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波乱のバスタイム ☆修正アリ
「ふぅ……。やはり自分の魔法で作った風呂は格別だな」
食事が終わった後は入浴の時間である。
屋敷の中で1番、面積の狭い小浴場を使っているとは言っても浴槽の中に湯を満たすのは、かなりの重労働である。
けれども。
この作業だけは他人に任せることは出来ない。
風呂を用意するのは骨が折れるが、この作業にはメリットも多い。
沢山、魔法を使えばそれだけ訓練にもなり、何より魔石を節約することもできる。
魔法を使って疲れた体を風呂の中で休めると、なんだか少し得をした気分にもなった。
「ご主人さま。失礼します」
「主君。邪魔をするぞ」
声のした方に視線を向けると、そこにいたのはスピカ&シルフィアがいた。
悠斗は自らの眼を疑った。
何故ならば――。
バスタオルこそ体に巻いてはいるが、二人ともそれ以上は何も身に着けていない状態であったからだ。
二人は桶で湯を組んで体にかけると、悠斗の両隣を占領する。
右隣にスピカ、左隣にシルフィア。
夜寝る時と同じポジションであった。
「どうしたんだ。二人とも。今日は何時にも増して積極的じゃないか」
悠斗にとって二人と同じベッドに入ることはあっても、一緒に風呂に入ることは初めての経験であった。
「申し訳ありません。なんだか無性にご主人さまに甘えたくなってしまって……。迷惑でしたでしょうか?」
スピカは上目遣いに尋ねながらも、全身を使って悠斗の右腕をしっかりと抱きかかえる。
「いいや。全然迷惑なんかじゃないぞ。なんというかこっち方面に関しては、俺から攻めるばかりだったからな。たまには攻められるのも悪くない」
「えへへ。ありがとうございます。嬉しいです」
喜びの感情に連動しているのか、お尻から生えたスピカの尻尾は上下に揺れ動く。
湯船の中で勢い良く尻尾を振るのでパシャパシャと水飛沫が舞った。
「ズ、ズルいぞ! スピカ殿!」
悠斗とスピカが体をくっつけていると、左隣にいたシルフィアが声を荒げる。
そして。
言うが早いか、スピカと同じ要領で、悠斗の左腕をしっかりと抱きかかえる。
「どうしたんだ。シルフィア。もしかしてお前も無性に甘えたい気分になったりしたのか?」
「ち、違う! これは違うのだっ!」
茶化すような口調で尋ねると、シルフィアは首をブンブンと振って否定する。
2人が積極的にアピールするようになった原因は、リリナという強力なライバルの出現にある。
けれども。
プライドの高いシルフィアは、頑なにそのことを口にしようとはしなかった。
「主君も知っているだろう? 人間が最も無防備になるのは、この入浴の時間なのだ! 私は主君に仕える騎士として、主君の護衛任務を全うするべく今日この場に馳せ参じたのだ!」
「……お、おう。そうなのか」
護衛とか言っている割には何も武器を付けていない全裸の状態なのだが、それで一体どうやって戦うというのだろう?
などと疑問に思わないわけでもなかったが、それを口にするのも野暮なので、黙っておくことにした。
「それじゃあ。さっそく。3人で体を洗いっこしようか」
「び、びええええ!?」
「不満か?」
「と、突然何を言い出すんだ!? そんな破廉恥な行為はできるはずがないだろう!」
悠斗の唐突な提案は、シルフィアの一言によって却下される。
(諸事情により文章のカットを行いました)
それから。
3人の楽しいバスタイムは続くのであった。
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大変なものを見てしまった。
悠斗たちのやり取りを扉の隙間からこっそり覗いていたリリナは、胸の内より湧き出す動揺を抑えきれずにいた。
ケットシーの一族は他の種族と比較をして優れた聴覚を有している。
従って、魔法の修行と称して、悠斗たちが夜な夜な怪しいことをしているのは知っていた。
けれども。
直接その行為を目にするのはリリナにとって初めてのことであった。
主人からの寵愛を受けるスピカとシルフィアに対して嫉妬の気持ちがないわけでもない。
だがしかし。
リリナの中では嫉妬の感情よりも性的な興奮が勝ったのである。
どうしよもなく体が熱い。
試しに服の上から触れてみると、体中の至る部分が敏感になっているのが分かった。
(こんなこと。ダメだって分かっているはずなのに……)
はしたない行為だと自覚しても尚。
リリナは自らの欲求を抑えることができないでいた。
勘の鋭い悠斗に気付かれているとも知らずに――。
リリナの淫らな行為は続いた。
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