安達社長は「現場が誤解」と言い訳 ©共同通信社
「ウチだったらトップが即辞任ですよ」
大手銀行の幹部がこう驚きを隠さないのが、9日に経産省、財務省、金融庁の三省庁から業務改善命令を受けた政府系金融機関・商工中金の不正貸出だ。
不正の温床となったのは、2008年のリーマン・ショックを機に創設された「危機対応業務」。業績が悪化した中堅・中小企業に運転資金を貸し出す制度だが、該当しない顧客も、融資対象になるように資料を改竄し、貸出を水増ししていた。
不正は全国35支店で計816件見つかり、99人の関与が確認されている。
「危機対応業務は、国から利子補給が受けられ、損害担保も付くことから補助金を騙し取る詐欺行為に近い」(メガバンク幹部)
なぜ、不正が蔓延したのか。
「半年に一度、開催される支店長会議で『割当』と呼ばれる資料が配布され、危機対応業務についても事実上のノルマが設定されていた」(商工中金関係者)
達成度合いによって人事評価が決まり、賞与や昇格に響いた。このプレッシャーが不正に走らせた直接の要因とみられている。だが、理由はこればかりではない。
「完全民営化を葬りさるために、危機対応業務で存在感を示す必要があった」(同前)
というのは、商工中金は中小企業向け融資がメインということもあり、歴史的な役割を終えたとの指摘が多かった。そのため、2015年までの完全民営化が決まっていた。
「しかし、リーマン・ショックや東日本大震災の危機対応を理由に、政府系金融機関として生き残った」(同前)
だが、政府の信用をバックにした民業圧迫との批判も根強かった。
「商工中金が、破格のレートで取引先を奪いにくるケースが増えていた」(地銀幹部)
なりふり構わず生き残りに走ったのには理由がある。
「商工中金のトップには通産省(現経産省)の事務次官経験者が天下ってきた。天下り先として、つぶすわけにはいかない」(経産省関係者)
現社長の安達健祐氏も元経産省事務次官だ。その安達氏は、役員報酬の一部自主返納で居座りを決め込む。
官僚による官僚のための商工中金はもう必要ない。
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