家を買うとは何か?どんなルールが適用されるのか?
どうも千日です。今日は家を買うとはどういうことかについて書こうと思います。
あんまりこういう事を書く人は居ないです。だって家を買おうという人の年齢は30代の半ばから40代が多いです。みんなソコソコいい大人なんですよ。
なぜ家を買うのか?それぞれの理由を携えて決断しているはずです。
しかし、多くの人にとって家を買うのは人生に一度きりです。これまで得た知識と経験を総動員して挑むのですが、何が正解だったかは最後まで分かりません。
この人生最大のプロジェクトに臨むにあたって、
- 自分が今からやろうとしていることは何か?
- そこでは、どんなルールが適用されるのか?
その「実体」を正しく把握することが、後悔しない選択をするために必要なのです。
そんなの分かってるよ。
多分こんな風に思われると思います。本当に分かっていたかどうかは最後まで読んでから判断してください。
では、始めますね。
- 家を買うとは何か?どんなルールが適用されるのか?
家を買うことが「買い物」だと、いつから誤解していたのか?
よく「家は人生最大の買い物だ」と言われますよね。千日もブログの中でこのフレーズを使ったことがあります。しかし、ここには落とし穴があります。
「買い物」という比喩表現です。
家は買うもんでしょ。
家を買う時の、「買い物」という言葉を比喩表現としてではなく、まんま事実として捉えていたのなら、それは誤りです。
私は、この比喩表現を軽々しく使うべきではなかったと、少し後悔しています。
家を買い物と考えてもいい人は、トランプ氏のような一握りの億万長者だけですよ。
つまり、自分の収入や所有資産に対する家の価格の割合が極端に低い人です。例えば我々が犬小屋とか物置を買うのと同じような感覚で不動産を購入できる人です。
そういう人たちにとっては、他の普段の買い物と同じ感覚で家を購入して何の問題もありません。
しかし、我々は違います。
他の普段の買い物と家の購入は全く次元の違う行為であるはずですよね。これに異論は無いと思います。
ならば、こういう事が言えるはずです。
「買い物」の判断のものさしを、そのまま家の購入に持ち込んではいけない。
自分がこれからやろうとしていることは今までやったことのある「買い物」とは似て非なるものだということを深く心に刻んておく必要があるんです。でないと、重要なところで判断を誤ります。
しかし、その誤りを訂正してくれる人はどこにも居ません。
家を供給する側にとっては、まぎれもなく家は「売り物」だからです。
他の買い物と同じく、カネを払いさえすれば買えるのが家であり、家を供給する側にとってはカネを払える人が客なのですから。
「家は人生最大の買い物」というキャッチフレーズは、我々をある単一の判断基準に誘導します。
- 損か得か
こういった分かりやすい基準で商品を決めてもらうことが、売り手にとっては好都合です。「お得な情報」「掘り出し物」などがキーワードです。
お得って言葉はたまに千日も使いますよね。他のライバルも使っていて、これを使わないとインターネットの世界で太刀打ちできず、私のブログを読んでもらえないからです。
本当は使いたくないのです。
買い物ではなく人生のプロジェクト
買い物で無ければ何なのか?
