英マンチェスター・アリーナで爆発 19人死亡多数負傷 コンサート直後
英中部マンチェスターで22日午後10時35分(日本時間23日午前6時35分)、人気歌手のコンサートが行われていたマンチェスター・アリーナで爆発があり、少なくとも19人が死亡し、約50人が負傷した。爆発の原因は明らかになっていないが、警察はテロ事件とみて調べている。
米歌手アリアナ・グランデさん(23)のコンサートが終わった直後に爆発があった。英交通警察は、爆発はアリーナ建物内のロビー通路付近で起きたと話している。入り口付近のチケット売り場の近くだったという目撃者情報もある。
警察は24日午前1時過ぎに会場近くで制御爆発を行った。当初は不審物と思われていたが、警察は不審物ではなかったと明らかにした。
現地で取材するBBCのティム・アシュバーン記者が、負傷者の手当てをしたボランティア救急隊員に話しを聞いたところ、負傷者は「金属片によるもののような」けがをしていたという。
匿名の米政府当局者2人による未確認情報によると、自爆攻撃の可能性が示唆されている。
マンチェスター・アリーナはマンチェスター・ビクトリア駅に近い。爆発を受けて駅は閉鎖され、列車の運行は休止された。
BBCのダニエル・サンドフォード内務省担当編集委員によると、テロ担当の高官たちがロンドンに集まり、内務省と連絡を取りあっているという。
マンチェスター・アリーナは正式名称「MENアリーナ」で、コンサート収容人数1万8000人。
テリーザ・メイ英首相は、6月8日の総選挙に向けた選挙活動を中止し、「犠牲者と影響を受けた人たちのの家族のことを思っている」と述べ、事実関係の全容を把握するため関係各省と共に取り組んでいると話した。
野党・労働党のジェレミー・コービン党首は、「マンチェスターでひどい事件が起きた。影響を受けたすべての人と、素晴らしい救急対応機関に思いを寄せている」とツイートした。
グレーター・マンチェスター圏のアンディー・バーナム市長は、「愛する人を失った家族の方たちに心から同情する。勇敢な救急機関は尊敬する。この素晴らしい街にとってひどい夜だ」と述べた。
10メートル近く飛ばされた
コンサートを観ていた妻と娘を迎えに行ったアンディー・ホーリーさんはBBCに対して、「待っていたら爆発があり、入り口の近くから別の入り口のところまで、10メートル近く吹き飛ばされた」と話した。
「立ち上がると、床に倒れている人たちがいた。場内に入って家族を探そうと、真っ先に思った」
「見つからなかったので外に出ると、警察や消防が来ていて、倒れている人の中に妻や娘がいないか探して回った。結局は2人を見つけて、2人とも無事だった」
「確実に爆発で、かなりの勢いだった。アリーナ入り口のチケット売り場の近くだった」
15歳と17歳の娘を迎えに、夫と会場を訪れたというエマ・ジョンソンさんは、「間違いなく爆弾でした。間違いなく場内のロビーと通路でした」とBBCラジオに話した。
「階段の一番上に立っていたら、ガラスが爆発した。関連商品を売っている場所の近くだった。建物全体が揺れた。まず爆発があって、それから火が一瞬にして噴き出した。あちこちに人が倒れていた」
ミドルスバラから会場に来ていたロバート・テンプキンさん(22)は、「みんな叫びながら走っていた。大勢のコートや携帯電話が床に散らばっていた。みんな色々なものを落してもかまわず走っていた」と話した。
「血を見たと叫んでいる人もいたし、風船が爆発したんだとか、スピーカーが壊れたんだとか言っている人もいた」
現場にいたというジョシュ・エリオットさんはBBCラジオの取材に「バンて大きい音がして、みんな固まって、悲鳴をあげて。みんなその場で床に伏せた。とんでもない混乱状態で、ひどかった」と話した。
「みんな泣き叫んで(中略)あちこちにパトカーが来ていた」
「何がどうなっているか分からなかったので、ともかくすぐに外に出たかった」
アリアナ・グランデさんはアイドル出身の米ポップ歌手。主に10代の若者に人気で、現在は欧州ツアー中。バーミンガム、ダブリンと演奏を重ね、マンチェスターの次は24日と25日にロンドンのO2アリーナに出演する予定。
事件発生の情報が出回りはじめて間もなく、市内の大勢の人が「#RoomForManchester (マンチェスターに部屋)」というハッシュタグを使い、帰宅できなくなった人に部屋を提供する情報をソーシャル・メディアで共有しはじめた。