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実験所の機能移転 産学官連携より高度に

線路と舗装道路を備えた実験フィールドで行われたバスの自動運転のデモ走行。運転手は両手を離している=東大柏キャンパスで、2017年5月15日、橋本利昭撮影

車の自動運転 鉄道車両の走行も

 東京大学の生産技術研究所(生研)付属千葉実験所が4月から、千葉市稲毛区から柏市の同大柏キャンパスに機能を移転した。今後、車の自動運転と鉄道車両を使った実証実験のほか、航空・海洋分野の研究を進める。東大の本郷、駒場、柏の3拠点の一つに、大規模な実験が可能な施設ができたことで、他の研究機関との相乗効果も期待され、須田義大・千葉実験所長は「産学官連携の拠点にしたい」としている。

    人工的に波が起こされた巨大な水槽施設=東大柏キャンパスで、2017年5月15日、橋本利昭撮影

     生産技術研究所は、1949年、千葉市稲毛区弥生町に設立され、航空工学、電子工学などの研究者が集まる「産学連携の発祥の地」とされる。現在、170の研究室があり、「工学系のほぼ全領域をカバーする総合研究所」(藤井輝夫・生産技術研究所長)だ。

     研究所本体は62年に東京都内に移転。大規模実験の拠点だった千葉実験所も今回、東大キャンパスの再編計画の一環で柏市へ機能移転した。

     柏キャンパスにある新しい千葉実験所(4.6ヘクタール)は、敷地面積こそ千葉市の跡地の半分になったが、2棟の実験棟、実験フィールドなどを整備し、内容を充実させた。3階建ての実験棟1(延べ床面積約8400平方メートル)は1階に大空間を備えており、耐震構造物の研究や世界最先端の高度な航空機製造技術の開発に使っていく。2階建ての実験棟2(同約2500平方メートル)は、海洋工学水槽(長さ50メートル、幅10メートル、深さ5メートル)などがあり、波や風、水流を人工的に起こして船舶や海洋ロボットの性能を調べ、海洋資源開発などに役立てる。

     また、屋外には実際の交通環境を再現できる実験フィールド(約2.3ヘクタール)を設置。長さが333メートルと従来に比べ約3倍になった線路のほか、直線が最大で300メートルあるアスファルト舗装の走行試験路や信号機を備え、公道などではできない実車実験も可能となる。

     須田所長は「自動車と鉄道が融合して研究できるのは世界でここだけ。東京の地下鉄・銀座線で3月まで走っていた車両も走らせる。実験所の機能はグレードアップしており、より高度な実験が可能となる」と話している。【橋本利昭】

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