最近、働き方改革がいわれ、無駄な業務を削減するなどして、業務の効率化を進めよう、という動きが進んでいます。
業務の効率化そのものに対して表立って反対する人というのは、あまりいません。
しかし、実際に、業務の効率化を進めようとすると、なぜか無駄な業務に見えても本当は大事なんだ、そうやって手抜きをしようとするなんてとんでもない、それで何かトラブルが起きたらお前が責任取れるのか、など、抵抗勢力の反対にあって頓挫してしまうということが多いのではないでしょうか。
まず、なぜこういう現象が起こるかについて考えてみます。
もともと、トヨタの「カイゼン」のように、無駄を省き、効率化を推し進めるのは、むしろ日本企業の専売特許でした。
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だから、今会社の上層部にいる人達は、無駄は悪、という価値観自体はすでに持っています。だから、一般論として無駄をなくしましょう、というと、諸手を上げて賛成はしてくれます。
ところが一方で、昔から無駄は悪、という価値観を持っているということは、自分のやってきたことを無駄だったと言われたくない、ということでもあります。
この意識が、業務改善への抵抗勢力を生み出します。
「改善」という言葉は、悪いものを、いいものに改めるという意味を含んでいます。
そのため、業務改善のために無駄な仕事をなくします、といってしまうと、元々会社にいた人たちにとっては、それまで自分たちのやってきた仕事が無駄なものだった、悪いものだったといわれることでもあります。
そうやって自分の仕事を否定されれば当然面白くない。
だけれども、まさか面白くないから反対とはいいません。そこで、反論できないような理由を見つけてきます。性質が悪いのが、その人達は実際に長くその仕事をやってきていますから、もっともらしい理由は説明できますし、仕事を減らす、ということには、手抜きと文句をつけることは常にできます。
また、今までそれなりに上手く言っているやり方を変えるということは、リスクを伴うのも事実ですから、その責任を誰が取るのか、という問題も付きまとってきます。
そうやって、実際には無駄な仕事であっても、無駄だからやめましょう、というと、それを認めたくない勢力の抵抗にあって、うまくいかなくなってしまいます。
だから、業務の効率化を進めていこうと思ったら 、間違っても、「業務改善」という言葉は使ってはいけません。
自分は、そういう時、「改善」ではなく、「適応」という言葉で説明するようにしています。
たとえば、先日も、会計管理に、【会計ソフトfreee(フリー)】 を導入しよう、という提案をしたのですが、この時も、それまでのやり方を否定するものではない、ということはしつこく説明しています。
「今までは、会計ソフトを使うにしても結局入力が面倒だったり、価格が高かったりとかえって高コストになってしまうので、税理士に丸投げのほうがかえって楽でした。でも、今は技術も進歩して、無料でクラウド会計ソフトが導入できるようになったんですよ。だから、技術の進歩に適応するために、新しく取り入れませんか」と言った風に。
こうやって、それまでのやり方を認めてあげるというだけで、反対していた人たちも賛成に回ってくれるのだから、不思議なものです。
よく「老害」の反対にあって業務改善が進まない、といった話を聞きますが、だいたいそういう老害といわれる人たちは、自分のそれまでの仕事を否定されるのを非常に嫌うので、現状をいったん肯定した上で、状況が変わった、ということを説明してあげる、ということが非常に有効なようです。
職場の改善を妨げる「老害」にお困りの方は、是非試してみてください。
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