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♪「Ｐｏｎ　ｐｏｎ　ｐｏｎ…」
♪「愛の言葉をリル」
♪「シャイなハートがドキドキ」
♪「あの日観てた“サウンド・オブ・ミュージック”」
♪「瞼閉じれば蘇る」
♪「幼い頃の大事な　宝物だけは」
♪「ずっと　この胸に抱きしめて来たのさ…　Ａｈ　ａｈ」
♪「夜の酒場で　Ｌｏｎｅｌｙ」
♪「あの娘　今頃どうしてる？」
♪「さなぎは今、　蝶になって」
♪「きっと誰かの腕の中」
♪「肩寄せ合い　声合わせて」
♪「希望に燃える　恋の歌」
（時子）あ　あ　あ～　あ～。
「水馬赤いな。　ア　イ　ウ　エ　オ。浮藻に　こえ…」。
こ…。
時子が　テレビドラマのオーディションを受ける日が近づいてきました。
「柿の木　栗の木。カ　キ　ク　ケ　コ。啄木鳥こつこつ　枯れけやき」。
（時子）オーディションって本当に　こんな感じなの？
（豊子）はい。読んだ本では　そんでした。
たんだ　時子さんの横に一緒に受げる人が並んでいる可能性がありますよね。
（みね子）へぇあんた　何でも知ってんねえ。
（愛子）あっ　私も何かやろうか？
大丈夫です。
そう？はい。
ふ～ん　分かった。そうなんだ…　いらないんだ…。
こないだラーメン　おごってあげたのに。
そうよね　こんなおばさんじゃ役に立たないもんね～。
＜お父さん…。久しぶりに来ました　これ…。でも　なぜ　私？＞
え～…　あっ　ほら！　ほら！
あの　ノックして「あっ　どうぞ」って言う役愛子さん　お願いできますか？
ね～？　幸子さん。（幸子）えっ？
ね～？あっ　あっ　そうだね。是非　お願いします。
えっ？　そう？　私？
うん…　うん…いいわよ　分かった。
（幸子）じゃ　やっでみようか。うん。
（ノック）
はい　どうぞ　いらっしゃい。
失礼します。（愛子）はい　どうぞ　こちらへ。はいはいはい　どうぞ。ここ　ここ。　はい。
（幸子）じゃ　お掛け下さい。はい　失礼致します。
（幸子）では　自己紹介をお願いします。
（時子）はい。
助川時子　１９歳　茨城県出身です。
あ～　では　え～早口言葉をお願いします。
はい。
「赤巻紙　青巻紙　黄巻紙。赤巻紙　青巻紙　黄巻紙。赤巻紙　青巻紙　黄巻紙。赤巻紙　青巻紙　黄巻紙」。
♪～
では　「桜の園」のお芝居をお願いします。
「ああ…。私のいとおしい　懐かしい美しい庭！私の生活　私の青春　私の幸せ。さようなら。さようなら！」。
（時子）はい。
（優子）では悲しいお芝居をお願いします。
「ああっ！別れろ切れろは芸者の時に言う言葉。今の私には　いっそ死ねと　おっしゃって下さいな…」。
では　「ロミオとジュリエット」で好きな場面を演じて下さい。
「おお　ロミオ！ロミオ！なぜ　あなたは　ロミオなの？」。
はい。
（時子）どうだった？　豊子。いいんでないでしょうか？なまりも　ほぼながったですよ。本当に？
時子　大丈夫だよ！
あぁ…。
あぁ…。
でもさ　私　こういう場だと大丈夫なんだけどいざとなっと結構ダメなんだよねえ。
それって結構　深刻な問題なんじゃ…。
そうなんだよねえ…　ねっ　みね子。
そうなの。
時子は　ふだん　パリッとしてっけど意外に　いざとなっとダメ。
そういう時　私がいないとダメな子なのよね～。
フフフ！へぇ…。
何？　豊子　その意外そうな顔。
時々　思うんだけどあんたの私への評価ちょっと不等に低ぐね？
そんなごとはないですよ。正当な評価をしてます。
どういう意味？　大体ね…。
その話は　今いいんでないの。
あっ　そっか…　で　何だっけ？だからさ　みね子。
はいはい。一緒に来て。
分がった　分がった。あ～！
えっ！？いがったぁ。
えっ？　行くの？うん。
私も？（時子）うん。ＮＨＫ？うん。
一緒に受げんの？えっ？
あら！　どうしよう！そういう意味ではないと思います。
あっ！
えっ？　何？どうしたの？
みね子さん！　これ！
ん？
時子さん　それどころじゃないだろうと思ってやめようかと思ってたんだけどあなた　行くんでしょ？
なら　お願い！　ＮＨＫに行ったら裕次郎に会ったら　サイン！
「愛子さんへ」。あっ　「永井愛子さん」だからね。
で　「愛してます」って伝えて。
はい。（優子）いいなぁ。
私は　西郷輝彦がいいな。
私は　橋　幸夫のサイン　欲しいな。
私は　高倉　健か丹波哲郎でも大丈夫です。
「でも大丈夫」って　何？（和夫）みね子。俺は　山田五十鈴だな。ほかは　いらないぜ。
「ほかは　いらないぜ」って言われでも…。
おれは　時子さん一筋ですから。
あら　ありがとう。（笑い声）
でも　植木　等がいだらお願えします。
何それ！（笑い声）
時子　頑張ろうね！
うん！
絶対　受がってみせっぺ！
なまってます。
あ…　あら？
どうかな？
うん！　やっぱり　これが　すてき！うん　とってもいいよ。
本当？ねえねえねえ！　私は　どう？
えっ？
分かってるよ　冗談だよ。
♪～
では　せ～の！
（一同）向島電機のスター！助川時子さん　頑張れ！
（拍手）
頑張ってこい！　時子！
はい！
♪～
早く行かないと電車　乗り遅れちゃうよ！
（時子）はい！
（一同）頑張れ！
みんな…ありがとう！　ありがとう！
行ってきます！（一同）行ってらっしゃい！
♪～
（一同）頑張れ～！
ありがとう！時子さん　頑張って！
頑張って！頑張れ！
澄子　落ち着いて！　ね？
すごがったね。うん　驚いた。
ふ～…。
うん。
♪～
あっ　キョウ様よ！（一同）キャ～！
♪～
何か　すごいね。うん。
♪～
時子は　こごにいづも来るようになんだよ。
うん…。
有名になっても　友達でいてよ。
バカ。フフフ！
♪～
行くか。うん。
♪～
♪～（歌声）
（スタッフ）え～　皆さん今日のオーディションでは皆さんの個性を大いに発揮して下さいね。お願いします。
♪～（歌声）
時子。
高校の文化祭の演劇　覚えてる？
「真夏の夜の夢」　時子がやったの。
うん。すごかったよね。
３日間やってさどんどん　人が増えでって最後体育館に入んなかったんだよ。
みんな　時子のこと見に来たんだよ　評判　聞いてさ。
そりゃね　茨城の田舎の高校の舞台だったかもしんない。
でもね　私は思うよ。
テレビとが映画とが見てる人の数が違うだげで見でる人の気持ぢは同じなんじゃないがなって思う。
んだから　自信持って。
あんたはさ　みんなをいろんな気持ぢにさせるこどができる人なんだよ。
私は　そう思ってる。
分がっけ？
うん。うん。
（ドアが開く音）え～　お待たせ致しました。
１２番　助川時子さん。
はい！どうぞ。
♪～
　回想　待ってろよ！
奥茨城からのスターになってみせっと！
時子ぉ…。
頑張ってぇ…。