という問いに対する答えです。
マイホームは生活の基盤であり、家族の人生の容れ物ですが、住宅ローンの支払いを継続出来てはじめてそれを維持することが出来るものですよね。
これが1つ目のルールです。
この点では賃貸住宅に住むのと変わりません。
違うのは次の2点です。
- 住宅ローンを完済出来ないかもしれないというリスクがある。
- 住宅ローンを完済出来ればそれ以降の支払いは不要になる。
つまり、自分の生涯年収のうち、決まった金額を予め住宅ローンの完済の為に使うことを決めてしまうということです。
これから先、定年退職までの最長35年間(420ヶ月)にわたり月収から住宅ローン契約書で決めた額を銀行に払い続けます。
途中で払えなくなれば、失敗です。
これを「買い物」とはひっくり返っても言えませんよね。
定年までに住宅ローンを完済することを最低要件とする、人生のプロジェクトです。
支払いが少なく済むことを「お得」と表現しますが、それは文字通り得をすることが主眼ではありません。
- 長期間の住宅ローンを完済できる可能性とそのスピードを上げる。
- 少子高齢化社会での老後の生活資金をより多く残すことが出来る。
ということです。
低金利で住宅ローンを借りられるから「お得」のウソ
低金利なのは、将来への見通しが暗いからです。私たちは家を買うことで、自分の貸借対照表を持つことになります。
貸借対照表とは、企業の財政状態を一覧する決算書の一つですが、これを使って説明しましょう。
左側の『資産』とは財産です。購入したマイホームがそれですね。
右側の『負債』とは借金です。つまり我々の場合は住宅ローンですよね。
その差額が『純資産』です。これがマイナスになると企業会計では「債務超過」となり倒産してしまいます。
かつての高度成長期の貸借対照表
高度成長期には土地の価格は右肩上がりに上がり続けました。
その代わり、住宅ローンの金利も高かったんです。千日の父は7%で住宅ローンを借りてマイホームを購入したそうです。
つまり、
- 資産としてのマイホームの市場価格は右肩上がりに上がっていく。
- 負債としての住宅ローンは金利が高いのでなかなか減らないが、それでもゆっくり減っていく。
こんな貸借対照表のイメージだったんです。買った時点がバランス(資産=負債)していれば、あとは住宅ローンを払ってさえいれば絶対に債務超過にはならないですよね。
もちろん土地の上に建っている建物の価値は経年劣化で下がりますので図のようにはいかない場合もありますが、住宅ローンを返済しさえすれば確実に「財産」を残せるスキーム(仕組み)になっています。
現在の低成長期の貸借対照表
これに対して今の低成長時代、土地の価格は下がっていきます。建物も経年劣化で価値は下がります。
なので金利が低いんです。
つまり、
- 資産としてのマイホームの市場価格は右肩下がりに下がっていく。
- 負債としての住宅ローンは金利が低いので早く元本が減っていく。
買った時点でバランス(資産=負債)していても、資産の価値が下がるのよりも早いペースで負債の元本を減らさないと、債務超過になります。
これが2つ目のルールです。
つまり、低金利で住宅ローンを借りられるのは別に得でもなんでもないのです。
むしろ、高かった時(高度成長期)の方が安心して住宅ローンを借りられたんですよ。低金利の今の方がシビアな判断が求められるのです。
人口が減って地価は下がります。不動産を持っていれば固定資産税がかかります。持っているマイホームが「財産」たり得るのか?それはその時になってみなければ分かりません。
損得勘定の落とし穴
前の節で言ったことを振り返ってみましょう。
支払いが少なく済むことを「お得」と表現しますが、それは文字通り得をすることが主眼では無いのですね。
- 長期間の住宅ローンを完済できる可能性とそのスピードを上げる。
- 少子高齢化社会での老後の生活資金をより多く残すことが出来る。
単純に損得だけで測るのではなく、このプロジェクトが達成できるか?という価値判断が最優先されるべきなのです。
住宅の広告は今最も低い変動金利で最長の35年ローンで借りた場合の返済額をデカデカと載せて
賃貸よりこんなに安くてお得ですよ!
払い切れば自分のものになって老後も安心!
それともずっと家賃を払い続けますか?
