浪江町 山火事の現地調査が終了
原発事故の帰還困難区域にある浪江町の山林から出火し、鎮火までに10日間以上かかった大規模な山火事について、17日から林野庁が実施していた現地調査が18日、終わりました。
空間放射線量などを調べた結果、放射性物質が流出する可能性は低いと見られることが分かり、林野庁では、今後さらに詳しく分析することにしています。
先月29日に浪江町の帰還困難区域にある山林で起きた山火事は、強い風にあおられて11日間燃え続け、隣接する双葉町を含めてあわせて75ヘクタールが焼けました。
林野庁はこの山火事を受けて、放射性物質や山火事に詳しい専門家などとともに17日と18日、現地に入り、原発事故で放出された放射性物質が火事によって周辺に広がるおそれがないか、現地調査を行いました。
その結果、焼け方が激しかった場所と焼けなかった場所で空間放射線量に大きな差はなく、土砂の流出を防ぐ効果がある山林が焼けた影響で土砂災害の危険性が高まっている場所もほとんど見られなかったことから、放射性物質が流出する可能性は、低いと見られることが分かったということです。
林野庁では、現場で採取した土壌の放射性物質の濃度などをおよそ1か月かけて分析したうえで、来月中に詳しい調査結果を公表したいとしています。
現地調査を終えた、林野庁国有林野部業務課の金谷範導企画官は「今回の現地調査で得た樹皮や土壌のサンプルを使って、山火事による放射性物質の移動を詳しく調べたい」と話していました。
また、森林総合研究所震災復興・放射性物質研究拠点の金子真司拠点長は「放射性物質は、土壌に吸着しやすい特性があるので、流出までに至る可能性は低いだろう」と話していました。