イベント不参加についての説明とお詫び
二ヶ月ほど前でしょうか。わたしは、友人であったN氏よりO氏のイベント出演を頼まれました。手弁当での出演依頼です。宿泊費、大阪までの往復の交通費、すべてです。当日の出演者についてうかがいましたところ、「O氏と、N氏と、O氏の奥さんとその妹さんとだけ」という話だったのでO.Kを出したのです。承諾の意をN氏にお伝えをすると、O氏よりツイッターDMでご丁寧な感謝の言葉が届けられました。会場のウェブサイトに使うために必要ということで、経歴やいくつかの質問を受け、お答えしました。写真も必要だというのでお渡ししました。宣材に使用するという文章も送ってくれましたが、二箇所ほど間違いがあったので修正をお願いしました。
O氏は元ヤクザで服役もしていたと御本人から聞きましたが、現在は建設関係のお仕事をされているということで、本も出しておられるし、N氏も元ヤクザということですが、友人だと思ってましたし、情報雑誌に連載をもっていて、他の作家さんとの共著も出版しておられる。
わたしは彼らの書籍を読みましたので、出演を了解しました。
O氏とは一切の面識はありませんでした。ところが、4月の27日の午後にN氏より突然に電話があり、「O氏が東京に来てるから打ち合わせしよう。イベントの日が初対面になるより、先に顔合わせしていたほうがいいから、ちょっと出て来て」と言われ、急きょ出かけたんです。O氏が東京に来ていることは、まったく知りませんでした。あの方のツイッターには、まるでわざわざわたしに挨拶をしに東京まで来たように書かれていますが、それは違っていて、わたしはあの方が上京していることを、この時まで誰からも知らされておりませんでした。電話で呼び出されたのは当日の午後で、会ったのはその日の夕方です。
慌てて行って、一時間ほどお茶を飲んで写真をぱちり。ツイッターにアップしておられました。その際、チケットの捌けが悪いと話されましたが、わたしにはどうすることも出来ません。せいぜい、ツイッターやブログ、あるいは口コミで周知しましたが、反応があったのは数件でした。わたしは出演を頼まれただけですので、これ以上なすすべはありません。SNSで発信、口コミ、自分に出来ることは全てやったつもりでした。イベントの打ち合わせということで呼び出されましたので、内容についてもいくつか確認しました。わたしは、ヤクザの話はまったく興味もないし、分からないから、当日は何を話してよいのかわかりません、と相談しました。するとO氏からは、「生島さんは夜の世界にいたときの話をしてください」と言われたのでホッとしました。そこでは、O氏の奥さんと妹さんが会場で歌を披露すると聞きましたので、身内でほんわかする楽しいイベントになるのだなって、てっきりそう思っていました。
帰り、O氏は骨折しているのにたくさんの荷物を持っていて、とても辛そうな様子でしたから、地上50階の喫茶室から、階下のタクシー乗り場まで荷物を持ってあげたんです。足が悪いのに、この荷物を持って東京駅まで一人で行くのはさぞや大変だろうと思いました。付き添ってあげたくても、わたしや他の方にはこの後に予定があったのです。それで、N氏がこれから東京駅の近くまで行くのを知っていたわたしは、N氏に、近くまで行くのだから、友達なんだし、一緒に乗せていってあげたらいいのにと申しました。N氏は了解し、O氏は何度も「お気づかい、ありがとうございます」とお礼を言ってくれました。
わたしは大阪はミナミで育ち、イベント会場あたりは地元。若かりし頃の遊び場でもありましたから、大阪でのこのイベントを、心から楽しみにしていたんです。
その連絡が入ったのは昨日の午後でした。友人から電話があり「マリカちゃん、ヤクザライターになるの?」と。「いいや、ならないよ。ヤクザの話とかまったく興味ないから書けないし。普通の小説を書いてるけど。どうして?」
こう問うと、友人は、出演する方々のツイートやブログを確認してみたほうがいいよと教えてくれました。するとそこには、どこぞの大親分を舞台にあげて紹介しますからお楽しみにとか、なんちゃら組の方をたくさん呼んでるとかあるではないですか。
わたしはこのところ小説を書いていて、ツイッターなどのSNSとは距離を置いていましたので、吃驚しました。そんな話は聞いておりません。
百歩譲って、イベント当日のアクシデントならともかく、こちらに何の相談もなく、勝手に、ヤクザの関係者が数十人も来ます、大物ヤクザの方を舞台に上げて紹介します、お楽しみになどと喧伝されては困ります。ヤクザライターでなく、普通に小説を書きたいわたしの立場どころか、存在すら危うくなります。版元にも迷惑がかかる恐れがでてくる。彼らは自分のことばかりで、わたしへの配慮が何ひとつ見受けられない。出演を頼んできて、その出演者のひとりであるわたしに何の断りもなく、見も知らぬヤクザの方々と勝手に混ぜられるのは迷惑だしルール違反です。ヤクザの方々を登壇させるのを知っていたら、初めから出演は断っていました。
(お客さんは別です。観客席にいる方がどなたであっても、何者でも、お客さんで来られるのは関係ないし、有り難いことですから)
