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 飲酒運転による交通事故を抑制するため、インド最高裁が国道や州道沿いでの酒の販売を禁止した。これに対し、レストランやバーのほか、税収減を避けたい州政府などが、あらゆる手を使って販売を続けようと奇策を繰り出している。

 最高裁は4月1日以降、国道や州道から原則500メートル以内での酒の販売を禁止した。デリー近郊のハリヤナ州グルガオンでは、正門を閉鎖し、裏口に客を迂回(うかい)させるホテルやバーが続出。道路からの距離のはかり方を「直線」ではなく「走行距離」と解釈し、500メートル以上と主張できるようにするためだ。

 バーを経営するハープリートさんは「高級ホテルやバーは、州政府にとっては大事な税源。走行距離と解釈することは州が認めている」と話す。

 パンジャブ州やウッタルプラデシュ州などでは、州道の指定を取り消して県道や市道に「格下げ」する対策も広がっている。

 「禁酒令」で酒を提供できなくなったり、閉鎖したりした飲食店も少なくないという。ただ、対象を国道や州道沿いに限ったところで、そもそも飲酒運転の抑制につながるかは不透明。最高裁の命令を疑問視する声は多い。(ニューデリー=奈良部健)