たくさん本がある家の子どもは読解力が高い:研究結果
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Popular Science:赤ちゃんに読み聞かせをするのは、犬に話しかけるのにかなり似ています。相手が実際にどれくらい理解しているのかわからなくても、理解しているかのように接すると気分が良くなります。犬(その他ペットなど)と違って赤ちゃんの場合は、読み聞かせをすることで語彙力や識字能力が上がります。犬も赤ちゃんも、あなたの注意が向けられるというメリットがあります。(無条件に本当に愛してくれるのは犬だけですが)
勉強などの成績に影響を及ぼす要因は、親の管轄外であることが多いです。つまり、社会経済的な状況です。しかし、そのような外的要因はコントロールできなくても、子どもと一緒に本を読むことで読解力は上がります。なんと、ただ家の中に本があるだけでも、読解力を伸ばすのに役立つようです。100冊の本を所有している家庭の子どもは、1.5学年上の子どもと同等の読解力があります。本が多ければ多いほど読解力は伸びるようで、500冊所有している家庭の子どもは、2.2学年上の子どもと同等の読解力があります。それ以上本を所有しても、読解力はそこまで伸びません。(それでも、親たちは家の中を本で埋め尽くそうとするのかもしれませんが)
もちろん、本を所有するだけで読解力が身につくわけではありません。読む物が大量にあるということと、本を所有し、読んでいる家族の一員となることが合わさった上でのことです。しかし、子どもに読書をうながすことが、良い教育をする最高の方法の1つであることには間違いありません。
先日の米小児科学会で新たに発表された研究では、赤ちゃんにもメリットがあることが証明されました。赤ちゃんに読み聞かせをしても、絵本のページをよだれで汚すだけで無駄に思えるかもしれませんが、学校に行き始めると効果が表れます。小児発達の研究者は、生後6カ月から4歳半までの子どもが読む本の質と量から、より品質の高い本を読むことで言語能力が向上するかどうかを調べました。ご推察の通り、語彙の理解や使用が早くから向上し、幼児が音声を言葉として解釈するようになり、子どもはより早く1人で本を読めるようになります。このような進歩はすべて、学校に上がる年齢になって一気に身につきます。
不思議なことに、この研究の対象は母子関係だけで、父子関係では調べていません。どちらの親が読み聞かせていても、調査に報告したのが母親だけだった可能性もありますが、この不均衡には注目すべきです。父親が子どもに読み聞かせをしないということではないでしょう。個人的な関与はさておき、読書行動に関して質問されたのが母親だった可能性もありますが、それでも読書のような性別に関係ないことを親の性別で分類するのはおかしなことです。
いずれにしろ、子どもが早くから読書に夢中になれば、全体的に良い生徒になります。空いている時間に本を読むくらい好きであれば、間違いなくそうです。自発的に本を読む人は一般的に試験の成績が良く、本を読むのが好きではない人よりもしっかりとした知識が身につきます。
また、年を取っても、雇用者は従業員にきちんとした読み書きの能力を求めます。当たり前のことだと思うかもしれませんが、高卒や大卒の従業員が十分に読み書きができないので、一番の不満になっています。読解力があると、経営や金融など給与の高い仕事に就くことができます。全米芸術基金の調査によると、読解力が乏しい人の70%が、そのせいで仕事やキャリアの足を引っ張られていると認識していました。
読書が何でも解決してくれる魔法の杖のようなものだとは言いませんが、子育てに関して科学的に立証されているものの中では、かなり取り掛かりやすいものではないでしょうか。健康的な食事や運動のように、子どもに読書の楽しさを教えることで、子どもが定期的な読書の習慣を身につけるのがはるかに簡単になります。ですから、『ナルニア国物語』でも『ハリー・ポッター』シリーズでも、子どもが夢中になるようなものを与えてあげましょう。今のうちに本に没頭するようになれば、後であなたに感謝するはずです。
Reading with your baby will help her for the rest of her life |Popular Science
Sara Chodosh(訳:的野裕子)
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