マストドン会議の第2弾「Mastodonにインスタンスを立てる理由」が5月17日、角川第3本社ビルで開催された。
角川第3本社ビルといえば、エロマンガ先生の聖地でもあるのだが、山田エルフ先生は見かけなかった。
会議は主催者である角川アスキー総合研究所 主任研究員である遠藤諭さんのマストドン概論でスタート。とても納得できる内容で、結論は「マストドンってSNSにおけるXXXのようなもの」なのだが、ここは「ITmediaは書いちゃダメ」と言われたので、遠藤さんの記事を待とう。
2回目となるマストドン会議は、企業によるマストドンインスタンス開設・運用に焦点を当てた内容で、ニッポン放送、ドワンゴ、ピクシブのインスタンス構築・運用担当者が登壇し、そのノウハウや苦労した点などを披露した。
まずはニッポン放送。
ニッポン放送はマストドンのインスタンスを立ち上げた大手企業としては3番目だが、1953年創業という長い歴史を持つラジオ局でもある。
TUNERは4月20日の午後5時に一般公開され、執筆時点でユーザー数は933人と小粒だが、その背景にはラジオで積極的にアナウンスしていないこともあるようだ。興味深いのは、歴史あるメディア企業でインスタンスを立てる意思決定。「上司(部長)にやりたいです、と言ってOKが出たので」という意外な軽さで動いた。さすが副部長がよっぴー(吉田尚久)さんだけのことはある柔軟性だ。
次はfriends.nicoを運営するドワンゴ。
「ドワンゴのマストドン歩み」というスライドによれば、金髪美少女アイコンで知られるまさらっき(山田将輝)さんからの「マストドンやらせろ」から開発がスタート(4月16日)し、19日にリリース。その前日にはmstdn.jp管理人であるぬるかるさんの入社が決まったり、翌日にはそれまでマストドンに反対していた江添亮さんが手のひらを返すなどめまぐるしい状況だった。
「超会議のある4月は年末に相当する。タイミングずらして欲しかった」という状況で、さらには次期ニコニコ動画「クレッシェンド」リリースを控えた少ないリソースの中での戦いだったようだ。
最後は、企業インスタンスとしては最初に立ち上がったPawooを運営するピクシブ。
ピクシブのPawooは最も潤沢にリソースが注がれ、かつ初動が早かった。
「新宿、原宿、秋葉原と場に人が集まってムーブメントが生まれてきた。それをもう一度Webでやりたい。最終的に創作活動の支援につながる」と同社の清水智雄(norio)さんがインスタンス立ち上げを主張。ピクシブのミッションと合致することからGOが出て、14日という早いタイミングで立ち上がった。
その結果、新規サービスとしては珍しくユーザーに暖かく受け入れられた。「優しい世界」とNorioさんは喜ぶ。ユーザー数は15万人に届こうという世界最大規模だ。そんなPawooを運営するためのノウハウは、本家にもフィードバックされている。
Mastodon本体へのコントリビュートは65以上。独自機能を追加していくと本家がバージョンアップしたときにソースコードをマージするのが大変だという理由も背景にある。本家が取り込んでくれそうなものは積極的に取り込む。最適化したコードが本家にも入ることで、「リモートインスタンスにも早くなってほしい」「世界中のサーバが軽くなることが自分たちのメリットにもなる」という意図だ。Pawooだけ速くなってもダメなのだ。
ピクシブとMastodon本体の関係についての話はさらに続くのだが、長くなったので次回(明日)に。
マストドン会議3の開催も決まっている。6月10日開催で、テーマは「ようこそ、Mastodon への “願望” と “思想” が交わる一日へ」だ。
さらに、Interop Tokyo 2017では「マストドン」ブリーフィングなるものが行われ、6月7、8、9とマストドンイベントが開催される。7日に行われるオイゲン・ロッコさんのSkype基調講演が期待なのはもちろんなのだが、筆者も8日の<特設セミナー>『ジャーナリスト座談会 〜マストドン現象と日本のネットの特殊性を考える〜』にパネラーとして登壇することになっているのでちょっと宣伝しておこう。
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