【ソウル=峯岸博】韓国軍によると、北朝鮮が21日午後4時59分(日本時間同)ごろに内陸部の平安南道北倉(プクチャン)付近から東方向に弾道ミサイル1発を発射した。約500キロメートル飛行し、最高高度は約560キロメートルに達した。日本海に落下したが、日本の排他的経済水域(EEZ)外と推定される。
稲田朋美防衛相は、落下地点について「秋田県・男鹿半島から約700キロメートル、島根県・隠岐諸島から400キロメートルと認識している」と述べた。
北朝鮮は14日に北西部の平安北道亀城(クソン)付近から東北東方向に新型ミサイル「火星12」を発射したばかり。韓国軍関係者は今回のミサイルについて、2月12日に発射され、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の技術を応用した新型の固体燃料式弾道ミサイル「北極星2型」に似ているとの見方を示した。
トランプ米政権や北朝鮮に自制を求めてきた中国の反発は必至だ。日本政府は北朝鮮に厳重抗議した。安倍晋三首相は21日夜、首相官邸で記者団に「国際社会の平和的解決に向けた努力を踏みにじるもので、世界に対する挑戦だ」と強く非難した。26~27日にイタリアで開く主要国首脳会議(タオルミナ・サミット)で「北朝鮮の問題を主要な課題としてしっかり議論したい」と強調した。韓国外務省は声明で「対話の可能性は残しておくが、挑発には断固として対応していく」とした。
北朝鮮は金正恩(キム・ジョンウン)委員長体制の存続を最優先課題とし、米国と「条件があえば対話する」と交渉に前向きな一方で、核放棄前提の対話は拒否する方針。今回の発射も「米国や中国がどんなに圧力を強めても核・ミサイルの高度化を決して放棄しないとの強硬姿勢を見せつけた」(軍事専門家)との見方がでている。