建設業界は、なんて古くさい考え方の人が多いのだろう!
建設現場という体育会系の男性社会で働いていると、なかなか理解してもらえない女の事情がいくつかあるものです。
最近は「けんせつ小町」(日建連が提案した女性建設技術者・女性建設技能者の愛称)などと呼ばれて、急にチヤホヤされるようになった私ですが、女性建設技術者をめぐる表向きのPR活動と、建設現場の内情は必ずしも一致しないところもあると思っています。また、建設業界は、なんて古くさい考え方の人が多いのだろうとも感じています。
建設現場の「本当」の女性トイレ事情
現場の規模によっては、現場事務所さえない場合もあるので、トイレを探すのに苦労された経験のある建設業界関係者も多いと思います。
しかし、今はほとんどの現場で、仮設のお手洗いや洗面台が設置してあると思います。
私は多くの現場で、たった一人の女性技術者なので、男性職員や職人さんと共同で仮設トイレを使うことがほとんどです。
ただ、最近はありがたいことに、女性専用トイレを別に分けて設置してくださる現場もあり、そういう現場では、女性建設技術者の活躍推進プロジェクトの一環として、女性専用トイレをPRしています。これは建設業界全体をあげての取り組みで私も大いに賛成しています。しかし、実際の現場では、デリカシーのない男性の職人さんたちが、女性専用トイレなどお構いなしで使っているという現実があります。男性全員とは言いません。
そのため、仮設トイレの鍵は簡易的なものが多いので、ちゃんと閉まっているか、誰かが入ってこないかと気になり、なかなか落ち着きません。そして信じられない勢いで仮設トイレは汚れていくため、毎日の掃除が欠かせません。事務所に着替える場所がない時は、トイレで着替える場合もあるので、何気に酷な環境です。でも、建設現場には男性の方が圧倒的に多いので、仕方ないと思う側面もあり、文句は言いません。
土を触ると肌荒れがスゴイ!
男性でも女性でも肌が弱かったりそうではなかったりするのは人それぞれですが、私は肌がとても弱く現場では苦労しています。外での仕事なので、雨やホコリや土などで毎日ドロドロになり、ただれてしまいます。なので、早く現場所長になって、汚れなくても済むようになりたい!と思ったものです。
特に夏場はたくさん汗をかくので、私はいつも現場ではスッピンで仕事をしています。化粧してもどうせすぐに落ちてしまう、というのも理由の一つなのですが、化粧に汗が混じると余計に肌が荒れるので、日焼け止めのみで過ごしています。
男性陣には「もう少し女らしく化粧でもしろ!」とか「日焼けこそ現場の勲章だ!」などと言われますが、そんなことはお構いなしです。
なんでこんな職場を選んだのか?
現場において土や泥を触ることが多く、男性はほとんど普通の手袋をして、時には素手で手を突っ込んでいますが、私にはそれができません。汚れるから、などという可愛らしい理由ではなく、土や泥水に素手で触ると、必ず肌が荒れて湿疹が出ます。
なので、現場では必ずゴム手袋2枚と普通の手袋を重ねて作業しています。それを見る人には面倒臭い女だと思われているかもしれませんが、仕方ないではないかと割り切っています。
「じゃあ、なんでこんな職場を選んだのか!?」と言われてしまうと、何も言えないのですが、建設業界の男たちは、なにかにつけ「じゃあ、なんでこんな職場を選んだのか!?」と言いたがります。
それを聞くたびに、建設業界の前時代的な側面を感じています。きっと男性でも肌の弱さで苦労している方はいらっしゃると思います。
「じゃあ、なんでこんな職場を選んだのか!?」という発言は、そこで思考停止になってしまうので、建設業界のためにはならないと思っています。