自殺率が突出して少ない町があるそうです。
日本の自殺者数の推移
2016年の年間の自殺者は約2万2000人ほど。
主な原因は、健康問題や経済問題、自殺者の多くは中高年や高齢者。
今まで大体約2万人だったのが、1997年から98年にかけて一気にあがっています。
これは金融不安が原因です。山一證券、北海道拓殖銀行、日本債券信用銀行、日本長期信用銀行などが破綻、貸し渋り、貸し剥がしが起こった時代です。
2010年以降、再び除々に2万人台に減っていくのは、団塊の世代がリタイアしたということが理由にあるかもしれません。
G7(先進7か国)、日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダの中では、日本は一番自殺者が多い。
自殺の少ない町
日本全体で自殺が多いのではなく、多い地域と少ない地域があります。
中でも極めて自殺の少ない町というのが、徳島県海陽町(旧 海部町)
・2006年 海南・宍喰・海部が合併し海陽町に
・旧海部町に約2000人が居住
・高齢化率(65歳以上)43%
平成の市町村大合併の前3318の市町区村の30年における自殺件数のデータを解析したところ、「旧 海部町」が突出して自殺率が低いことが明らかになりました。
(人口10万人対自殺率の平均値8.7)
この町が注目されるキッカケになった本「生き心地の良い町」
- 作者: 岡檀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/07/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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こちらの本の著者 岡 檀(まゆみ)さんは、旧 海部町が離島を除いて、自殺が最も少ない自殺「希少」地域であることを突き止めました。
著者「すごく助け合っていて、皆の仲が良くて絆が強いイメージ、自殺予防に絆が大事とはよく出てくるので、でも結果はむしろ逆で・・・」
この町独特生活習慣や生き方が見えてきました。
この町ではよく話す人たちが多い。
・共同物干し場
→ベランダや物干し台がない家も多く、必要にかられてできたものですが、人々の交流の場になっています。
・店
→店と呼ばれる建築様式、雨戸が椅子に早変わりして井戸端会議に絶好の場所になります。
こういった町の特徴はプライバシーがないと考えがちになりますが、「詮索」ではなく適度な「関心」を互いに持っているようです。
町には話の中で自慢をする人は少なく嫌われる傾向にあるといいます。
最近顔を見かけない人や体調を崩している人たちの家を見回っている人たちもいました。
自殺予防因子
1.いろんな人がいたほうが良い(外からの人の出入りを気にしない)
2.人物本位主義(学歴や肩書にこだわらない)
3.どうせじぶんなんて・・・と考えない(どこかに自分の役割や居場所がある)
4.「病」、市【いち】に出せ(町の言い伝え、病気やほかの問題も隠さない)
5.ゆるやかにつながる(詮索せず適度な関心)
行き辛さの嵩じた先に自殺があるとすれば、自殺の少ない社会は行き心地の良い環境です。 5つの自殺予防因子のどれか1つを取り入れるだけでも変わっていくのではないでしょうか。
ということでした。