通称「ムラ様」。NHKで昔突如放送された『タコ5』の映像に仰天したなぁ。
ティンパニーが革破れるくらいぶっ叩いてんの!

轟音による爆演が多いロシア(ソビエト)の指揮者・オケの中でも、非常に理知的で、透徹した演奏をした指揮者。
でもロシアの指揮者は癖が強い。ゲルギエフもそうだけど、ムラ様も凄かった。
『ルスランとリュドミラ』序曲なんかは当時世界最速で(その後ゲルギエフが更新)、とにかく速い。
しかし『チャイ5』の第四楽章は理想的とも言えるテンポで、あれを聴いてしまうと他のがタルくて聴けなくなる。

ミスった楽員はシベリア送りにされたという噂のある厳しいリハーサルで、速いテンポをものともしない氷のように精緻な弦のアンサンブルと木管の多彩なニュアンス、そして金管の地鳴りのようなサウンドで、やっぱりロシア物はさすが本場の音、と言うしかない。
『タコ11』の「血の日曜日」のシーンなんかはもう、阿鼻叫喚。音そのものが怖い。

ゲルギエフもいいんだけど、やっぱり「ロシア」と「ソビエト」の違いだろうね。時代が生んだ天才。