≪関西のニュース
獣医学部“京産大は新設できず” 「加計学園」の波紋
更新:05/18 22:57
安倍総理の友人が理事長を務める加計学園の獣医学部新設をめぐる問題。実は関西にも関係する話でした。京都産業大学。出身者には笑福亭鶴瓶さんら、そして教授にはノーベル賞を受賞した益川先生がいます。この京都産業大学が加計学園と同じタイミングで獣医学部の新設を求めていたんですが、国が示したたった1行の条件によって設立を断念していたことがわかりました。
医学部。人の命を救う医師を生み出すその学部は、大学にとって「花形」であり受験生にとっても憧れの的です。しかし、医師の増えすぎを抑えるため大学が勝手に医学部をつくることはできず、新たな医学部は37年間にわたって設立されませんでした。
これは動物の命を救う獣医学部についても同様で現在、全国にわずか16しかありません。新たな獣医学部は50年以上つくられてこなかったのですが、そんな中、安倍政権が進める国家戦略特区を使って新設にこぎつけたのが、安倍総理の友人が理事長を務める加計学園だったのです。この件をめぐり文部科学省が作成したとされる内部文書には…
「『最短距離で規制改革』を前提としたプロセスを踏んでいる状況であり、これは総理のご意向だと聞いている。官邸の最高レベルが言っていること」
加計学園が獣医学部の新設を認められたその影で、涙を飲んでいた関西の大学がありました。京都産業大学です。現在、9つの学部を抱える京産大。産近甲龍の一角として知られ約1万3000人が通う総合大学ですが、医学系の学部は持っていません。そこで京産大は国家戦略特区を利用した獣医学部の新設を構想。動物病院などで働くこれまでの獣医とは違い、iPS細胞を使った再生医療などライフサイエンス分野で活躍する獣医を育てたいとして、京都府を通じ国に規制緩和を求めていました。ところが、去年11月になって内閣府が提示したある条件が京産大の構想を打ち砕きます。
「獣医学部の新設は近くに獣医学部がない地域に限る」(規制緩和の条件)
この条件によって同じ関西に大阪府立大の獣医学部があることから、京産大は認可がおりないことが濃厚に。さらに「来年4月に開設」という実現不可能な条件まで追加されたことから新設を断念したと言います。
「(安倍首相と加計氏は)極めて長年の友人です。だからお聞きしているんです。政策がゆがめられているんじゃないかという質問です」(社民党 福島みずほ副党首・参院予算委3月)
「彼は私の友人ですよ、ですから会食もします、ゴルフもします。でも彼から私頼まれたことありませんよ。もし働きかけて決めているのなら、私責任をとりますよ。当たり前じゃないですか」(安倍首相)
国が出す「たった1行の条件」によって現場は大きな影響を受けます。上の「意向」、下の「忖度」は本当になかったのでしょうか?