M.ナイト・シャマラン監督といえば、ラストに用意されている驚きのひねりや、どんでん返しが印象的。
最新作の『スプリット』は、23(+1)の人格を持つケビン(ジェームズ・マカヴォイ)が3人の女子高生を監禁するサスペンスで、公開されるや否や大ヒットしました。
クライマックスに到るまでの展開はある程度予想できるにも関わらず、ジェームズ・マカヴォイの百面相演技の迫力に圧倒され、劇場で観た筆者は前のめりで全身硬直。見終わって緊張が解けた時には、放心状態になりました。
そんな衝撃的な『スプリット』ですが、Screen Rantによると、オリジナルのラストは凄まじくダークで、シャマラン監督自らが却下したとのこと。今回は、そんな幻のエンディングをご紹介します。
なお、一番大きなどんでん返しの部分の記述はないものの、劇場公開版の結末には触れているため、ネタバレ注意です。
劇場公開版の『スプリット』のクライマックスでは、鏡の前でケビンの中に生きる別人格が次々とその姿をあらわし、その力について語っていきます。
しかし、このエンディングはシャマラン監督によって差し替えられたマイルドなもの。もともとは余韻に浸るどころではない暗い内容になっていたようです。以下、文章で説明します。
屋上にいるのはデニスの人格に体を乗っ取られたケビン。彼は学校を見下ろしています。「見ろよ、あの完全な魂を……」と口にするデニス。そして、次に現れたパトリシアの人格が「なんて無駄なのかしら」と続けます。予感させるのは「ビースト」の出現――
子どもたちは純粋すぎる罪でビーストに襲われ、殺されてしまうのでしょう……。例えどんでん返しを期待して映画館に足を運んだとしても、ここまでダークな展開は求めていない観客もいると思いますし、アイディアとしては悪くないのかもしれませんが、拒否反応が強く出そうな内容です。
なお、シャマラン監督は変更した理由について、以下のように語っています。
「これはダークすぎると思ったんです。ケビンの意図は何なのか、彼のモチベーションはどこからくるのか、そういったことを自問自答しました。ビーストのモチベーションを単なる殺戮にしたくなかったんです。だから可能性を示唆する、あの鏡のシーンに書き換えました。もともとのエンディングはやりすぎでした。」Split's Alternate Ending Explained / Screen Rantより
元々のエンディングもあくまで予感させるだけであり、殺人シーンを具体的に見せていないのだから、大したことはないと感じる方もいるかもしれません。しかし、クライマックスまでのテンションの高さとスピード感で、息切れしつつあるところにこのエンディングが来てしまうと、観客にトドメを刺すかのようで、内容を知った時には軽くめまいを覚えました……。
image: (C)2017 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved. via 映画『スプリット』公式サイト
source: Screen Rant