特集
2017年5月23日
「"シャチハタはだめ"は差別ではないんですかー!」名古屋本社に聞きに行った
なにか大事な書類にハンコを押すときにあらわれる「シャチハタはダメ」の文言。何度も何度もシヤチハタはダメだと言われる。かわいそうに。これはシヤチハタへの差別ではないのか。
こんなにダメダメ言われる会社ないじゃないか。シヤチハタの人はどう思ってるのだろう。きっと傷ついてるのではないか。シヤチハタの人に聞いてきた。 > 個人サイト Twitter(@ohkitashigeto) 明日のアー 広報の方に聞いてきた名古屋にやってきた。シヤチハタ(※社名の場合は大きい「ヤ」表記だそうです)のシヤチはしゃちほこのしゃちであり、ここにシヤチハタ本社がある。
対応してくださったのはシヤチハタの広報さんたちだ。 左からシヤチハタ広報部の山口さん向井さん纉cさん。偉い順です。
シヤチハタに聞いてきたよく来てくれた、大北さんの前の記事見たけどおもしろかった、さあシヤチハタの汚名を晴らしてくれと言わんばかりの歓待ぶりである。これはさぞかし差別されてうっぷんがたまっているのだろう。
――メールでご相談したとおり「シャチハタはダメ」と言われることが多いなと思いまして…… 山口「行政の文書などでは『ダメ』というか『シャチハタが不可』という書かれ方してますね。でもそれはこちらのカタログにも『印鑑証明には使用しないでください』と書いてるんですよね」 ――あ、「シャチハタはダメ」ってのはすでにカタログにあるんですね……じゃあもしかしてこれは差別ではない? 山口「……差別?」 これが「差別?」と困惑されたみなさまを捉えた一枚である。右側の向井さんは事前に差別かどうか考えてくださっていたが…
差別ではないが、一抹の寂しさは感じている……なんだろうこの時間は。一体この人は何を言ってるのだろうというこのまとわりつくような空気はなんだろうか。
向井「あのー、今回差別ではないかというお話をいただいてから社内で聞いたんですけど、そもそもカテゴリーがちがうといいますか……差別を受けてる気もなくて。 ただ、女性で一人だけ『さびしいな』と思っているという者はいました。他は『もうしょうがない、慣れちゃったな』というところが本音ですね。でもまあ『さびしい』という気持ちもね……あることはありますね(笑)」 ――やっぱり。シヤチハタの人はさびしい思いをしてる、と 山口「そうですね、なんとなく会社を否定されてるさびしさはありますね(笑)。実際に子供から『お父さんの会社なんでだめなの?』って言われたら、いやいやちがうんだ、ってなりますよね」 ――社員さんの中にはそういう事例あるんですか! 「あると思いますよ。学校からもらったプリントに『シャチハタ不可』って書いてあったらそうなるんじゃないじゃないですかね。 社員は知ってるからいいですけど、みなさんは『シャチハタが不可』がなぜなのか知らないから」 やはりこれは道徳の教科書で取り扱うべき案件である。シヤチハタの社員さんの子供さんたちが傷つかないことを願うばかりだ。 これが"シャチハタ"と呼ばれるXスタンパーのネーム9。印鑑証明はやめとけとカタログに書いてあった
なぜ「シャチハタはダメ」が生まれたのか――本当に、こんなに不可不可言われる会社ないですよね…
山口「ですねえ……」 向井「そこは今回そう思いましたね。そう言われたらたしかに不可不可、不可不可、書いてあるなと……」 ――やっぱり「シャチハタはダメ」なんですかね…… 山口「いやいや、ダメというのは銀行の登録印や印鑑登録がダメなだけで。一般的な会社内のやりとりや宅配便の受け取りはもちろん大丈夫です。 "シヤチハタ"というのは登録商標であって浸透印を表す一般的な名称ではないですから。なので『シャチハタはダメ』とは『シャチハタ製の浸透印はダメ』ということなんです」 ――わかってます! ええ、もちろんわかってるんです! 山口「そもそもこれはスタンプ台がいらない浸透印"Xスタンパー"というシリーズなんです。その中の名前用のスタンプで今は"ネーム9"、かつてはシヤチハタの"ネーム"という商品名でした。 それが『シャチハタネーム』と呼ばれてるうちに次第に『シャチハタ』だけ頭に残ったんじゃないですかね」 ――そして「シャチハタはダメ」という言葉が生みだされたと。定着が災いしてこんなことに! シヤチハタのショールームで見せてもらった龍の絵
「目」や「牙」といったパーツ名のハンコでできている。一体なんだってそんなことを…!!
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