がんばって生きるの、めんどくさい。
いっそうつ病にでもなって、人生のロングバケーションを味わいたい。
そんなふうに思ったことがある方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。
私は、自分の心は健康でタフなものだと思っていました。
うつ病になる前は、仕事やプライベートで大きなストレッサーにさいなまれても、一向に心が折れる様子はなかったし、乗り越えることができてきたからです。
積極的に「うつ病になりたい」とまで思ったことはありませんが、そんな自分の「ストレス耐性の強さ(と、当時は思えた)」が、少し憎らしいと思うこともあったような気がします。
心身が健康だったら、ハードでもずっとがんばり続けなきゃいけない。
それがちょっと大変に思えたのです。
自分がうつ病になってみて、そんな考えは一変しました。
本当に辛くて、苦しくて、どん底な気分に陥る怖さを、身をもって体験したからです。
でも、中には、安易に「うつ病になりたい」と心のどこかで思われる方もいらっしゃるのではないかと思います。
今回は、そんな方々の心理について考えてみたいと思います。
「うつ病になりたい」と思う人たちの心理
心は複雑なものですが、こんなことが考えられると思います。
仕事が大変だから
残業続きの毎日、ストレスフルな営業活動、職場に苦手な相手がいるときの人間関係。
仕事だと、避けることが難しいものです。
逃避したいけれど、容易にはいかない。
そんなとき、うつ病が「逃げ道」になるように考えてしまう人もいるかもしれません。
でも・・・
私にとっては、がんばれる状態でがんばっていた時の方が、うつ病になったときより100倍楽です。
あの辛さをまた味わうのを回避するためなら、何でもする!という気持ちです。
実際には「何でもする!」どころか「何にもできなくなった」ので、矛盾が生じますが。
だらだらしたいから
面倒なこと、大変なことは全部置いておいて、だらだらしたい。
うつ病になったら元気に遊び回る気力は無いのはわかっているけれど、自分はインドア派だし、休養という名目で、自宅でゆっくりしたい。
そんな考えを抱く人もいるかもしれません。
でも・・・
うつ病になったら全然心が安まらないので、ちっとも「ゆっくり」なんてできません。
「人生のロングバケーション」なんて、とんでもないです。
以前、うつ病で休職中だと言うことをカミングアウトした相手に、「じゃあゆっくりできていいですね」と言われたことがありますが、返答にあうあうしてしまいました。
周囲に同情してほしいから
大変な自分を認めて欲しい、もっと見て欲しい、同情して欲しい。
そんなふうに思われる方もいるかもしれません。
うつ病になったら、周囲の同情を買えるのではないか、大変さが理解してもらえるのではないかという思考になる方も一定数いるようです。
でも・・・
私は、うつ病になって周囲の目がとても気になるようになりました。
確かに、病気だという理由で優しくしてくれる人も多いですし、理解ある方もたくさんいます。
しかし、うつ病さんは、そういう対応をされても申し訳なさでいっぱいになるだけということが多いと思います。
また、私はどうしても「心の病気になるなんて恥ずかしい」という気持ちがぬぐい去れずにいました。
うつ病をアピールポイントに感じられる方は、従来型のうつ病さんにはいないのではないかと思います。
おわりに
心は目に見えないものです。
その辛さの実態がよくわからずに、「うつ病になりたい」という考えになってしまうのも、わからないではありません。
しかし、うつ病は本当にきついです。
特にうつ病の急性期は、私にとっては間違いなく人生で一番辛い時期でした。
「うつ病の苦しみを味わいながら休む」
のと、
「大変ながらも元気に働く」
のであれば、うつ病経験者は誰しも後者を選ぶでしょう。
経験を通して、人の気持ちが分かるようになったことは、ひとつの「良かったこと」と言えるかもしれません。
うつ病を乗り越えた方の中には、「うつ病になって良かった」とおっしゃる方もいます。
前向きな姿勢、本当に尊敬します。
それでも、今の私はやっぱり総じて、そういう気持ちにはどうしてもなれません。
いつか完全に乗り越えたときに、自分の気持ちがどう動くのか、見守っていきたいと思います。
↓ポチッとお願いします。