山本一郎(個人投資家・作家)
国会論戦もたけなわの4月25日、日本維新の会の衆議院議員、丸山穂高さんが質問に立ちました。これが、現在スマートフォンを中心に人気のフリーマーケットアプリ「メルカリ」で現金が出品されるという事態について金融庁などの対応を問う内容であったため、かねてから問題視されてきたメルカリほかアプリ無法地帯ともいえる現状がより広く知られるところとなったわけです。
このメルカリの問題については、かねてからSNSや雑誌記事などでも取り上げてきておりますので、経緯についてはそちらをご覧いただければと存じます。もちろん、表題はメルカリが中心となっていますが、実際には「ヤフオク!(旧・ヤフーオークション)」やC2C(消費者間の取引)のフリーマーケットアプリ全般の話が中心となっています。その意味では、昔から適切ではない商品の出品があったことは事実です。
・急成長「メルカリ」にはどんな法的リスクがあるか(PRESIDENT)
・「やったもん勝ち」ネット業界のイノベーションが世間を犯罪まみれにするまで(文春オンライン)
昨今、とりわけ問題視されているメルカリについては、大きく分けて2つの問題を抱えています。
ひとつは、本人確認が事実上なされず銀行口座などの情報にもひもづけられないため、問題出品をしている人物を取り締まることは容易ではないこと。もうひとつは、売り主から売掛金をメルカリが事実上の預かり金という形で計上しているにもかかわらず、出資法や資金決済法で定めた適法な措置を取ってこなかった点です。
ひとつは、本人確認が事実上なされず銀行口座などの情報にもひもづけられないため、問題出品をしている人物を取り締まることは容易ではないこと。もうひとつは、売り主から売掛金をメルカリが事実上の預かり金という形で計上しているにもかかわらず、出資法や資金決済法で定めた適法な措置を取ってこなかった点です。
これらの問題の根幹には、日本初の大型ベンチャーを育てていくにあたって、多少の脱法的なビジネスもやむを得ない、グレーゾーンをついてこそベンチャー企業だという姿勢を取る経済産業省の特定部署の責任者や、証券会社、ベンチャー界隈独特の「空気」が存在します。
ある高級官僚は、経済産業省の競争促進を担う責任者がベンチャー企業経営者の集まる席上でむしろ脱法的、潜脱的なビジネスも容認する発言を見て、日本のイノベーションは消費者や生活安全の犠牲の上に成り立っていると深く嘆いたといいます。ここまでアプリ関連のビジネスが大きくなったいま、金融当局が「実は違法でした」と立ち入り検査をすることに逡巡(しゅんじゅん)する背景には、日本の経済が停滞から脱却し、力強い成長路線に回帰するためには活力ある創業環境が必要だという安倍政権のリーダーシップに逆らうのではないかという「忖度(そんたく)」があるともされます。