トランプ氏、FBI捜査は米国を「傷つけている」と ロシア疑惑
ドナルド・トランプ米大統領は18日、大統領選にロシアが介入した疑惑の捜査に司法省が特別検察官を任命したことは、米国を「ひどく傷つけている」と述べた。コロンビア大統領との合同記者会見の場で記者の質問に答えた。
トランプ氏は、自分の選挙運動関係者とロシア当局が結託したか連邦捜査局(FBI)などが調べていることについて、特別検察官の任命は「尊重する」ものの、「すべては魔女狩りだ。結託などない」と強調した。
司法省は、ロシア疑惑の捜査を指揮する特別検察官に、ロバート・ムラー元FBI長官を任命している。捜査を主導していたジェイムズ・コーミー氏を大統領がFBI長官の職から解任して以来、特別検察官の任命を求める声が高まっていた。与野党ともに、ムラー氏の任命を歓迎している。
トランプ氏は18日の会見で、捜査に圧力をかけるためにコーミー氏を解任したのではないと、あらためて強調した。
「コーミー長官はほとんどの人の間でとても不人気だった」と大統領は述べ、「その決定をした時は実際(中略)超党派の決定になると思っていた。共和党側だけでなく民主党側でも実に大勢が、コーミー長官についてひどいことを言っていたのだから」と、解任への反応は予想外だったと話した。
トランプ氏は17日には沿岸警備隊士官学校の卒業式で演説し、「歴史上、自分ほどひどく、あるいは不当に扱われた政治家はいない」と不満を漏らしていた。
また18日にはツイッターで、「アメリカ史上、政治家がこれほどひどい魔女狩りにあったことはない!」と書き、その数時間後には根拠を示さないまま「クリントンの選挙戦やオバマ政権であらゆる違法行為があったのに、特別検察官が任命されたことはなかった!」と書いた。当初は「special counsel(特別検察官)」を「special councel」とつづりを間違えていたが、後に修正された。
特別検察官の任命は、ホワイトハウスにとって予想外の展開だったとされている。ロッド・ローゼンスタイン副司法長官が命令書に署名して初めて、大統領は報告を受けたという。
ムラー氏の任命にあたり、ローゼンスタイン副司法長官は、「国民の利益のためにも、この捜査の指揮は、通常の指揮系統から一定の独立性を保つ人物の権限のもとに託す必要がある」と説明した。
幅広い権限を手にすることになるムラー氏は、「私はこの責務を受け入れ、自分の能力の限り職務をまっとうする」とコメントした。
一方で、米紙ニューヨーク・タイムズによると、大統領補佐官の職から事実上解任されたマイケル・フリン氏は、当初思われていたより早い政権発足前の1月初めの時点ですでに、大統領選の最中にトルコ政府のロビイストとして働き報酬を受けていたとして司法当局に捜査されていると、政権移行チームに伝えていたという。
同紙によると、トランプ氏はこの件について承知しながらも、フリン氏を国家安全保障問題担当の大統領補佐官に任命した。フリン氏は政権発足からわずか24日後の2月13日に解任された。
(英語記事 Trump: FBI inquiry into Russia links 'hurts US terribly')