夏ですね!
私のいる沖縄はジメジメしています。
こう沖縄の砂浜を見ていると、
私がかつて在籍した会社の伝統行事であった、
「ローション相撲」の事を思い出さずにはいられません。
あれは数年前・・・・・
険悪だった二人の同僚社員が、
砂浜に敷かれたビニールの上で「ローション相撲」をとりました。
激しくぶつかり合う二人、
飛び散る汗(ローション)
・・・・・険悪だったハズの二人は、
ローション相撲を通じて無二の友人になったのです。
その「険悪だった二人の社員」の名前は
面倒なのでA君とB君とします。
入社当時からナゼか二人は仲が悪かった。
二人は入社の時期が近く、
歳も近いので、
特別にライバル視してしまうのかな?
なーんて考えておりました。
しかし・・・・いつまでたっても、
二人の不毛で幼稚な争いは続きました・・・・
例えば、A君が社内で何か発言をすると、
必ずB君が「はぁ?何だそれ?」というような
内容の無いヤジを飛ばすのです。
逆にB君が何か発言をすると、
今度はA君がヤジを飛ばします。
二人は普段から目も合わせず、
口もききませんでした。
(二人はナゼ仲が悪いのだろうか・・・・?)
不思議で仕方がありませんでした。
ある日、
課長だった私がたまたまA君の指導のために、
一緒に現場をまわった時に
「なんでB君と仲が悪いの?」
と何気なく質問をしてみました。
するとA君は、
「実は・・・」と恥ずかしそうに事情を話してくれました。
実はA君は、うちの会社に入る以前は、
あるネットワークビジネスの商品を販売していたそうなのです。
(すごくマイナーなヤツです)
A君はネットワークビジネスで成功するために、
「商品を買ってくれるお客さん」と、
「部下になって商品を販売してくれる仲間」を常に探していました。
そのネットワークビジネスの「網」を張っていた場所は・・・・
当時流行していた「mixiというSNSサイト」です。
ある日、A君はmixiで獲物を見つけました。
もちろんその獲物とは・・・B君の事です。
A君とB君はmixiで連絡を取り合い、仲良くなり、
「今度遊びにいきましょう!」と約束を取り付け、
実際に会って遊ぶことになったそうです。
しかし実際に会ってみると・・・・・
A君にとって「大きな誤算」があったのです・・・・・。
なんと・・・・
B君もまた別のネットワークビジネスの勧誘の為に
mixiで網を張っていた「クモ」だったのです。
まさかの同業者。
どうやらB君はA君からの誘いがあった時、
(あっコイツ、なんかのネットワークビジネスの勧誘だな)
と感づいていたようなのです。
まぁ自分もやっている事ですからね・・・・。
そこでB君は
(あえて誘いにのったフリをして逆に勧誘してやる!)
という作戦に出たのです。
A君とB君は表面上仲良く遊びながら、
それとなく自分の商品を勧め合います。
しかし・・・・当たり前の話ですが・・・
お互いがお互いの商品を買いません。
お互いが別々の「ネットワークビジネス信者」だと確信すると、
コレまた、どうしても意地になったそうです。
絶対に自分の商品を買わせてやる!!!
なんてね・・・・
お互い意地になって、
仲が良いワケでもないのに、
頻繁に会っては遊びに出かけ、
自分の商品を勧めあったそうです。
何度遊んでも、結局お互いの商品を買うことはなく、
そのまま時が過ぎ、いつしかお互いに連絡をとらなくなったそうです。
しかし!
それでも運命に導かれた二人は、
ついにこのクソブラック企業で再開を果たしたのです!!!
まさに宿命!!!!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(それは・・・・仲が悪くもなるな・・)
事情を聞いて、二人の仲が悪い理由に納得しました。
そして夏、
会社で行われる恒例のバーベキューイベントの当日、
社員のみんなが会場にゾクゾクと集まってきました。
大半の人の服装が、
Tシャツ、サンダル等のラフなスタイルです。
しかし・・・・なぜか、A君だけは、
スーツを着てバーベキュー会場に現れました。
炎天下の砂浜に、明らかに場違いなスーツ。
みんながザワザワしはじめます。
これは・・・数日前、
社長がみんなの前で
「当日はスーツで来ちゃだめだからね!」みたいな
つまらないギャグを言っていた事が原因なのですが・・・・
もちろんA君もそれがギャグだとわかっていたのですが、
(スーツで行ったらウケるかも!)と考えて、
あえてスーツを着てバーベキューに来たそうなのです。
しかしあまりに痛々しすぎたのか?
