ぶりっ子という概念は日本独特のものであるようで、一種の日本文化なのかもしれない。
韓国人夫の反応
トボけた振る舞いに弱い印象のある韓国人夫でも、日本のぶりっ子の言動をテレビで見てドン引きしていたのは少し意外だった。韓国ではアイドルに「セクシーさ」が求められるので、どちらかというと北米に似ているのかもしれない。可愛い系で売っているアイドルもいるわけだけど、セクシー系グループには人気が及ばないらしいし、セクシーに憧れる女性ファンも沢山いるのだそうだ。
韓国でタレントがぶりっ子したら
夫に「日本では、”ぶりっ子は嫌いだって言いながらもそれは女性向けの発言であって、結局男はぶりっ子が好きなんだ”って、嘆いている人の発言をネットで見かけたよ」と言ったら、
夫は「ウソだろ?!」と。
私:「じゃあ、韓国アイドルがぶりっ子したらどうなるの?周りは少し笑いつつも、かわいー。とか、はいはいって言いながらも、さらなる要求をしたりしないの?」
夫:「この人、テレビに出て良い人なのかな・・・ってなるかも。俺ならソッコー番組変える(真顔)」
だそうです。
自分がぶりっ子であるという意識がある方は、お気をつけあそばせ。
ってことで今回は、カナダの西海岸に住んでいる時に出会った「ぶりっ子女子」の話。
天然だと思われたいぶりっ子女子
過去に出会った人々を思い出すと、そこまで容姿に恵まれたとはいえない女子が、男にモテるために一番手っ取り早いのは二通り。
「天然ぶる」か「ぶりっ子」をすることだ。
ほんわかしていた性格だったり癒し系と言われるには、育った環境や親の性格なんかも影響してくるようなので、作りあげるというのは多分難しいんじゃないかと思う。
それで、手っ取り早いのがまず「天然ぶる」こと。まぁ、企業努力というやつなのだろう。
西海岸で出会ったこのぶりっ子ちゃんはワーキングホリデーで来ていた子で、まさにそれだった。しばらく日本生活から離れている私からすると、観察対象として面白いと感じるほど自己プロデュースに長けている子だった。「子」というのは、自分にとってはかなり年下であったから。こちらは結婚もしているので「恋のライバル」にはなりえないことと、日本独特な女子を久々に見たという興奮と興味で、彼女には申し訳ないが多少好奇な目で見ていた。
エセ天然
そんな彼女だけど、「天然」ではないということにはすぐに気づいた。
「天然」だと周りから言われた時の「◯◯(自分の名)、天然じゃないよぉぉ」と返した時にチラッと見せる「ニヤッ」とした笑い、
それと、話題が他の女子に集中してしまった時に見せた彼女の「嫉妬に満ち溢れた憎悪の視線」に気づいてしまった時、彼女の「天然」は「天然ではない」ことを悟ったんだ。
こんな調子なので、同世代の女性からは好かれてはいないようだった。「ぶりっ子」ということでかなりネタにされていたようだけど、海外生活数年の自分にとっては「シーラカンス」に出会えたような物珍しさがあった。性格自体は悪いわけではなさそうなので害はないだろうと思い、彼女から誘われればお茶をすることもあった。
その日も彼女からお茶に誘われていた。
今思えば要するに使われていただけなのだけど、狙っている男が外国人である場合、自分もそこに呼ばれることが多々あった。
2人きりだとデートになってしまうので少し重いし、結婚しているのでライバル化する可能性がなく安心だということ、それと、来たばかりの人たちからすると英語が多少できるということで、保険のような感じで呼ばれていた。ひどい人になると、私を介して相手と話す人もいたりね。
って、私はWi-Fiか!
