豊洲市場問題 専門家会議が紛糾 知事の判断時期遅れるか

豊洲市場問題 専門家会議が紛糾 知事の判断時期遅れるか
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豊洲市場の問題で、小池知事から安全性の検証を依頼された東京都の専門家会議は18日、安全性をさらに高めるための対策案を示しましたが、業者などの反発を受けて議論の取りまとめができませんでした。豊洲に移転するかどうか、小池知事は専門家会議の対策案などを受けて総合的に判断するとしていて、判断時期は予定より遅れる可能性も出てきました。
18日開かれた専門家会議では、豊洲市場の安全性をさらに高めるためとして、地下空間の底をコンクリートで覆うなどとする対策案が示されたのに対し、出席した業者などから土壌の汚染を環境基準以下に抑える「無害化」を目指すのかどうか、東京都の基本姿勢を明らかにするよう求める意見が相次ぎました。「無害化」は石原知事時代に東京都が移転の条件として設定し、小池知事は「尊重すべきだ」として重視する考えを示しています。

18日の会議では東京都の担当者が「都の方針を議論する場ではない」などと述べ都の考えを明らかにしなかったため、出席者側が反発し、議論を取りまとめることはできませんでした。

小池知事は専門家会議の対策案と、近く報告される外部有識者などで作る「プロジェクトチーム」の検証結果などを総合的に検討して移転について判断する方針で、専門家会議の提案が遅れることで当初予定していた、ことし夏ごろとする判断時期が遅れる可能性も出てきました。

専門家会議の対策案

18日の専門家会議では、施設の安全性をさらに高めるための対策案が工事にかかるコストとともに示されました。

このうち土壌汚染対策の柱とした盛り土がないことが発覚し、地下に空間が設けられたことについて、土壌に含まれる有害物質が気化して空間にたまることを防ぐためとして、空間の底をコンクリートなどで覆い、換気設備を整備するとしています。
これらの対策にかかる経費として、工事の方法別に2つの試算が示され、空間の底をコンクリートで覆う場合は15億円から20億円、より密閉性の高い特殊なシートで覆う場合は50億円から55億円としています。

一方、地下水の対策については地下水をくみ上げて水位を一定に保つ「地下水管理システム」のポンプ機能を強化するとし、工事費用は20億円から25億円と試算しています。
このため2つの対策をあわせた工事費用は、コンクリート案を採用した場合は、35億円から45億円、特殊なシート案の場合は70億円から80億円に上ることになります。

このほか会議では初期投資となる工事費用に加えて維持管理にかかるコストについても試算が示されました。このうち地下空間の底をコンクリートなどで覆う対策については市場を建物の耐用年数となる65年間使用したと仮定し、コンクリート案では25億円から30億円、特殊なシート案では35億円から40億円それぞれかかるとしています。

また、地下水汚染の対策となる「地下水管理システム」については年間でおよそ3億円かかるとしています。