中国人らが海外のインターネットサイトを閲覧できるよう、中継サーバーを無届けで埼玉県内のシェアハウスに設置したとして、千葉県警サイバー犯罪対策課と千葉北署などは18日、電気通信事業法違反の疑いで、中国籍の男で私立大学院生、李碩容疑者(26)=埼玉県吉川市=を逮捕した。不正に設置した中継サーバーは犯罪の温床とされており、県警では新潟、山梨、和歌山、福岡、熊本各県警と合同捜査本部を設置し捜査していた。捜査本部では中国に首謀者がいるとみて調べている。
逮捕容疑は氏名不詳者と共謀し昨年3月26日~10月31日、埼玉県戸田市内の一戸建て住宅に、インターネットの中継サーバーを設置し、国外などの不特定多数の利用者からの通信を多数回にわたり無届けで中継するなどした疑い。李容疑者は「届け出をしないでサーバーコンピューターを設置、管理していた」と容疑を認めている。
同課によると、中国国内の一般ネット利用者は海外サイトに接続できないため、日本国内に中継サーバーを設置。中国の首謀者が一般から料金を得ていたとみられる。李容疑者はこの中継サーバーを設置して保守管理や接続料金の支払いなどを担当。首謀者から中国の電子マネーで月数万円程度の報酬を受け取っていたとみられる。
中継サーバーは、シェアハウスとなっている一戸建て住宅の1室に設置され、パソコン5台にルーター32台を接続。パソコン内には仮想サーバー180台が確認された。海外からの利用者は主に中国人で、IPアドレスで約1600人分。利用者のIPアドレスは中継サーバーを介して日本のIPアドレスに変換される仕組みで、利用者は日本国内のさまざまなサイトに接続できるようになっていた。
県警で昨年6月以降、県内の銀行でネットバンキングに対する不正送金事案を調べていたところ、この中継サーバーを特定。県外でもネット関連の犯罪で使用されていたことが判明した。
李容疑者はシェアハウス1室のカギを所持して中継サーバーを管理。この部屋の契約には別のアルバイトが関与していたという。