みんなの反応は「苦笑い」だけでした。
そのA君のスーツ姿を見て、
当然のようにB君が噛みつきます。
「お前そこまでして目立ちたいのか?」と
バーベキュー会場にヒヤリと冷たい空気が流れました。
それでもバーベキューイベント自体は盛り上がり、
2時間程した後、
イベントの主催者である社員が、
「ローション相撲やりまーす!!」
と大声で叫びました。
「オオッ!」と一応の歓声が上がります。
会社設立以来からの毎年の恒例行事、伝統行事なのですが、
新入社員の9割は1週間~1ヶ月で辞めてしまうので、
大半の社員はコレが恒例行事だとは知りません。
砂浜にブルーシートを敷き、
主催者はローション片手に水着で待機しています。
加えて
「参加希望者はいませんか!?」
と叫ぶのですが・・・・・希望者などいません。
そういう事は事前に決めとこうとか考えないのでしょうか?
そもそも太陽がギラギラ輝く真夏の炎天下に
砂浜でローションを被ってドロドロになりたい人などいません。
立ち尽くすイベント主催者。
するとA君が「やります!」と言って
勢い良くスーツを脱ぎ捨て、パンツ一枚になりました。
(ただスーツを脱ぐ口実が欲しかっただけなのかもしれません。)
するとローション相撲をやりたくない他の社員達が
「オイB!お前やれよ!」とヤンヤヤンヤと押してきます。
追い込まれたB君はヤケクソで
「じゃあオレもやりますよ!」と言って
そのままパンツ一枚になります。
ここで、
「パンツをローションまみれにして
帰りはどうするつもりなのか?」
そんな事を考える人もいらっしゃると思います。
しかし一般常識でモノを考えてはいけません。
そもそも「先の事を考える力」があるのであれば、
こんな給与5万程度のクソブラック企業に入社するハズが無いのです。
そこにローション相撲があった、
「じゃあパンツで参加しよう!」
私達が考えられるのはソコまでなのです。
それはさておき・・・・・・
しかし新人のA君とB君は、
この「ローション相撲の本当の恐ろしさ」を知らないのです。
まずローション相撲はナカナカ組み合えない、
組み合う前にズルズルとローションに足をとられてしまい、
滑ってしまい、前にススム事すら出来ないのです。
そう・・・・・・
ローション相撲は名前の派手さの割に地味なのです。
かといってお笑い番組のプロの芸人さんのように、
ローションでツルンとすべって派手に転がりまわる。
なんて芸もありません。
なので最初はローション相撲と聞いて、
「なにそれ!おもしろそー」
と集まってきたギャラリー達も、
気づけば一人、
また一人と、
バーベキューの方へ戻ってしまうのです。
これがツライのです・・・・・。
結局、最後に残されたのは私とイベント主催者、
そしてA君とB君の4人だけでした。
この孤立感も伝統です。(たぶん)
オマケにツライのは、
我が社の「ローション相撲」には、
明確な勝敗を分けるルールが無いのです。
ただ、ただ、ひたすらローションまみれになった
ドロドロの男二人が
ヌメヌメと抱き合うだけなのです。
しかし不仲な二人は意地になって
ひたすらカラダをぶつけ合いました。
時間が経過すると、
ローションが乾いてきてしまうので、
私は無言でローションをぷりぷり追加していきます。
夕焼けの砂浜に響くのは・・・・
A君とB君の「はぁはぁ」という息切れと、
ピチャピチャという汗とローションが舞う音だけでした・・・・・。
しかし二人の友情は・・・確実に育まれていたのです・・・。
後日、
会社に出勤すると、
私は「A君とB君が気さくに話す様子」を見つけました。
(すごいぞ・・ローション相撲!!!)
あんなつまんないイベントでもやっぱり意味はあったようなのです。
しかし考えてみたのですが・・・・・・
(ラブ)ローションは
しばしば淫らな行為に使われるアダルトグッズ
「相撲」は日本の国技であり
神聖な「神事」という側面もあります。
この相反する2つのモノが組み合わさったのが
「ローション相撲」なのです。
それを踏まえて考えると・・・・
反発しあい、相反していたA君とB君が
ローション相撲を通じて心を通じ合わせたのは
もはや必然と言えるでしょう!!!!!!!!!!!!!!!
時は流れ・・・・・
クソブラック企業を退職してから数年後、
突然A君からこんな電話がありました。
「Bと一緒に新しい(ネットワーク)ビジネスはじめました!」
「早く始めるほうが得ですよ!一緒にやりませんか!?」
勧誘の電話だ!が!わたしは感激しました。
感激したのは、あれから数年もたっているのに
A君とB君がまだ友情を温め合っている事にです。
ネットワークビジネスの誘いは
残念ながらバッサリ断りましたが・・・・・・
私はその時、改めて
「ローション相撲の素晴らしさ」を悟ったのです。
いま、あなたの周りに
どうしても理解し合えない険悪な同僚や上司はいませんか?
そんなアナタは、
この夏、会社のイベントで
「ローション相撲」を企画してみてはいかがでしょうか?
裸でぶつかりあう事で見えてくるモノもあるのかもしれません。
そして・・・・・
一生の友を得る事も・・・・・・・・・・・・・。
※クレームは一切受け付けません。
おしまい