大会経費1.39兆円 分担大枠、都が試算
7道県4政令市の運営費の地元負担は合わせて400億円
2020年東京五輪・パラリンピックの大会経費で東京都が分担の大枠を固め、積み上げた数字を約1兆3900億円と試算していたことが18日、大会関係者への取材で分かった。都外に会場がある7道県4政令市の運営費の地元負担は合わせて約400億円となり、都は同日から自治体への説明を始めたが、反発も予想される。小池百合子知事は今月末までに大枠を提示する考えで、費用分担の調整は大詰めに入った。【田原和宏、小林悠太、松本晃】
試算によれば、都と大会組織委員会は約6000億円ずつを分担する。スポンサーや公式商品など商業収入がある組織委と同額に抑えることで、多額の税金を投入する都の抵抗感を下げた。もともと約5000億円の収入を見込んでいた組織委は約1000億円の増収努力をする。国は新国立競技場の整備費など約1200億円とパラリンピック開催費約1200億円の4分の1にあたる約300億円を引き受ける。都外の自治体に負担を求める約400億円の内訳は輸送費50億円▽警備費250億円▽宿泊や医療などの準備運営費50億円▽営業補償などの貸借費50億円としている。大会関係者は「あくまで規模感」と説明しており、数字が動いていく可能性はある。
昨年末に組織委が示した第1弾予算で大会経費は総額1兆6000億~1兆8000億円だった。小池知事は12日の定例記者会見で「経費の圧縮や組織委の増収などで2000億~3000億円の見直し効果がある」と述べた。今回の試算では第1弾予算から約2100億~4100億円減った。しかし、第1弾予算で含めていた予備費1000億~3000億円と、国が実質的に負担する警備費の一部を加えれば、二つの数字に大きな開きはなく、見直し効果は分かりにくい。
一方、都外自治体の開催費用は仮設整備費500億円を都と組織委が折半することで固まったが、決断が遅れたことで自治体の不信感は強く、今回の試算通りの運営費を受け入れるかは不透明だ。安倍晋三首相は丸川珠代五輪担当相に調整を指示した。新たに地方交付税などで負担軽減する案も検討されている。