韓国大統領選挙の最中、北朝鮮はミサイル発射を1回に押しとどめ、一部で予測された4月25日の核実験も延期した。おそらく次の核実験ないしは大陸間弾道ミサイル実験は、選挙が終わったこれからを見越しているのだろう。
北朝鮮にとっては、極左の文在寅(ムン・ジェイン)政権が誕生しさえすれば、自動的に“準北朝鮮”が建国されるのだから、いくら無謀な金正恩党委員長でも、アメリカを刺激することはしなかった。
ところが驚いたことに、保守系の自由韓国党(朴槿恵前大統領が率いた旧セヌリ党)の洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補はとんでもないことを発言していた。テレビ討論の中で「慰安婦問題はナチスドイツのユダヤ人虐殺に匹敵」と中国や北朝鮮でも言わないような論説を持ち出したのだ。韓国の大統領は誰が就任しても“反日”だが、ここまで曲解された史観を持ち出されると、この人物の頭の中を覗きたくなる。
「ユダヤ人虐殺に匹敵」と発言した根拠
これまで韓国は、従軍慰安婦史観をどう述べてきたか、簡略して説明しよう。
《日本兵はセックスという褒美をもらうために一生懸命戦闘をした。そのために日本の官憲および軍、民間業者が朝鮮人女性を含むアジアから20万人もの女性を騙し、強制的に連れ去り、日本の植民地や占領地の至る所で性奴隷として売春を強要した。しかも多くの証言があるように、軍用売春宿設置後も日本兵は民間人女性に対する強姦や殺戮をやめなかった。その子孫である日本人は殺人・強姦魔の子孫たちだ》
洪候補はこれらを捉えて“ユダヤ人虐殺に匹敵”と言いたかったのだろう。
もうひとつ、従軍慰安婦問題での被害国であるインドネシアで、20年ほど前にあった出来事を紹介しよう。
「Tという同問題の火付け役である高名な弁護士が、インドネシアで『慰安婦と名乗り出れば200万円(当時日本円で2億円)の補償金を出す』と募ったのです。すると2万2234人の人々が『慰安婦被害者だ』と名乗りを上げた。戦時中同国に駐留していた日本兵は2万人弱ですよ。“一夫一婦制”が成立していたことになる」(国際ジャーナリスト)
一事が万事、従軍慰安婦問題は、こんな与太話で満ち溢れているのである。
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