なんて煽って来ます。
しかし、変動金利で借りる場合は、金利変動リスクに対応するための余裕を多めに確保しておかなければなりません。
なので、変動金利で借りる場合は毎月の返済額の25%を貯蓄した上で手取り月収の4割以下におさえることを推奨しています。
また60歳定年までの期間で35年ある人は、25歳で家を買う人です。晩婚化が進む今、こんな人は殆ど居ませんよ。
「お得な買い物」のベールを脱がせるとこういうことが露わになるんです。
家を買う人生最大のプロジェクトの3つの関門
3つの関門で必要なキャッシュを用意できるか?が肝です。であり3つ目のルールです。
- 最初の頭金
- 元利均等返済
- 定年までの繰上げ返済
家を買う人は必ずこの3つを通過しなければなりません。出来なければ最終的に自分の意思に反して家を手放さなくてはならなくなります。
最初に頭金を出せる十分な自己資金があること
頭金は手付金とは違います。手付金は解約手付といって、売り手に対して代金の一部を預けるもので、もし買わなかったら取り上げられますが、買う時には返してもらい、あらためて代金を払うというものです。
事務の便宜からそのまま代金に充当することが多いだけのことです。
ここで言う頭金は、家の代金のうち住宅ローンから差し引く『自己資金』の部分を言います。
家を買うにはこの頭金に加えて様々な手数料が必要になってきます。おもな手数料を挙げると以下のようになりますが、これらは全て自己資金で払うのが原則です。
- 中古物件の場合は仲介手数料:物件価格の3.24%+64,800円
- 金融機関に払う融資手数料:0円~物件価格の2.16%
- 金融機関の保証会社に払う保証料:0円~金利0.2%相当額
- 契約書に貼る印紙税:4万円~
- 物件の登記を行う登録免許税:おおむね物件価格の0.4%弱
- 登記を行う司法書士への報酬:5万円~10万円
試しに計算してみてください。3千万円の中古物件を購入する場合で180万円前後かかる計算です。
意識して貯金をしてこなかった人は、おそらくこの手数料だけで貯金が底を尽くでしょう。手数料が自己資金で出せる人はまだ良いです。手数料さえも出せない人も沢山います。
自己資金の有る無しで住宅ローンの選択肢が天と地ほども変わってしまう
中には手数料が無くても、手数料も込みで融資をする金融機関もあります。しかし、その場合の金利は高くなります。まず、ネットの広告にあるような安い金利で借りることは出来ませんよ。
貯金が少ない人に銀行は厳しいです。また、最近の金融機関の審査のトレンドでは『自己資金』を重視する金融機関が増えています。
- 大企業に勤め高年収だけど貯金がゼロで車のローンが残っている人
- 中小企業で低収入だけど多くの貯蓄をして他に借金はない人
銀行は後者を厚遇します。最近の金融機関の審査のトレンドについてはこちらをどうぞ。
また、住宅金融支援機構が提供するフラット35は、手数料に加えて頭金が10%無ければ融資してもらえません。
現在フラット35は住宅の取得を支援する様々な補助金事業を行っていて、フラット35Sや子育て支援、リノベなど当初5年から10年の金利を0.25%~0.6%引き下げられることがありますが、こういった国が金利を肩代わりしてくれる選択肢が無くなるということです。
逆に頭金を20%入れられるという場合は、金利が優遇されることがあります。アルヒのスーパーフラットという商品は独自にフラット35の金利から0.1%優遇しています。これは前述した補助金事業と合わせて適用できます。
また、民間金融機関でも、住信SBIネット銀行は頭金20%の場合は変動金利で0.07%優遇する商品を出しています。
自己資金レベル | 住宅ローンの選択肢 |
---|---|
手数料も出せない | 審査が厳しく適用金利も高い。 |
頭金10%出せない | フラット35は利用できない。 |
頭金20%以上出せる | 適用金利が通常より安くなることがある。 |
最初に持っている貯蓄でプロジェクトの難易度が決まる
家を買うということは、過去から多くの人が割と普通にやっていることです。そんなに難しく考えなくても出来ることなのかもしれません。
しかし、その困難さには時代によって差があるのは確かなようです。高度成長期に家を購入した我々の親世代は金利は高かったですが、地価が上がり続ける環境でした。
