こんにちは、理系男子るびこです。
もうほとぼりも冷めた頃でしょうか。
私は数少ない小保方さん擁護派でした。
擁護派というと語弊があるかもしれませんが、とにかくもっと別の終わり方があっただろうな、と思っています。
果たして何がいけなかったのか。
悪かったと思うものを2つ挙げ、STAPの今後についても少し触れていきます。
※この記事はSTAP現象に関する論文を肯定するものではありません
※この記事は研究データの改ざん・捏造を支持するものではありません
1.メディアが悪い
もうストーリーとしては大どんでん返しでフィクションなのかと思うくらい。
そりゃあこぞって取り上げますよね。数字がとれそうです。
あれだけメディアが盛り上げたから、それにすがって私もこうやって記事をかいてるわけでもありますが。
これ以上ない掌返し
もう説明はいらないと思います。
STAP細胞の発表直後は
「iPS細胞はもう過去のもの」
と言わんばかりのSTAP細胞褒めちぎり。
加えてファーストオーサーが若い女性なもんだから、もうメディアも大喜び。
実験室の壁を塗り替えたり、割烹着を着て実験したり・・・
ほんとうにお誂え向きな存在でした。
研究不正疑惑が浮上してからは、もう目も当てられません。
それまで散々持て囃して数字を集めておいて、そこから一転・完全に悪者扱い。
もし小保方さんが若い女性じゃなかったら・・・
ここまで大問題にはならなかったような気がします。
結果論になっちゃいますけど、悪い意味で話題性がありすぎましたね。
問題がないのなら大いに話題になってもらって構わなかったのですが。
2.雑誌編集者(あるいは査読)が悪い
学術論文を投稿する際のステップに「査読」というものがあります。
その論文の内容が正しいか、その雑誌への掲載に値するかを専門家に審査してもらいます。
その審査を受けて、加筆修正や追加実験などを行い再度投稿します。
結構その査読を通過するのが難しかったります。
再現性チェックしてないの?まさかね
本来なら再現性は必ずチェックされるもの。
問題視されてから追試や検証実験を行っていますが、論文の投稿前にも同様のことは行われているはずです。
私自身も別の論文の再現実験をしたことは何度もありますが、まあ再現しないしない。
論文のようなキレイなグラフは得られないことがほとんどです。
でも、せめて本人なら再現させて欲しいところ。
アーティファクトを観測するのはよくあること
理化学研究所によると、論文で観測したのは「混入したES細胞」だそう。
参考リンク:
http://www3.riken.jp/stap/j/c13document5.pdf
このような本来観測したいもの以外に由来する信号をアーティファクトと呼びます。
現象そのももではなく、現象を観測するためにやったこと由来のシグナルのことです。
結果がでた!と思ったらアーティファクトだった・・・
ってのは日常茶飯事です。
よくあるんだから査読もまず疑うはずだけど・・・
アーティファクトだったのはいいとして、問題はそこに恣意性があるのかどうか。
恣意性があったら捏造になってしまいます。
それでも早く投稿したいもの
再現性の確認やアーティファクトの検証など、研究者がやりたいことは山ほどあります。
でも科研費の関係だったり、任期の関係だったり、論文投稿のタイミングも同様に重要だったりします。
そうじゃなくても、一日前に同じ研究結果を別のチームが報告してたら、一気にこれまでの研究の価値がなくなってしまいます。
徒労ってこと。
でも先に掲載さえしてしまえば、成果はその人のものになります。
同じ結果を見せるなら、より写りの良いものを
データを提示するときは、同じ結果を示唆するものでも
- 写真ならより写りの良いものを
- グラフならその傾向をよく表しているものを
と思ってしまうのは仕方ないことです。
そして、往々にしてPCの中には「異なる実験で同じ結果を示すデータ」が溢れています。
故意にデータを転用したにしろ、間違ってしまったにしろ、データの管理は慎重にしたいものです。
例の論文の査読を読んでみた
こちらのリンクに査読の原文が記載されています。
やはりReviewer 1にも
I suspect that the results are artifacts derived from the following processes…
アーティファクトを疑われています。
I think these are more likely to be ES cells acquired by cross contamination and selected for growth by the B27-LlF medium.
さらにはES細胞のコンタミ(混入)も示唆されています、有能。
他の2人もなかなか厳しめのコメントでした。
ここで未然に論文をリジェクトしててくれれば・・・あとの祭りですね。
間違いは誰だってある
学術論文が全て正しいとは限りません。
過去に、遺伝情報はDNAではなくタンパク質が担うと信じて誰も疑ってなかったし、
もっと遡ればもう全員が天動説信者(こちらは宗教的な理由もありますが)。
もちろん小保方さんやその共同研究者の方々も「みんなを騙して一儲けしよう」なんて微塵も考えてません。
本当にSTAP細胞が存在すると思っていたわけです。
(ひょっとしたら多少疑問に思っていた研究者はいたかもしれません)
研究成果が出たら論文にしていいんです。
それが間違ってたら「ごめんなさい」でいいんです。
捏造はダメだけど。
間違いかもしれないけど、可能性を提示することで科学は進歩する
再現性は低いと知っていても「STAP現象」が世界に知れ渡れば、世界中で研究対象になります。
そうすれば誰かがもっとよく再現する手法を確立してくれるかもしれない。
より簡単な手法も発見されるかもしれない。
(インパクトファクターももりもり稼げるかもしれない。)
今日のぐうの音
データ捏造は許されることではないが、社会的制裁の度が過ぎている。
というのが今日のまとめです。
実はSTAP細胞の存在自体はまだ否定できなくて、
小保方さんの方法ではどうやら作製できないらしいってことしか断言できないんです。
だからSTAP現象を確認できる他の方法が見つかるかもしれません。まあ、日本じゃもう無理でしょうけど。