京都府木津川市と奈良県奈良市にまたがるイオンモール高の原。読売テレビ『ワケあり!レッドゾーン』では、境界協会の小林政能さんが警察の管轄が分かれること、水道料金は両市に払うことを説明していたけれど、イオンモール高の原にはそれも含めていろんなルールが。
イオンモール高の原が、同じく市境をまたぐ奈良登美ヶ丘、京都桂川、四條畷と違う点は、警察の管轄が分かれるということ。そのため、両府県警は造成工事のころから協議を続け、事件や事故に備えてイオン(当時)に境界線を引くよう申し入れをすることになった。その結果、イオンモール高の原だけ通路、階段、駐車場、そして電機整備室にまで線が引かれている。
ただ、もし府県境の真上で万引きなどが起きたとき、権限争いが起こるかと言えば、あらかじめどちらの警察が担当するか決められており、通路に線が引かれていても専門店の中にはない。駐車場も担当が決まっているのか、車止めが2色に色分けされている。
電話を両市から引くことはないため、実際にはどこで事件が起ころうともモール内の防災センターを経由して京都府警に一報が入ることになり、京都府警がまず駆けつける(携帯電話の場合は奈良県警のことも)。
巡回には両方からやってくるが、防犯訓練やイベントは両方のときと片方のときがある。
防災訓練、消防点検などは京都側が担当する(よそでも同じで、例えばイオンモール京都桂川だと京都市。Honda Cars 奈良中央 高の原店だと奈良市)。
火災発生時も警察同様、電話の関係で京都側に入電するが、そこから奈良市消防局にも出動要請する(携帯電話の場合は逆もあり得る)。一方、救急は入電した側が出動し、いつも両方から来るということはない。
固定資産税は面積に応じて両市が分け合う。法人市民税も奈良市側の店が木津川市に申告する問題が起きたが、両市が協議した結果、実際の店舗位置で判断することに。一方、地方消費税は入口が京都府だからと全額府に計上されていたが、奈良県が数億損をしていると府と総務省に猛抗議したため、その後は面積比で分けられている。
奈良側でも京都府の最低賃金が適用される。ただ、以前は「高の原店に研修に行った時奈良の最低賃金がどうたらって裏に書いてあったんだけど」といった声も。
スク革や東京カルチャーカルチャーなどで、京都側で使えないと紹介された奈良県の商品券。奈良側では使えるのかというとそういうわけでもない。地方消費税の税収が少ない奈良県は、奈良側のみ参加を認めているので、平城遷都1300年記念プレミアム商品券(2010・2011年)、せんとくんプレミアム商品券(2011年)では県の方針に従ったが、生活応援せんとくんプレミアム商品券(2014年)、せんとくんプレミアム商品券(2015年)ではなぜか全店舗で参加を見合わせた。一方、奈良市は京都側でも使用を認めたが、マクドナルドについてはイオンモール奈良登美ヶ丘(奈良県生駒市・奈良市)の生駒市側では使えるのに対し、何故か高の原では不可。
商業施設の住所決めは法務省の管轄になるが、法律上の決まりはない。高の原は京都側のフロア面積が広く、事務所も京都側のため京都府木津川市相楽台1-1-1。大店立地法に基づく届出先も店舗部分がより多く属する方の都道府県となる。
一方、登記は2か所にしており、モール内でゆめはんな歯科クリニックとポシブルはなぜか住所が奈良市右京1-6-1で、サンマルクカフェもレシートだけ奈良市。また、京都府の住所も木津川市相楽台1-1-1と相楽台1-3が混在しているが、店舗の入れ替わりに伴って相楽台1-3は減少しつつある。
木津川市の0774。公衆電話も同じで、置かれているタウンページは京都府宇治・山城地区版。イオンモール高の原のある平城・相楽ニュータウン(京都府・奈良県奈良市)は、ネットが普及するまでタウンページが分かれていることが不便だった。
奈良市水道局と京都府営水道の両方から供給される。京都側は水道代が高いことから地下水を利用する企業も多いが、イオンモール高の原では使用していない。
搬入口は京都側と奈良側がある。また、廃棄物は発生した市ごとに別々のルールで分けないといけないため、ごみ集積所が2か所。
映画館は奈良市側にあり、『Yahoo!検索大賞2016』奈良県部門賞にも選ばれたが、興行場法や条例に基づく営業許可は京都府が出し、府の青少年の健全な育成に関する条例が適用され、生活衛生同業組合京都興行協会に所属している。そのため、近鉄奈良駅近くの映画館が閉館した際には、徳島市も映画館がなかったのに「県都で唯一 映画館ゼロに」と報道され、山口市の映画館がなくなってからも、なぜか奈良市だけが新聞に全国放送のバラエティ番組、ロケットニュース24やちちんぷいぷいなどいろんなとこでないない言われる羽目に。
建設時、古都の眺望を守るため奈良市側のみ31m高度地区に指定されており、木津川市側は制限を設定する考えはないとした。しかし、隣接する用地(現在の増床予定地)の売却を前に、木津川市も都市計画審議会で高さ制限と斜線制限を設けた。
もともと5店舗が『きょうと子育て応援パスポート』に協賛。その後、『なら子育て応援団』の協賛店が登場し、さらに『きょうと子育て応援パスポート』も奈良を上回る数に増加したが、イオンモール高の原の公式サイトでは奈良のものだけが案内されている。
イオンモール高の原が建つ平城・相楽ニュータウン(京都府・奈良県奈良市)には奈良市立北部図書館があるが、京都側の住民は貸出ができないため、建設が予定されているイオンモール高の原の増床棟に図書館のスペースを設ける話がある。しかし、東京オリンピックによる資材高騰で計画は進んでいない。