デジタルサイネージをいざ導入するとなると、気になるのはその耐用年数ではないでしょうか。実は、この耐用年数を考える際に見落とされがちなのが、耐用年数には2つの意味があるということです。
デジタルサイネージの導入費用は会計上、法定の耐用年数に配分して計上していくため、満了までの間、経費化されていない部分には法人税が課せられます。
つまり、物理的な耐用年数(資産が収益を生む期間)よりも法定耐用年数の方が長い場合、余分に税金を払い続けることになってしまうのです。
そこでこの記事では、デジタルサイネージの耐用年数を、法定耐用年数と、物理的な耐用年数(資産が収益を生む期間)の2種類の意味に分けてお伝えしていきます。
これを読めば、単純な耐用年数だけでなく、耐用年数から見たデジタルサイネージの収益性も分かるようになります。知らないともったいない2種類の耐用年数について、早速見ていきましょう。
1. 法定耐用年数
ここでは法令が「器具・備品」としている資産区分の中で、実際に「看板・広告器具」として定められたものたちの法定耐用年数を見てみましょう。
赤字が、一般的なデジタルサイネージの該当する区分です。つまり、デジタルサイネージは通常、電飾付きスタンド看板の類と同じ扱いになるのです。よって、法令の定める3年で減価償却していくことになります。
ただし、デジタルサイネージにもいろいろなタイプがありますよね。たとえば、駅構内や、大型商業施設などによく見られる、建物にディスプレイが埋め込まれたタイプのものはどうでしょう。
実はこれらは「器具・備品」ではなく、「建物付属設備」に区分されます。「建物付属設備」のうちの「電気設備」の耐用年数は、以下のように定められています。
つまり、建物に付帯した大型のサイネージだと倍の6年になるのですね。
2. 耐用年数〔耐久性〕
では、物理的な寿命(耐久性)は、はたして実際に法定の通りなのでしょうか。
ここで考えなくてはならないのが、デジタルサイネージの構造です。デジタルサイネージといっても導入形態はいろいろですが、すべてに共通するのは、
”STBでデータを管理し、液晶パネルでそれを映し出す”
というしくみです。
そこで、ここでは、サイネージを構成する、
(1)液晶パネル
(2)STB(PC)
の2つの耐用年数を個別に見た上で、全体としてどれくらいの耐用年数になるのか、考えていきましょう。
(1)液晶パネルの耐用年数
まずは、液晶パネルの耐用年数についてご紹介します。当然、液晶パネルにとって得意、不得意とする環境があり(これに関しては別記事にて詳しくご紹介します)、一概には言えませんが、一般に、修理を重ねて継続的に使用しても、5年程だとされています。
さらに詳しく言うと、業務用が5年程度、民生用だと2~3年だと言われています。また、業務用のものの中でも、特殊なもの(高輝度タイプ)だと寿命が短いものもあります(これに関しては具体的に何年とは言えませんが)。
(2)STBの耐用年数
次に、コンテンツの更新を管理するSTBの耐用年数について見ていきましょう。ここでは、デジタルサイネージ用に対応したOS、Windows Embedded Standard 7 の場合を考えます。こちらも、埃が多い使用環境にさらされたり、過度に頻繁なデータ更新を続けていたりすると、それなりに耐用年数も短くはなりますが、導入形態にかかわらず、一般に4~5年と言われています。また、故障した場合の原因でいうと一番故障する部品は、ハードディスクになります。ただ、液晶パネルと違い、比較的安価で部品交換を行う事ができるので、修理をしつつ大事に使用していけば5年以上使用することも可能です。
以上のようにSTBの耐用年数を5年以上とみると、液晶パネルの耐用年数を
”デジタルサイネージの耐用年数 = 液晶パネルの耐用年数(5年)”
と考えてしまっても問題ありません。
まとめ
最後に、デジタルサイネージの耐用年数について、ご紹介した内容をまとめておきます。
表から、「器具・備品」として分類した場合、なんと法定耐用年数の2倍近くの耐久性があることがわかります。この場合、耐用年数が実態よりはるかに短く、節税の面において、大変有利だといえます。また、「建物付属設備」の場合でも、耐用年数は概ね実態に見合っています。
まとめると、デジタルサイネージは納税上有利で、会社の資金繰りを向上できる資産だといえます。
一言で耐用年数と括ってしまえばそれで終わりですが、デジタルサイネージを本格的に導入しようとお考えであれば、耐用年数には2種類あるということを、是非念頭に置いて頂ければと思います。
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