ソフトバンクグループはサウジアラビアなどと共同で発足させた10兆円ファンドを、自社の連結対象に加える。全額出資子会社の英半導体設計アーム・ホールディングス株のうち、82億ドル(約9100億円)分に相当する25%をファンドに移し、現金と合わせ総額で280億ドルを拠出。実質的にグループ内にファンドを抱える形となる。
決算会見をするソフトバンクグループの孫正義社長(10日)
「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の最大の出資者は450億ドルの拠出で合意したサウジアラビア政府系ファンド。出資額第2位のソフトバンクが運営責任者となる。
米アップルやシャープ、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業などを含めまず930億ドルを調達。今後半年で1000億ドルとする計画。ソフトバンクは当初250億ドルを拠出する予定だったが、他の出資者の要請で一部をアーム株として280億ドルにすることで決着した。
ファンドを連結対象とすることで、運用実績がソフトバンクの業績に直結する。持ち株会社に移行後の18年間のソフトバンクの投資事業は、投資のリターンを示す内部収益率(IRR)が44%と高い。ただ2017年3月期はインドの投資事業で損失を出すなど、不安定な一面もある。ソフトバンクにとって巨大ファンドが「もろ刃の剣」となる可能性もある。