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【茨城】

駅前衰退 歯止め期待 土浦駅北地区再開発で市立図書館が11月移転

建設が進む新図書館の入るビル=土浦市で

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 JR土浦駅北地区の再開発で、今年十一月に移転オープンする市立図書館の概要を土浦市が発表した。新図書館は従来の四・四倍の五千百平方メートルと、県内の市町村立で最大になる。一昨年の市役所の駅前移転と並ぶ中心市街地活性化の目玉事業で、市役所移転後もにぎわいの創出効果が見えない中、市は駅前空洞化の改善に期待をかけている。 (宮本隆康)

 県南地域の中心都市としてにぎわった土浦駅前は近年、大型商業施設の閉店が相次いでいる。一九八九年に京成百貨店、九八年に西友、二〇〇四年に丸井が閉店。一三年には駅西口のビルからイトーヨーカドー土浦店が撤退した。

 市はイトーヨーカドー跡を買い取り、一五年九月に市役所本庁舎を移転した。庁内に食堂は設けず、職員に周辺の飲食店の利用を促している。移転から二カ月がたった平日の駅西口の歩行者数は、一年前から10%ほど増えた、とする市の調査結果もある。

 しかし、市役所の移転後も、駅前では商業ビルの売り上げ減が指摘され、飲食店主(63)も「人出や客足は全然増えていない」とぼやく。今年三月には市役所本庁舎ビルから、テナントの飲食店二店が経営難で撤退した。

 特に、市役所が閉庁する土日祝日の歩行者数は、依然として減少傾向にある。市幹部は「良くなったとは言えないかもしれないが、移転しなければ、もっと悪くなっていたのでは」と語る。

 市によると、新図書館が入る再開発ビルは鉄骨四階建てで延べ床面積一万三千平方メートル。一階が市民ギャラリー、二〜四階が図書館、屋上が広場になっている。事業費は約七十五億円。

 新図書館は、土浦駅から約一キロ離れた文京町から移転する。広さのほか、六百席の閲覧席は県内の市町村立図書館で最多となる。蔵書数は二十九万冊から三十五万冊に増やす。

 駅と歩行者用デッキで直結される二階は、気軽に立ち寄ってもらうことを想定して、新聞や雑誌、児童書を置く。三階には専門書をそろえ、四階は学習室が中心となる。三階に執筆などができる個室も設ける。

 「市役所が閉まる週末も人が集まる」と市はアピールするが、商店街には「図書館に来る人は、周りの店には立ち寄らないだろう」と冷めた見方もある。

 大手広告会社の元社員で、公募で図書館長に就任した入沢弘子館長は「周辺の店舗と一緒に関連イベントを開いたりして、図書館を中心に人が回遊する仕組みをつくりたい」と話している。

 

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