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• 総合評価：10点満点中6点

  投稿日：2012年3月16日

  投稿者：k*o*a*9*9* さん

  乗車形式：その他

  日産 スカイラインGT-R

  グレード：2.6 4WD（MT） (1989年式)

  総評

  人生
  チンピラ中古車屋だったころディーラーからの業販で入庫しました。
  まあディーラーが嫌う改造車というやつでして程度も悪し。
  とはいえ、ある程度直して適当にでっちあげて売り飛ばすのも仕事なんですが
  相変わらず忙しく手つかずで店の表に放り出しておくと…
  怪しげな外人やらローン組めないガキやら
  チンピラまがいのブローカーもどき（人の事言えないですが）やら
  まぁ呼びもしない来客？が多く来てました。
  おととい来やがってくださいませアリガトウゴザイマシタ糞野郎。
  いい加減燃えるか爆発でもしてくれないかと本気で思っていましたが
  とあるお客に売り、その後私の人生観まで変えてしまった車です。
  スカイラインＧＴ－Ｒそのものの車両紹介なんぞは
  そこらへんのカー雑誌で腐る程載っていますので
  スカイラインとは何なのかを私の歪んだ性格から紹介したいと思います。
  お客さんとは定年を迎えたオジサンでして
  ある時急に来店。
  「定年後の再雇用も無く今まで頑張って働いたのだから老後はのんびりと」だそうで
  かねてから乗りたかったＧＴ－Ｒが欲しいと。
  で、不幸にも目に留まったのがこのＧＴ－Ｒ。
  派手な改造車なので違うのを探すと提案しても「これも縁だから」と。
  「少しづつノーマルに戻す」そうで、あれこれ協力して欲しいと。
  まぁ、カネさえ貰えりゃ文句無いですが。
  そしてこのオジサンの趣味に私もずるずる引き込まれ
  気が付けば生涯最高の友達になっていました。
  単純に遊びとして始めたＧＴ－Ｒの修理。（プライベートなので無償）
  夜遅くまでオジサンの家で車を触って
  パソコンも知らないオジサンにネットオークションを教えて
  少しづつ買い足した純正部品に交換していき
  談笑に夢中で作業が終わらなかったり何故か近所のオジサンも混じって作業してみたり
  人生相談したり旧車談義終わるまで帰してくれなかったり野良猫が入り込んでゲロしたり
  底辺の車屋の小僧が本当に幸せな思いをさせてもらいました。
  しかしまぁ過激な改造車だった事から随分苦労しましたが
  今では良い思い出です。

  満足している点

  まずはオジサンが乗ってもガキっぽくないところですかね。
  本気でぶっ飛ばせばどうしようもないくらい速い車ですが
  巧妙に設計された余裕ゆえの存在感からでしょうか。
  後年のＧＴ－Ｒは凄さばかりが目立ち、大人げないように感じます。
  ＧＴ－Ｒがある程度仕上がり私のポンコツ１８０ＳＸ（時価５万円）と
  景色の良い峠道を２台連ねて流したのですが
  ノーマルマフラーでも腹が立つくらい良い音がしました。
  こういった演出は大切です。
  オジサンはすっかりＧＴ－Ｒとツーリングが気に入りしょっちゅう出かけましたが
  俺は年金貰う歳程ヒマじゃねーっての。
  真っ昼間から本当に絵になる車です。
  イメージ的には強烈で過激そうな車ですが
  割と走り始めは重厚感があり扱いやすいです。
  この辺はインプレッサＷＲＸやランエボなどのほうが余程強烈でお行儀が悪いです。
  確かに日産の考え方としてはＧＴ－ＲやパルサーＧＴＩ－Ｒは特別な車ですが
  極端に過激にしなかったのは好感が持てます。
  年中サーキットってわけじゃないですからね。
  大の大人が夢中になれる事も重要です。
  オッサンばかり集まって日がな一日暇を潰せるんですから。
  オジサンと私は３５歳差だったのですが「師匠」と呼ばれてました。
  逆に私からすればオジサンが人生の師匠なんですが。
  車とは使ってナンボだと私は思っていますが
  ４ＷＤシステムやツインターボなどを使い切らなくても
  雰囲気や乗り味は語れない程の良さがあります。
  そのあたりの演出や設計、確かに速くて高性能だけれど
  乗らないとわからない良さと空気が濃厚な車ですね。
  残念ながら現代のスポーツカーには無いもので
  ＧＴ－Ｒゆえの世界でしょう。

  不満な点

  年式ゆえなのか、内装の傷み具合ヤレ具合は悲惨なものです。
  ついでに前所有者の変な改造部品と素人工事の電気配線のせいで
  修理中にエンジンがかからなくなりダッシュボード外して大騒ぎ（笑）
  楽しい時間とは長く続かないもので
  オジサンとは中古車屋を辞めてからもよく車をいじったりツーリングに行ったりしましたが
  昨年、脳梗塞で亡くなられました。
  廃品回収に出す新聞紙を車庫でまとめている時に倒れ、そのまま亡くなったそうで
  お葬式の時に「本当に良い車を世話してもらった」と奥様に言って頂けました。
  定年後、何となく過ごすのではなく友達と趣味に打ち込み
  本当に楽しそうにされていたそうで
  ツーリングの前日に工事現場を通りＧＴ-Ｒを泥だらけにしてしまい
  寒空の中無理に洗車して風邪ひいて寝込んだりなど
  少し生き急いだようだけど、幸せだったと。
  「死ぬ時も車の横だったなんてあの人らしい」とは息子さん談。
  世代を超えてもスカイラインＧＴ－Ｒとは
  ドキドキする程幸せなもの。
  スカイラインとはそういう車だと思います。
  今でもあの時のまま時間が止まったＧＴ－Ｒがオジサンの車庫に変わらずあります。
  次にＧＴ－Ｒの時間を動かすのは誰なのだろうか…そう思い
  再びＧＴ－Ｒが動き出す日に微力ながら力を貸せたらなと思います。

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