なので、住宅ローンを払えさえすれば債務超過にならず、家という財産を残すことが出来たわけです。年金も生活できる水準の金額が支給されています。
しかし、我々は違います。人口減少で所有している不動産の市場価格は右肩下がり、年金も十分に支給される保証などありません。
- 下がっていく市場価値よりも早く住宅ローンを減らす。
- 住宅ローンを完済した後でなお十分な老後資金を残す。
少しでも有利な条件で住宅ローンを借りることの重要さを認識してください。「お得」とかいう生半可な世界の話ではないのです。
購入時点で他人よりも十分な自己資金を準備できれば、このタスクをより容易に行えるでしょう。何となくやってても大丈夫です。
逆に十分な自己資金が無い場合に「何となく」購入すると、老後破産に一直線です。
- 自己資金が少なくローン残高が大きくなる分
- 適用金利が高くローンの減少速度が遅くなる分
より綿密な資金計画と住宅ローンのリサーチ、その後の収入増、家計の管理に人並以上の工夫や努力が必要になってくるのです。
元利均等返済はノーミスクリアするハードル
次は住宅購入後の住宅ローンの返済についての話です。「家を買う」というプロジェクトのほとんどの期間はこの元利均等返済の期間となります。
住宅ローンの契約をするときに決めた元利均等返済額を粛々と支払い続けるという期間ですね。最近は繰上げ返済の手数料は無料という銀行が増えましたので、約定よりも早く返済するのは簡単になりました。
しかし、逆に支払いを待ってもらうのは簡単ではありません。
大事なポイントは、いったんこうと決めてしまうと、我々債務者の方から条件を緩和するのは極めて困難だということです。
最長35年で420回のハードルです。
- 後から自分で上げるのは簡単。
- 後から自分で下げるのは困難。
住宅ローンとは何かと聞かれたら
千日なら「毎月銀行に決まったお金を、35年なら420回支払うことだよ。」と答えます。(もう読者様にはお決まりのくだりですよね?)これが正確な定義ではないことは百も承知ですが、途中で家を買い替えない人にとっての住宅ローンの本質です。
なんだかんだ言っても、約定で決めた返済額を全部払い切ったら住宅ローンはゲームクリアなんですよね。
前の節では資産(マイホーム)と負債(住宅ローン)のバランスの話しをしましたけど、これがマイナス(債務超過)になってしまったとしても、住宅ローンの返済が続けられる限りは、ずっとその家に住み続けることは出来ます。
これが会社との大きな違いです。
マイナスになろうと関係ない。ずっとこの家に住むんだ。
こう決めてしまえば、 貸借対象表なんて関係ありません。毎月やってくる返済日に約束のお金を銀行に払えばオールオッケーなんです。
使用価値というものさし
ここでお話するのは、マイホームの市場価値ではなく使用価値です。
地価がどうなろうと関係ないよ。私はこの家に住みたいだけなんだよ。
家というものには、こういう一面もあるんですよね。我々にとって家というのは投資ではありません。
投資はそれを所有することによって収益を得るものです。または、価値が上がり売却することで購入した時との差額収益を得るものです。
我々にとっての家とは生活の基盤であり、家族の人生の容れ物です。投資的にマイホームを捉える考え方もありますが、そこはサブです。
根本的な部分では全然違うんです。口では市場価値がどうとか言いながら、本当に投資的な意思決定の方法で「マイホーム」を買っている人は見たことがありません。おそらく、ごくごく少数派です。
つまりマイホームに住む間は、市場価値ではなく、使用価値で考えます。毎月幾らなら自分はここに住んでもいいナ、というものさしです。千日が千日の住宅ローン無料相談.comのご相談者に固定金利を勧める傾向があるのは、この「使用価値」に対する支払いがフィックス(固定)されるからなんです。
フラット35のキャッチフレーズにある「ずっと固定金利の安心」は千日がお勧めする本当の理由ではありません。
金利上昇リスクなどよりも個々人の収入変動リスクの方が遥かに高いと考えています。
ハードルはできるだけ低くボーナス払い厳禁
住宅ローンの検討をするときに、無意識に見過ごされるのが収入変動のリスクです。みんな自分には甘いのです。
もし銀行の経営が厳しくなったら金利を上げてくる?
