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台湾、WHO総会参加できず 「中国が遮断」

2017/5/22 23:25
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 【ジュネーブ=原克彦、台北=伊原健作】世界保健機関(WHO)の総会が22日開幕した。2009年からオブザーバー参加してきた台湾は中国との関係悪化を受け参加が認められなかった。中国は「一つの中国」の原則を掲げ、国際機関を通じ蔡英文政権に圧力をかける狙い。中台対立は感染症対策など世界で情報共有が必要な分野に悪影響を及ぼす恐れがある。

 「中国は我々を不当に(WHO総会から)遮断している」。台湾の陳時中・衛生福利部長(衛生相)は22日にジュネーブ市内で記者会見し、中国からの圧力に反発した。陳氏は「蔡政権は(中国との関係で)積極的に現状を変えるようなことはしていない」とした。

 一方、中国外務省の華春瑩副報道局長は22日の記者会見で「WHOは(中国大陸と台湾が1つの中国に属するとの)『一つの中国』原則を順守する必要がある」と述べ、台湾が本原則を受け入れない限り総会に参加できないとの認識を示した。WHOは中台関係への関与には消極的な姿勢だ。

 台湾は中国との関係から国際的な活動が制限されてきた。WHOについては対中融和を進めた国民党の馬英九・前政権が中国の容認を取り付け、09年から「中華台北」として総会へのオブザーバー参加が可能となった。

 昨年5月に発足した民主進歩党(民進党)の蔡政権は「一つの中国」原則の受け入れを拒み、中台関係は冷え込んでいる。昨年9月の国際民間航空機関(ICAO)総会に参加できなかった。昨年のWHO総会は出席こそできたが、招待状には「『一つの中国』原則に基づく特別措置」との異例の一文が付されていた。会議から締め出された今回は中国の圧力が強まったことを意味する。

 WHOでは加盟国・地域間での連携が一段と重要性を増している。国境をまたぐ人の移動が増え、情報不足の国・地域から感染症が一気に世界に広がる危険性は増す。

 03年には中国が重症急性呼吸器症候群(SARS)に関する情報開示に消極的で、感染者増と混乱につながった。中国が台湾への圧力のためにWHOを使う動きが常態化すれば、感染症のパンデミック(世界的大流行)の遠因となりかねない。

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