慌てたわたしはすぐにN氏へ電話をしました。O氏の連絡先は存じません。それに、最初からこのお話はN氏経由だったので、先にN氏に話すのが筋だと思いましたから。
始めの話と趣旨が変わっている、このままでは出演できない、どうしてそんな勝手なことをするのかと訊ねたところ、(怒鳴り散らしながら)「チケットの関係。すまんかったのお、そっちの名前を消す」と。わたしはてっきり、ブログ記事の「大物親分を舞台にあげてご紹介」の部分を削除、ツイートもヤクザ云々のそこだけ消してくれる話になるのかと。しかしN氏からは「(生島マリカの)名前を消しとく」の返事でした。これは『じゃあもう出ないでいいよ』の意です。それならばと、「生島の不参加は、そちらのほうから先にツイッターやらで公表したほうが格好がつくのでは」と提案したところ「わかった」との返事をいただきました。それで二時間ほど待っていたんですが、いっこうに消されないし、周知もしてくれない。何の対応もなされないままに時間だけが過ぎました。O氏にも直接お伝えせねばならない。しかし、先述したように、わたしはO氏の連絡先を知らない。伝えるためにどうしたらいいかなと。そしたらちょうどそのときO氏がツイートを連続でなさっていたので、ツイッターのDMでお知らせしました。内容は、出演できなくなったことと、大阪の友人にO氏とN氏のファンがいて、イベントのチケットを購入しているので、当日よろしくおねがいします、でした。いつもならすぐに返事を下さるのに、未だに返事はありません。代わりにツイッターで、一方的にわたしが悪くて、まるで常識がないかのように書き立ててあります。怖いです。
続けます。N氏から「怒鳴り散らしながらの謝罪」は受けたものの、名前を消して欠席の説明もすると言ったのに放置された。それで仕方なくわたしが自分でイベント会場に電話して、「出演できなくなりました」とだけお伝えしたんです。それをツイッターに書いて周知してくれるようにとも要請しました。面子がどうこう知りません。内容に変更が生じれば、いち早くお知らせするのは社会人として当たり前のことです。騙し討ちのようなことをして、お客さんに迷惑をかけられませんから。
わたしにも、わたしの作品を世に出す為に動いて下さっている方々がいます。今回のイベントのことは報告してありました。ですがこれは、彼らが出演者のひとりであるわたしにひと言の相談もなく、勝手にヤクザのおっちゃんらを出演者と同じ舞台にあげて話をしてもらうという段取りをしたのですから、それを知ったら、誰だって自分の身を守るために手を打つのは当然のことだと思います。これがタレントでも、芸人でも、たとえ素人でも、引き受けたイベントが、何の説明もなく、途中で内容が変わっていたとなれば、普通は怒りますし、降りますよ。利用された、軽んじられたと感じ、信頼関係も失うでしょう。
イベント当日一週間を前にして、当初に聞いていた話とあまりに趣旨を変えられると出演できなくなる。相手の立場になって考えられないなら、物事は前に進みません。当たり前です。版元や編集者に申し訳が立たないというのも、「物書き」なら理解できないのでしょうか。
昨夜からのO氏のツイートにあるタイムスタンプとツイートを読む限り、内容はとっくに伝わっていたはずです。わたしが送ったDMも読んでおられるのは確認できました。丸一日アカウントは開けていましたが、O氏からはここにいたってもDMに返事はなく、こちらが嫌がっているのにわざとでしょうか、わたしの顔写真と名前入り広告をこのタイミングでリツイートしておられたり、実際の流れとは違う話を書き込んでいたり、脅しにも取れる言葉や罵詈雑言の数々。乱暴な言葉は後に削除されていますが、それらの投稿は何人もの方が確認しています。吃驚するというよりも、残念でした。N氏からは怒鳴り散らしながらの謝罪の言葉の末に、一方的に電話は切られました。名前を消す、不参加を知らせる、についても約束してくれたのに無視され、放置されました。友人だと思っていたので、これもすごく寂しいことでした。
これが経緯のすべてです。わたしは始めから終わりまで筋を通して対応してきたつもりです。しかし、最後まで返事はなく「こちらから関わり合いをご遠慮させて頂きますので」と一方的に表明。しかもツイッターで。わたし宛でもないただの「つぶやき」です。
何やら己勝手なことばかりツイッターに書いておられるので、追いかけていって、同じ場所で実情を明らかにするとともに、ひとことモノを言わせてもらおうかなとも考えましたが、【DMなど送ってこられるのは、おやめ下さい】とあるので、ようは、これについては何も書いて送ってくれるなよってことですよね(笑)。
わたしを罵って、自分に都合のいい説明をして面子が立ったようなので放っておきます。正直もう関わりたくないですし。ただ、O氏のツイート内容を受け、あまりにもわたしを悪者に仕立てているので、事実関係だけはきちんと明らかにしておきたいなと考えました。
以上がイベントに出られなくなった経緯になります。
友人や、楽しみにしてくださっていた方には本当に申し訳のないことでした。
チケットを買っている友人知人には、そのままイベントに行って楽しんで来てもらいたいです。
生島 マリカ