日本版Hulu、外付けモニタはHDMI接続が原則必須に。リニューアル後はHDCPへの対応が必要とアナウンス
HDMI非対応のモニタで動画を見ていたユーザーなどには大きな打撃です
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動画配信サービスのHulu(日本版)が、5月17日のリニューアル後、ディスプレイとの接続に「HDCP」が必須となったことを公式サイトで明らかにしました。HDCPとは、映像機器とディスプレイ間の著作権保護機能。HDMI端子搭載の機器では必須となっています。このためHulu側は、外付けディスプレイはHDMI接続のみを対応動作環境と改訂しました。
HuluはこれまでHDCP無効の機器、つまり非対応の(古めの)ディスプレイやテレビを使っている場合でも動画視聴が可能でした。この条件が加わったことで、対象となるユーザーは、最悪「ディスプレイを買い換えないとHuluが見られなくなる」状況となります。
この仕様変更に対して、Hulu公式サイトに掲載されたアナウンスは以下の通りです(タイトル画像と同じですが、可読性向上のため、改行を加えています)。
外部ディスプレイをご利用のお客様へ
5月17日Huluはシステムの大幅なリニューアルを行いました。
新しいHuluはフルHD対応となり、著作権保護の観点から、コンテンツを不正にコピーする事を防ぐためのセキュリティを強化しております。
そのためパソコン(ゲーム機など)をディスプレイにつないで視聴していたお客様は、 VGA端子などのアナログ出力やDVI端子などでの再生が出来なくなっております。大変お手数ですがHDCP対応のモニターでHDMI接続をお願いします。
※macOSをご利用の方はGoogleChromeではなくSafariをご利用ください。
※HDCPとはデジタルコンテンツの不正コピーを防ぐことを目的とした著作権保護の技術です。ディスプレイがHDCP対応でない場合も、再生ができません。
大変ご迷惑をおかけいたします。 デジタル著作権保護へのご理解、ご協力の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
上記のメッセージにあるように、この制限はPCのみならず、ゲーム機などにも適用されます。これはHuluが視聴可能なゲーム機でHDMI出力以外を備える、ソニーのPlayStation 3(PS3)と任天堂のWii Uが対象。
これらの機種に関しては専門のFAQが記載されています。症状としては、PS3の場合は「HDMIケーブルをご使用ください」のメッセージが表示され、Wii Uの場合はゲームパッドでは動画が再生されるが、テレビ画面が真っ暗のままになる、と案内されています。
なお上記のメッセージでは、Macを使っている場合、WebブラウザはSafariを使用するという条件が加わった点も挙げられています。これはGoogle ChromeではHDCP対応機器に接続しても、HDCP非対応となるためとのこと。
また、比較的遭遇率が高いのは、古めのディスプレイをWindows PCと組み合わせて使っている場合でしょう。
HDCPは上述のように、HDMI端子であれば標準で対応していますが、VGA(D-Sub15ピン)端子では対応しておらず、DVI端子の場合はPC本体やディスプレイによって対応が変わります(端子が使われている途中でオプションとして加わった仕様であるため、対応と非対応機器が混在している)。
またDisplayPortに関しても、DVIと同じく対応と非対応が混在しています。
ただしHulu側のアナウンスでは、現状ではDVIやDisplayPort接続の場合、HDCP対応でも「Huluは非対応の環境」という扱いです。
そしてHDCPを有効にするためには、再生側の機器とディスプレイ(またはテレビ)が両方とも対応する必要があります。また非対応の機器を外付けアダプタなどで対応させることは原則不可能です。
そのため、たとえば「機器側とディスプレイにHDMI端子があるが、使う必要性がなかったために接続していない」場合であれば、ケーブルだけ手配してつなぎ替えればOKですが、もしディスプレイがHDCP非対応だった場合、Huluを見るためにはディスプレイを買い換えなければなりません。
なおマルチディスプレイ環境に関しては、環境によっても左右されますが、最悪の場合では「1台でもHDCP非対応のディスプレイが接続されていると、どのディスプレイでも見られなくなる」といったユーザーからの報告もあります。
そのため検証するには、いったんHDCP対応のディスプレイのみを接続して(=HDCP非対応らしきディスプレイの接続を物理的に外して)動画を再生してみる必要があるのが現状です。
実はHuluはリニューアルの前に、Wiiやニンテンドー3DS/同LLが「コンテンツ保護の面から」非対応となった経緯がありますが(下記記事参照)、今回の仕様変更も、こうしたコピーコンロールの強化という観点から導入されたものでしょう。
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さて原稿執筆時は、上記のメッセージやFAQに「HDCP非対応の再生機器やディスプレイは買い換えが必要となる」点が書かれてないこともあり、この条件追加で動画が見られなくなったユーザーが困惑している状態です。
そしてさらに、告知されたのが(少なくとも目立ったところでは)リニューアル後なのではないかと思われる点も、混乱に拍車を掛けています。
冒頭で紹介したアナウンスは掲載日の告知が不明なのですが、例えば公式Twitterでの告知は、Huluのカスタマーサポートアカウントが5月20日付けで行なった以下のツイートが、確認できる最初です。
【ご案内】システムリニューアルに伴い、パソコンやゲーム機などをディスプレイにつないで視聴していたお客様はアナログ出力やDVI端子などでの再生ができなくなっております。詳しくは下記サイトをご確認頂けますと幸いです。 https://t.co/hjn9iL7u6l
— Huluカスタマーサポート (@Hulu_JPSupport) 2017年5月20日
また、上記のゲーム機に関するFAQの最終更新は19日となっています(FAQページに関してはあくまでも最終更新時刻のため、それ以前より掲示されていた可能性もありますが)。
それに加えて、ユーザーの環境によっては、仕様変更とは別に動画再生時にトラブルが発生しているため、カスタマーサポートでは「アクセスしにくくなっている」旨のツイートも告知しています。
【障害のお知らせ】現在一時的に弊社サイトにアクセスして頂きにくい症状が発生しております。ご不便をお掛けしており申し訳ございません。調査・対応の上、進捗があり次第追ってご連絡致します。お時間を頂戴する可能性もございますが、今しばらくお待ち下さいますようお願い致します。
— Huluカスタマーサポート (@Hulu_JPSupport) 2017年5月20日
こうしたコピーコントロールの強化に関しては、ユーザーからすると困惑するものですが(とくに突然に見える導入であればなおさら)、映像作品権利者側の意向もあるため、今後作品の充実を図っていくためにはやむを得ないところもある、というのが実情。
例えばBlu-ray Discに関しても、やはり視聴に関してはHDCP必須となっており、再生機とディスプレイの双方がHDCP対応でない限り再生はできません。
ですが導入自体の是非とは別に、こうした重要な仕様変更であれば、可能な限り早く、広く告知してほしかったというのも確かです。
今回のHuluリニューアルは、ユーザーにとって重要なドメイン名変更の告知が5月に入ってからとなるなど(下記記事を参照ください)、正直なところあまりにも慌ただしすぎる感があります。
接続トラブルの解消と合わせて、こうした混乱が一刻も早く収まってくれることを願います。
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