それよりも自分の勤める会社の経営が傾く可能性、会社が元気でも従業員としての自分の評価が下がったり、病気にかかったりして収入が減ってしまう可能性の方が格段に高いはずです。
ですから、長きに亘る住宅ローンの毎月の返済額は出来るだけ低く抑えておくことがお勧めなんですよ。
早く完済したい。
ならば繰上げ返済すればいいんです。今はほとんどの銀行で繰上げ返済手数料は無料です。元利均等返済のハードルを…
- 後から自分で上げるのは簡単。
- 後から自分で下げるのは困難。
ということです。
また、同じ理由から『ボーナス払い』は厳禁です。今までボーナスが出なかったことは無いとか、経営の安定した大企業だとか、そんなの関係ありません。この低成長時代に「今後何十年かはボーナスを出し続けることを保証する」なんてことの出来る経営者は居ません。
年収がボーナスに偏っているならば、ボーナスを貯蓄して「ボーナス払い分」を毎月の返済に均す方が良いです。面倒でもそうしてください。
- 約定返済日に1円でも足りなければ債務不履行。
これが住宅ローンのルールです。
月給で払いきれない高さの違うハードルを混ぜるよりは全体的に同じ高さに設定する方が財務的なリスクに強い資金計画となるのです。
住宅ローンを完済した定年後も続く人生
最近の大手銀行の審査基準では80歳まで住宅ローンを借りられることになっています。これはどういうことかというと、返済期間を長く取れるようにすることで毎月の元利均等返済を低くするためです。
これによって今45歳の人でも最長の35年ローンが組めるということですね。しかし、今45歳で定年が60歳ならあと15年しか「今」の収入は見込めません。
3千万円を固定金利1%で借りる場合、35年と15年でどれだけ元利均等返済額が違ってくるか、比較してみましょうか。
(単位:円)
返済期間 | 35年 | 15年 |
---|---|---|
元利均等返済 | 84,686 | 179,548 |
60歳残高 | 18,413,936 | 0 |
元利均等返済額で倍くらい違ってきますよね。銀行の審査基準では、35年払いで上記の元利均等返済を払える収入があり、60歳での退職金で上記残高が完済できれば融資にゴーサインが出ます。
しかし、それで本当に良いんでしょうか?
年金の支給開始は65歳からです。60歳でリタイアしてから5年間はそのままでは無収入になります。最近は65歳定年制が義務づけられましたが、これを守れるのは経営の安定した一部の大企業だけだと言われます。また、その大企業でも収入は6割位に減ってしまうそうです。
それに「今のところ」65歳から支給開始予定の年金は、今よりもかなり減っているでしょう。その年金だけで生活することは困難です。
住宅ローンを完済できるということと、老後を生きられるということは別、なのです。
退職金には絶対に手を付けるな
ですから銀行の審査基準は横に置いておいて、収入のあるうちにその収入で買うことが重要になってきます。
80歳まで住宅ローンを借りられる。
これは、金融機関が住宅ローンの競争力を維持するためにやっていることです。我々住宅ローン利用者のためにやっていることではありません。
退職金は命のカネです。住宅ローンの返済に使ってはいけません。
子供が独立したら物置きになるスペースに対して、命のカネを使うのでしょうか?そんなことをするなら売却して残ったお金で安い賃貸に引っ越した方がマシだと千日は思います。
リタイアすれば通勤の必要は無くなるのです。そのころの郊外の賃貸物件の賃料は今の半分以下に下がっているんじゃないでしょうか。
リバースモーゲージという選択
それでもこの家を手離したくないという場合は、リバースモーゲージという選択があります。
家を担保にお金を借りて存命中は利息だけ支払い、死亡時に家を処分して元本を返済するスキームです。
