中国で日本人6人拘束 温泉探査の仕事で訪問

中国で日本人6人拘束 温泉探査の仕事で訪問
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中国企業の依頼を受けて現地を温泉探査の仕事で訪れた日本人合わせて6人が中国当局に拘束されていることがわかりました。「国家の安全に危害を与えた疑い」が持たれているということで、現地の日本大使館や総領事館が対応しています。
日本の外務省によりますと、ことし3月、中国を訪れている日本人6人を拘束したと、中国の当局から連絡があったということです。

関係者によりますと、この6人は全員、中国の企業から温泉探査の依頼を受けて現地を訪れていたということですが、中国の海南島三亜と山東省煙台でそれぞれ3人ずつ、拘束されたということです。

このうち海南島では、20代から50代までの日本人男性3人が現地を訪れたところ、3月末に地元の国家安全局に「国家の安全に危害を与えた疑い」で拘束されたということです。6人の名前などは明らかになっていませんが、現在も拘束されているということです。

6人のうち4人は、地下水や地盤の調査を行う千葉県船橋市にある「日本地下探査」から現地へ派遣されたということです。

中国政府は3年前の2014年に反スパイ法を施行し、海外の組織や個人が国家の秘密や情報を盗んだり探ったりすれば、スパイ行為にあたると定めるなど、外国人の活動への監視を強めています。

中国ではおととしから去年にかけて、日本人の男女5人が「国家の安全に危害を与えた疑い」で当局に拘束されていて、今回、拘束された6人についても、現地の日本大使館や総領事館が対応しています。

4人派遣の会社「違法なことをした認識はない」

拘束された日本人6人のうち4人を中国に派遣した千葉県船橋市に本社を置く「日本地下探査」は、22日夕方に記者会見を開き、従業員の早期帰国を訴えました。

船橋市にある「日本地下探査」の本社では、佐々木吾郎社長ら3人が午後6時から記者会見しました。会社側の説明によりますと、中国での温泉開発に向けた事前調査のため、現地の企業から技術指導の依頼を受け、ことし3月下旬に山東省蓬莱市に3人、海南省五指山市に1人の従業員を派遣しました。

4人は、年齢が20代から70代の男性で、いずれも4月1日に帰国する予定でしたが、数日後には連絡が取れなくなり、外務省に確認を依頼したところ、現地の当局に拘束されていることがわかったということです。

会社側によりますと、現地の日本総領事館の担当者がこれまでに4人全員と面談した結果、体調や健康面に問題はなく、非人道的な扱いは受けていないという連絡があったということです。4人はいずれも、これまでに中国で同じような業務を複数回行っていて、トラブルなどはなかったということです。

佐々木社長は、「会社としては、違法なことをした認識はない。これまでも中国で温泉開発の手伝いをしていたが、このようなことになり困惑している。早く誤解が解けて、拘束された従業員4人を含む6人が早期に帰国できるよう、外務省を通じて働きかけていきたい」と述べました。

官房長官「適切な支援している」

菅官房長官は午後の記者会見で、「本年3月に、山東省および海南省で、それぞれ日本人男性3人、計6人が中国当局に拘束された旨、中国側から通報があった。政府としては6人が中国国内法違反があったとして、当局に拘束されたと通報を受けているが、それ以上の詳細については事柄の性質上、控えたい。いずれにしろ日本政府としては、邦人保護の観点から、在外公館等を通じて、適切な支援をしている」と述べました。