6月4日から始まる「北アルプス国際芸術祭」会場ではアーティストたちが制作の真っ最中。その様子が報道陣に公開されました。お出かけの際のガイドに、一部をチラ見せします!
どこでも人気のアーティスト・ユニット、「目」の作品は、彼らが手を加えた古民家から北アルプスの山々を眺めるというコンセプト。
「景色が物体的に見えたんです。景色が遠い距離にあるのに、目前に迫ってくるようなアートです」
ぜひゆっくりと過ごしてください、とのことでした。行列ができそうな作品です。
フェリーチェ・ヴァリーニの作品はある一点から見たときだけ、きれいな渦巻きが現れるというもの。三世帯しか住んでいない集落で、わずかに家が集まっている場所につくられています。
船や建物をモチーフにした作品をつくってきたアルフレド&イザベル・アキリザンは、街の人々に持ってきてもらった「家の中の不要なもの」で船をつくり、それを湖に浮かべます。
淺井裕介さんは絶賛制作中。幅34メートル、高さ6〜9メートルの壁面に細い筆や刷毛で立ち向かっています。すべて手作業、街の人も手伝っています。
「この付近の山、川、猿、リス、川に水を飲みにくるカモシカ、そんなものからインスピレーションを得ました。大きな面は未熟なところ、下手なところ、すべてを受け止めてくれる。大きな生き物の中にまた、小さな生き物がいたりするのでよく見てほしい」
オーストラリアの作家、ジェームズ・タップスコットが作品を設置する川がある「仏崎観音寺」。川にかかる太鼓橋に、こちら側と向こう側をつなぐかのような作品をつくります。
五十嵐靖晃さんは街の人と太いロープを作って、桟橋の先に垂直に立てます。湖の水と空をつなぐような感じになるはず。
「瀬戸内国際芸術祭に参加したとき、瀬戸内では水平方向の信仰があるように思いました。ここ、信濃では山岳信仰など、垂直方向の信仰があるように思います」
海の彼方にあの世があるのか、山の上に天国があるのか。そう言われてみれば確かに、異世界は水平または垂直方向に存在するようです。
開催地一帯はとにかく水が豊富。街中には道路を挟んで違う水源の水が湧いているスポットがあり、ほんの5メートル歩くだけで味がまったく違う水が飲めます。下を水路が流れる家での展示も予定されているとのこと。このあたりは夏でも涼しいのがうれしいところ。他の地域とはちょっと違う景色と水を味わいに行くのも楽しみです。
「北アルプス国際芸術祭」は6月4日から7月30日まで、信濃大町駅などのエリアで開催されます。
3年前に開かれたプレイベント「信濃大町・食とアートの回廊」の様子はこちらから。