住宅ローンのリバースですね。住宅ローンを完済すれば抵当権が外れますが、再度家に抵当権を設定して老後の資金や家の修繕に充てる資金を借り入れるということです。
住宅ローンの返済ならば元本も払っていきますが、リバースモーゲージは元本を払わず利息だけを払います。つまり元本は減りません。
そして金利は変動金利のみです。固定金利は選択できません。これは終わるかが予め決められないからですね。
元本は、夫婦両方が他界した後に銀行が家を売却した代金で充てられます。ですからその家を子供たちに相続させるということは出来ません。なので、リバースモーゲージを組む場合には推定相続人全員の書面での同意が必要になります。
リバースモーゲージには、老後の安心と家の市場価値を維持できるという狙いがあるんです。
老後の生活が困窮して資金面で行き詰まると、家の維持費が後回しになります。また、所有者が死亡して相続人がその家の管理をしなくなると、長年空き家として放置されて危険建造物になってしまいます。
相続人には相続税に加えて、今後ずっと固定資産税という自治体に対する家賃の支払い義務が課せられることになります。
リバースモーゲージはそういった問題を解決する手段として注目されているんです。
まとめ〜『顧客は自分で、何が欲しいか分からない 』byスティーブ・ジョブズ
思いのほか長くなってしまいました。ここまで読んで頂きありがとうございます。最後は故スティーブ・ジョブズの言葉です。
このエントリーを読んでいる人はこれから家を買おうという人や買った人だと思います。しかし何の為に家を買おうと思っているのか?ほんとの所は多分分かっていないんですよ。
かなりの部分で売り手によって『こういう物が欲しいんでしょ?イヤ欲しいんだよ。』と提供されている部分が多分にあると思っています。
ジョブズ氏はそれをiPhoneで証明して見せました。彼によって全世界の人のライフスタイルが変わりましたよね。彼がいなければこの『千日のブログ』もありません。
家は、自分と家族の人生の容れ物です。それを手に入れたいという動機は様々でしょう。しかしそれが本当に自分の欲しているものなのか?
その答えは自分の中にしか無いが、自分ではまだ分かっていないのです。
千日が手助けできるのは
- 家を住宅ローンで購入するということがどういうことなのか?
- そこではどんなルールが適用されるのか?
- それを成功させるには何が必要なのか?
ここまでです。
ここから先は、ご自身の仕事です。とても大きなプロジェクトで逃れきれない義務を伴います。
しかし同時にそれは、守るべき家族を持った人だけに与えられた権利でもあるんだと、千日は思っています。
以上、千日のブログでした。
《あとがき》
このエントリーは今年の冬に出版予定の家の買い方指南書の備忘メモとして書いた千日メソッドです。備忘メモにしては長いです、アハハ。
本を執筆するにあたりヒントになることは今後このマイホームとお金-千日メソッド カテゴリーの記事一覧 - 千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答えるに書き貯めて行くことにします。
また、住宅ローンの相談に無料で答える千日の住宅ローン無料相談.comでは日々寄せられる実際の住宅ローンの相談に千日が答えています。色々な人のケースが参考になると思います。
自分のブログ以外では現在2つのメディアに寄稿しています。
住宅ローンの選び方[2017年]|ザイ・オンラインでは、各金融機関の住宅ローンの商品を比較したり、千日であればこういう借り方返し方をするというような実践的な内容を連載で取り扱っています。
住宅ローン | いえーる すみかるは住宅ローンと不動産会社選びの情報サイトです。いまさら聞けない住宅ローンの基本や何となくモヤモヤしていた疑問点などを分かりやすく解説する記事を不定期に寄稿しています。
よかったらこちらも合わせて読んでみてくださいね。
2017年5月21日