下地毅
2017年5月20日18時51分
毎日86万人が乗り降りするJR大阪駅。有馬敏夫さん(66)=大阪市北区=は、自宅からてくてく歩いて中央南口前の雑踏に着くと、「悩みある人 話して少しは楽になって」と手書きした段ボール紙を広げる。(下地毅)
横目で見たり、指をさしたり。多くは通り過ぎる。
「『なんや、あのオッサン』と、笑われるだけでもいい。人を笑顔にできたから」
立つ。話を聞く。それだけのことを、昨年の5月に始めた。「お前も世の中に役立つことをしたらどうや」。ボランティアで子どもの貧困対策に取り組む知人から、そう言われたのがきっかけだった。
考えて、「話し相手します」という一文が浮かんだ。孤独な老人、社会との断絶といった言葉が前から気になっていたので、思いついたのだろうと言う。
方法は?とまた頭をひねり、「おじいちゃん、おばあちゃん 若いころの話、して下さい」と段ボール紙に書いて立つことにした。
2カ月間、だれも寄りつかなか…
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朝日新聞社会部