高知県の獣医職員の不足深刻 2015年度3回目の募集中
野菜に含まれる農薬の検査をする獣医師職員(高知市丸ノ内2丁目の高知県衛生研究所)
高知県が、畜産振興や食の安全確保を担う獣医師職員の不足に悩んでいる。2016年春の採用で9人を目指したが、入庁予定者は2人だけ。行政サービス維持の目安となる70人を割り込む恐れがあり、2月24日まで3回目の募集を行っている。高知県の獣医師は、主に各地の家畜保健衛生所や福祉保健所に勤務。家畜の診療、狂犬病や食中毒予防、食肉の安全検査などに携わる。
2008年度には80人いたが、定年や中途の退職者を補充できない状態が続いてきた。2015年度は、退職者の再任用で6人を補い、ようやく71人を確保している。
もともと、大学の獣医師を養成する学科は難関で、卒業生も少ない。加えて近年は、ペット獣医師志向が強まり、公務員でも都市部の人気が高くなったため、人材難が深刻化しているという。
対策として高知県は、2009年度から大学生への修学資金貸与を続けているが、決め手にはなっていない。
2016年春の採用では、2015年8月の選考で5人が合格したが、うち3人は辞退した。2回目の募集(9~11月)は応募ゼロだった。
3回目の募集も4人の採用枠に対し、応募はまだない。対象は40歳未満で獣医師免許を有するか、4月までに取得見込みの人。論文などの試験を3月20日に行う。問い合わせ先は高知県人事課(088・823・9163)。