カフェに誘われた
その日呼ばれたカフェに行くと、彼女の先にはカナダ人男性が座っていた。普通のどこにでもいるTシャツに短パンのカナダ人で、特にイケメンでもない中肉中背の普通の人だった。言語交換目的か何かで出会ったのだろうか。
出会ったばかりでお互いのことは殆どまだ知らないとのことだったのに、どうも、彼女はその彼を狙っているようだった。日本式手法で。
ぶりっ子炸裂
誘われたのは私だけではなく仲が良かったKちゃんもいた。だから出かけたんだ。このぶりっ子の彼女とはまだ出会ったばかりで、かといってそのカナダ人男性は初対面なので、Kちゃんが来るまでどうやって時間を過ごそうかと少し心配になった。「何か飲みながらKちゃんを待とうかな」と、コーヒーを注文してから席についた。
Kちゃんは時間の約束を破るような子ではなかったので、1時間くらい後からやってきた彼女のことを考えると、もしかするとこのぶりっ子ちゃんが狙って少し時間を変えて集合させたのかもしれない。考えすぎかもしれないけど。
ぶりっ子な彼女の名前は「みのり(仮名)」だか「いのり(仮名)」だった。なので以降は、Mと呼ぶことにする。
Mの謎言動
Mはホットチョコレートを頼んでいた。
そんなに寒くもない店内で、着ていたセーターの裾からちょこっとだけそれぞれ手を出し、そこまで大きくもないコーヒーカップを両手で一生懸命持っていた。
「フゥーフゥー」と飲み物を覚ますことをする人はいるだろうけど、
Mは「フゥーフゥー」と普通に高い声で言っていた。
?!?!?!
話をしていく中で。
そのカナダ人男性は、英語が母国語でない人の英語を聞くということに慣れた様子で、わかりやすい単語を選んでとてもゆっくり話してくれていた。それでも来たばかりのMにはまだ難しい様子で、助けを求めるように私の方を見てくるとその度に意訳した。(ペラペラというわけではなないです、ホントに。涙)
それに対して、Mは一生懸命英語で返す。
一応自分で英語で返そうとしているところに好感を持ったので手伝っていたけれど、
Mが相手のカナダ人男性の話を聞く時の
表情や態度がおかしいことに気づいた。
首
首を何度もかしげながら話を聞いているので、最近野鳥のドキュメンタリーでも観たのだろうかと思った。しかも、首は一方向のみ かしげらる。
首が凝っているのか、それとも、もしかしてたけしの「何だ馬鹿野郎!」がしたいのか。いや、彼女の場合は違うだろう。謎すぎる。
何度も何度も首をかしげるので、最後の方はそれに合わせて「コケッ♪」と心の中で言っていたのはここだけの話。
後日調べたところ、これはぶりっ子の典型的な行動例であるそうだ。鳥のマネがぶりっ子に?! なぜそうなってしまうのかわからない私は、海外に長く住んでいるということなのかもしれない。
口
さらにM、口を尖らすとは違うけれど、唇をやや突き出すような感じでも話を聞いていた。何度も何度もその口にすることをやり直しているので、「小顔ダイエットか?」それとも「歯茎がむず痒いのか?」としか思えなかったけど、突っ込むのもやらしいと思ったので何も言わなかった。
後日、知り合いに聞いたところ、これは「アヒル口」と言って男を落とすテクなのだそうだ。
確かに、それを有村架純がすれば可愛いと思うのかもしれないけれど、外国暮らしの私には、一般人がそれをしたところでどうなのかと思ってしまった。しかも、日本フリークでもないカナダ人男性を相手に。
その他
「ええーでもぉー」
「M、わかんなぁーーい」
「M、◯◯なんだもんっ」
他に、カナダ人男性が少しからかうと、頬を「ぷぅぅぅぅーっ」と膨らませていた。
日本語を話しつつ、その後に英語も話す彼女。
彼女が天然でないことは疑いもなく、むしろかなり器用な方なのではないかと思った。
自分だったら、二言語をほぼ同時に話すだなんて面倒臭くて仕方ない。
謎言動の1つとして、
Mは飲んでいるホットチョコレートを「おいしーーー♡」という時に、
「モキュ♡」というような声を出した。
アニメかなんかの真似なのか、小動物の音なのかはわからないけど、私には最近の日本事情がわからないのでなんだか怖くなってきてしまった。
これについては調べても出てこなかったので、分かる人がいたらぜひとも教えていただきたい。
限界・・・
はやく、Kちゃんにカフェに来てほしかった。
もういい加減勘弁してよ。1人じゃきついわ。処理しきれないわ。
Kちゃん、た・す・け・てー!
そう思い始めていると、Mがトイレのために席を離れた。
すると、さっきまでどちらかというと聞き役として、
微笑を浮かべながら話を聞いていた
カナダ人男性が開口一番、
「彼女、(アタマ)大丈夫?」
とても困った表情で、ジェスチャー付きで聞いてきた。
日本のぶりっ子は、やはり海外では通用しないらしい。
アゲイン、自分がぶりっ子であるという意識がある方は、お気をつけあそばせ。