機感を持ってテロ対策に万全を期している。国際テロ情報収集ユニットを新設して、官邸直轄で情報の収集・集約を行う体制をとっている。さらに水際対策、重要施設やソフトターゲットの警戒・警備の、官民一体となったテロ対策も一層強化している」と述べました。